年前ねんぜん)” の例文
知事ちじ——の三年前ねんぜんつたことは、わたし新聞しんぶんつてたのです——のいくらか手當てあてのこつたのだらうとおもはれます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
年前ねんぜんわかれたともだちをさがしているのですが、そのともだちがつからないので、いまこのまって、まちおぼえてきたうたをうたったのです。
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分は今、茲に霎時しばらく、五年前ねんぜんの昔に立返らねばならぬ。時は神無月末の或る朝まだき、処は矢張此の新山祠畔の伯母が家。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
つてつてらうかといふ一寸ちよつとおこるやいなや、そりや五六年前ねんぜんことだとかんがへあとからて、折角せつかく心持こゝろもちおもつきをすぐして仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しち年前ねんぜんの事があらわれてはのががたわが身の上ゆえ、いっそ荒々しく云って帰した方がよろしかろうと思いまして
此時このときは一しゆべからざるの凄氣せいきたれたのである。此所こゝこれ、千すう年前ねんぜんひとほうむつた墳墓ふんぼである。その内部ないぶきながらつてつのである。白骨はくこつけるにあらぬか。
右の燒打をはじめとして、翌年正月の鳥羽とば伏見ふしみの戰ひ、其他すべては「文藝倶樂部ぶんげいくらぶ」の臨時増刊、第九年第二號「諸國年中行事」といふうちに、「三十五年前ねんぜん」と題して私は委しく話した事がある。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
いく年前ねんぜんに、三にんあねいもうとおとうとなかのいい天使てんしがありました。この世界せかいつくられた時分じぶんに、三にんは、おもおもいの姿すがたわるようにかみさまからめいぜられたのであります。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
年前ねんぜん——
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)