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垂
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なんな
ふりがな文庫
“
垂
(
なんな
)” の例文
噫、羨望すべきのみと。余既に耳順、自ら謂えり這老耄矣、蒲柳の質
甚麽
(
なに
)
をなすにか堪えんと。今指を屈するに已に二十年に
垂
(
なんな
)
んとす。
洪川禅師のことども
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
江戸獄中より入江杉蔵に与うるの書〔これ刑につく一週前の書、死に
垂
(
なんな
)
んとして、なお天下の経綸に汲々たるの情を見るべし〕
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
十二人の使徒の首が恐しい恰好に描き出されその上の頂には眞黒な十字架と死に
垂
(
なんな
)
んとしてゐるクリストの像がかゝつてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一歩誤らばアングロ・サクソン人は滅亡に
垂
(
なんな
)
んとして来るかも知れぬ。一歩を誤れば
羅馬
(
ローマ
)
の末路のようになるかも知れぬと思われるのである。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
芭蕉死後百年に
垂
(
なんな
)
んとしてはじめて蕪村は現われたり。彼は天命を負うて俳諧壇上に立てり。されども世は彼が第二の芭蕉たることを知らず。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
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今年馬齒七十に
垂
(
なんな
)
んとして偶然白鷺の舞ふを見て年少氣鋭の徃時を憶ふ。市川寓居の詩趣遂に忘るべからざるものあり。
荷風戦後日歴 第一
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
真斎は相当著名な中世史家で、この館の執事を勤める
傍
(
かたわら
)
に、数種の著述を発表しているので知られているが、もはや七十に
垂
(
なんな
)
んとする老人だった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その黒い針葉樹に頂上まで包まれて、近く東北に聳えているのは、二千米に
垂
(
なんな
)
んとする芋ノ木トッケ
及
(
および
)
白岩山である。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
貫一は
生下戸
(
きげこ
)
なれば
嘗
(
かつ
)
て
酔
(
ゑ
)
ひて帰りし事あらざれば、宮は力無く又坐りつ。時計を見れば早や十一時に
垂
(
なんな
)
んとす。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かくて翌日まさに福井に向かいて発足すべき三日目の夜の興行を
闋
(
お
)
わりたりしは、一時に
垂
(
なんな
)
んとするころなりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幸い此の城は要害がきびしく、有利な地形に
拠
(
よ
)
っているから、どうやら今日までは持ちこたえたけれども、最早や籠城を始めてから一と月にも
垂
(
なんな
)
んとする。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蚜蠧
(
がと
)
の害に遇つて枯死に
垂
(
なんな
)
んたる樹が有るとすれば、之を藥療して復活蘇生せしむるのも亦植福である。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
近藤君は、身の丈一間に
垂
(
なんな
)
んとする大男、これでも日本人は小さいって云う気かって顔をして、大股に、
寛歩
(
かんぽ
)
をはこぶ有様が、そばについてるだけでも気が強い。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
「そうは思うがね、何分年齢が違うし、それに溺死後半年で見出され、埋葬後既に三年に
垂
(
なんな
)
んとしているから、発掘したって果して誰だか鑑別はつくまいと思うのだ」
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
横須賀より乗るべかりしを、出発に
垂
(
なんな
)
んとして
障
(
さわり
)
ありて一
日
(
じつ
)
の期をあやまりたれば、武男は
呉
(
くれ
)
より乗ることに定め、六月の十日というに孤影
蕭然
(
しょうぜん
)
として東海道列車に乗りぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
実に
不可思議千万
(
ふかしぎせんばん
)
なる
事相
(
じそう
)
にして、当時或る外人の評に、およそ生あるものはその死に
垂
(
なんな
)
んとして抵抗を試みざるはなし、
蠢爾
(
しゅんじ
)
たる
昆虫
(
こんちゅう
)
が百貫目の
鉄槌
(
てっつい
)
に
撃
(
う
)
たるるときにても
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いや被害地は年々ひろがって、今や六万町に
垂
(
なんな
)
んとしている。それを思うと、昨今はどうも反対者の勢の方が長足の進歩をして、われわれの力は退縮しているような気がする。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
