噴出ふきだ)” の例文
呼吸いきを詰めて、うむとこらえて凍着こごえつくが、古家ふるいえすすにむせると、時々遣切やりきれなくなって、ひそめたくしゃめ、ハッと噴出ふきだしそうで不気味な真夜中。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
欲念、本能的衝動、思想などが、あたかも火山地帯から硫黄いおうの煙が噴出ふきだすように、相次いで飛び出してきた。そして彼はみずから尋ねた。
小浜兵曹長は、首と手首とをうまくうごかして、革ぶくろの底をゆわえてあった紐をひっぱり、ふくろの中の水を、革ぶくろの破れ目から滝のように噴出ふきださせました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大地震だいぢしんのとき、泥土層でいどそうや、卑濕ひしゆう土地とちにはなが沿うて泥砂どろすな噴出ふきだすことはありがちのことであるが、もし地震ぢしん當時とうじ此現象このげんしよう觀察かんさつすることが出來できたならば
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
読経のはじまる頃にまた別荘に帰ったが、心が弾ンでいるもンだから、焼香の途中で噴出ふきだしそうになって閉口した。翌日、高木と二人で東京へ行って、無事に埋葬を済ませた。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
やはり無言のまま無理やりに吾輩を引っぱって行こうとしたが、そのはずみに吾輩のマントの両袖がスッポリと千切ちぎれて、二人の巡査が左右に尻餅を突いた。吾輩は思わず噴出ふきだした。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
親蟹おやがにあるきだしました。すると、こんどは子蟹こがにはらをかかえて噴出ふきだしました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
玩具おもちゃ箱のような小屋全体が、自分一人を残して、サッと一転し、半ば夢中で、向うのブランコへ飛乗ると、何処へ隠れていたのか、急にあびたような汗が、一遍に噴出ふきだし、心臓は、周章あわてて血管の中を
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
とも寄りの甲板のてすりの側に立って、そこから大きな煙筒の方を望むと、さかんな黒い煙がすさまじい勢いで噴出ふきだしている。あだかも羽翼つばさをひろげた黒い怪鳥が一羽ずつそこから舞いつかのように見える。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
頸動脈けいどうみゃくから噴出ふきだした血は、首から襟へ胸へと、ほとんど半身をひたして、碧色みどりいろの艶をさえ帯び、娘の蒼白い顔は、不意を喰ったにしては、少し深刻な恐怖を刻んで、美しさを破壊しない程度ながらも
女中がクス/\噴出ふきだした。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
呼吸いきめて、うむとこらへて凍着こゞえつくが、古家ふるいへすゝにむせると、時々とき/″\遣切やりきれなくつて、ひそめたくしやめ、ハツと噴出ふきだしさうで不氣味ぶきみ眞夜中まよなか
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水嵩みずかさはみるみるうちに増大して、水位すいい刻々こくこくあがって来た。床の四隅よすみから水は噴出ふきだすものと見え、その四隅のところは水柱が立って、白い泡の交った波がごぼんごぼんと鳴っていた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
警官は万平の顔に懐中電燈を突付けるとプッと噴出ふきだした。
芝居狂冒険 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ちょっとまた踊がいた形になると、興に乗じて、あの番頭を噴出ふきださせなくっては……女中をからかおう。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
往來わうらい行交ゆきかふもの、これを噴出ふきださざるなし。して、そのことを、その女房かみさんかたときまたいは
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、きやくめうかほをして、これをながめて、さつしたとえて噴出ふきだして、「ことだよ/\。」とふ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小女こおんなが一度、右の千鳥女史とささやき合って、やがて巡査の顔を見い見い、二階に寝ていたのを起した始末。笑い掛けたのは半途でおさえ、噴出ふきだしたのは嚥込のみこんで、いやに静かな事よって如件くだんのごとし
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
馬鹿め、と噴出ふきだして飛上る後から、ややあって、道学先生、のそりのそり。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
畜生! 飛附いてたすけようと思ったが、動けるどころの沙汰ではないので、人はかような苦しい場合にも自ら馬鹿々々しい滑稽の趣味を解するのでありまする、小宮山はあまりの事に噴出ふきだして
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
湯の噴出ふきだします巌穴いわあなき横手にござりますんで、ガタリといえば、ワッと申す、同一おなじ気のまよいなら、真先まっさきがけの道理なのでござりますが、様子を承りますと、何、あすこじゃまた、北隣の大島楼が
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)