銀明水に達したるは午後七時に
垂
(
なんな
)
んとす、浅間社前の大石室に泊す、客は余を併せて四組七人、
乾魚
(
ほしうを
)
一枚、
麩
(
ふ
)
の味噌汁一杯、天保銭大の
沢庵
(
たくあん
)
二切、
晩餐
(
ばんさん
)
の
総
(
す
)
べては
是
(
かく
)
の如きのみ
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
また、細川幽斎は、
齢
(
よわい
)
七十に
垂
(
なんな
)
んとして、知識人中の最長老であった。従って、この二人に関する限りは、沢庵が、教えられ、導かれる側に在ったといっても間違いはあるまい。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ピエトロが物語は、句ごとに
言
(
ことば
)
ごとに、我胸を刺す如くなりき。恩情母に等しきドメニカが、死に
垂
(
なんな
)
んとして我名を呼びしとき、我は避暑の遊をなして、心のどかに日を暮しつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
齢すでに七十に
垂
(
なんな
)
んとして、最近までこの国最高の政務を司り、夫人を
亡
(
うしな
)
ってからは
愛娘
(
まなむすめ
)
一人の成育を楽しみに孤高な一生を送ってきた老政治家が、今その
掌
(
て
)
の内の
珠
(
たま
)
を失った悲しみは
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
壕水
(
ほりみづ
)
に
映
(
う
)
つる星影寒くして、松の
梢
(
こずゑ
)
に風音
凄
(
すご
)
く、夜も早や十時に
垂
(
なんな
)
んたり、立番の巡査さへ今は
欠伸
(
あくび
)
ながらに、炉を股にして身を縮むる
鍛冶橋畔
(
かぢけうはん
)
の暗路を、
外套
(
ぐわいたう
)
スツポリと頭から
被
(
かむ
)
りて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
あの四百年に
垂
(
なんな
)
んとする平穏な平安時代に、このような異変を可能ならしめるようになった、その見えざる世相の転変こそ、きわめて徐々にではあったが、公家の人心に無常を観ぜしめる
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
それは事件があってから、もう一ヶ月に
垂
(
なんな
)
んとする頃の出来ごとだった。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人ならば百に
垂
(
なんな
)
ん翁にて言ひてめでたし新聞を君は
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今年、馬歯
蚤
(
はや
)
くも
桑年
(
そうねん
)
に
垂
(
なんな
)
んとして初めておくびの出るを覚えたり。『
操草紙
(
みさおぞうし
)
』といへる書に曰く
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
誰だって満四年に
垂
(
なんな
)
んとする昔に果して清正公前に電車が開通していたかどうかと云う事は、電車線が恰度その時分に新しく敷かれたのだから確に記憶していよう筈がない。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
其角
(
きかく
)
、
嵐雪
(
らんせつ
)
もその人にあらざりき。『
五色墨
(
ごしきずみ
)
』の
徒
(
と
)
固よりこれを知らず。『
新虚栗
(
しんみなしぐり
)
』の時何者をか
攫
(
つか
)
まんとして得る所あらず。芭蕉死後百年に
垂
(
なんな
)
んとして始めて蕪村は現れたり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
僅
(
わず
)
か数千の敵を討つのに三四倍の兵力を費しながら、既に半歳に
垂
(
なんな
)
んとして未だに目的を達しないのは何と云う
態
(
ざま
)
だ。牡鹿山の君臣共は何の面目があって地下の一閑斎に
見
(
まみ
)
えるつもりか。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この七十に
垂
(
なんな
)
んとする老教授が、日本に骨を埋めるであろうことは、もはや誰の眼にも明らかなところでしょうが、教授は終戦後の変り果てた、祖国独逸を久しぶりに訪問していられるのでした。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
正
(
まさ
)
に十一時に
垂
(
なんな
)
んとす。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
十時に
垂
(
なんな
)
んとしても支倉の姿が見えないので、石子刑事はいら/\して来た。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
僕は年五十に
垂
(
なんな
)
んとした其の年の秋、始めて銀座通のカッフェーに憩い僕の面前に紅茶を持運んで来た女給仕人を見ても、二十年前ライオン開店の当時に於けるが如く嫌悪の情を催さなかった。
申訳
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
垂
常用漢字
小6
部首:⼟
8画
“垂”を含む語句
垂下
垂々
垂髪
鼻垂
前垂掛
垂布
前垂
垂涎
垂幕
洟垂
垂氷
垂帳
直垂
枝垂
垂簾
垂頭
垂示
垂帛
耳垂
項垂
...