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制
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おさ
ふりがな文庫
“
制
(
おさ
)” の例文
どうかすると
制
(
おさ
)
へきれないほどの居眠りが出て
年長
(
としうへ
)
の人達からよく惡戲されたことなど、御話したいと思ふことはいろ/\ある。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、彼等は内心の憤りを
制
(
おさ
)
えて、なおどこまでも平穏にしていた。重立った者の号令に従って集散ともに静かに行われた。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
千登世は思ひ餘つて度々
制
(
おさ
)
へきれない
嗟
(
なげ
)
きを
泄
(
も
)
らした。と忽ち、幾年の後に成人した子供が訪ねて來る日のことが思はれた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
私はその時急速に上体をかがめて近寄り、すぐに手を出したくなるのであるが、じっとその心を
制
(
おさ
)
えて一休みすることにする。ポケットから取り出される煙草が火を点けられる。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
今村は、全身が
蒟蒻
(
こんにゃく
)
のようにふるえるのを
制
(
おさ
)
えることも、かくすこともできなかった。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
▼ もっと見る
たがやすは一語だと思ひ乍ら、「田をかへす」と言ふ気持も
制
(
おさ
)
へられぬのである。
熟語構成法から観察した語根論の断簡
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
主人もそれには手をつけられず、遠くから長い棒切れで恐い蟲でも
制
(
おさ
)
へるやうに
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
無理無体だとは知っていたが、もう自分を
制
(
おさ
)
えるちからも、なくなってしまったのだ。ありのままで我々の生活を続けるより外はない、迷うということは我々にはもうなくなっているのだ。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「申しかねることじゃが、そのお若い血を、
制
(
おさ
)
えようとなさるか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
食事時になると、多計代は
制
(
おさ
)
えつけた苛立たしさで云った。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
制
(
おさ
)
えつけ、緊め上げつつ、音曲は悲壮に高められて行く。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
制
(
おさ
)
へられたる河浪は、怒濤をなして呟きながらも
ランボオ詩集≪学校時代の詩≫
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
制
(
おさ
)
へて行くことを知つてゐたからさ。
ウォーレン夫人とその娘
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
到頭、言わず
仕舞
(
じまい
)
に、牧野君の家の門を出た。そして、
制
(
おさ
)
えがたい落胆と戦いつつ、元来た雪道を岩村田の方へ帰って行った。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
部屋へ戻ってからも、お種は自分で
制
(
おさ
)
えることの出来ないほど興奮していた。豊世は姑の
背後
(
うしろ
)
へ廻って、何よりも先ず羽織や袴を脱がせた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
対手が黙つて
了
(
しま
)
つたので、丑松もそれぎり
斯様
(
こん
)
な話をしなかつた。文平はまた何時までも心の激昂を
制
(
おさ
)
へきれないといふ様子。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
いづれも感情を
制
(
おさ
)
へきれないといふ風で、肩を怒らして歩くもあり、板の間を踏み鳴らすもあり、中には塩を掴んで庭に
蒔散
(
まきち
)
らす弥次馬もある。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかもその自分で自分の
袂
(
たもと
)
をつかむ手は堅く握りしめて、震えるほど力を入れていた。無言の悲しみを
制
(
おさ
)
えるかのように。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
顔のどの部分と言わず
癢
(
かゆ
)
い吹出ものがして、
膿
(
う
)
み、
腫
(
は
)
れあがり、そこから血が流れて来た。
制
(
おさ
)
えがたく若々しい青春の
潮
(
うしお
)
は身体中を
馳
(
か
)
けめぐった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
父を
逐
(
お
)
うものは叔父達だ。頼りの無い家のものの手から、父を奪うのも、叔父達だ。この考えは、お俊の小さな胸に
制
(
おさ
)
え難い
口惜
(
くや
)
しさを起させた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何時の間にか私はこの老学士と
仲好
(
なかよし
)
に成って自分の身内からでも聞くように、その
制
(
おさ
)
えきれないような嘆息や、内に憤る声までも聞くように成った。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかしこの墓参りを一切りとして
身体
(
からだ
)
を休めたいと考えるほど、人知れず
制
(
おさ
)
えに制えて来た激しい疲労を感じていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
岸本は自分の部屋へ行ってからも、胸の中に
湧
(
わ
)
き上って来る感動を
制
(
おさ
)
えることが出来なかった。丁度節子は酔っている叔父のために
冷水
(
おひや
)
を用意して来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの
邪気
(
あどけ
)
ない、
制
(
おさ
)
へても制へきれないやうな笑声は、と聞くと、省吾は
最早
(
もう
)
遊びに来て居るものと見える。時々若い女の声も混つた——あゝ、お志保だ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何となくお種は興奮していて、時々自分で
制
(
おさ
)
えよう制えようとするらしいところが有る。顔色もいくらか
蒼
(
あお
)
ざめて見える。三吉は姉を休ませたいと思った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「繁ちゃんが兄さんの
凧
(
たこ
)
を破いたッて、それから喧嘩に成ったんですよ」と節子は繁を
制
(
おさ
)
えながら言った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その彼は容易ならぬ周囲の形勢を見、部下の要求の
制
(
おさ
)
えがたいことを知り、後には自ら進んで遣韓大使ともなり朝鮮問題の解決者たることを志すようになった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
新年早々屠牛を見に行くとは、随分
物数寄
(
ものずき
)
な話だとは思ったが、しかし私の遊意は
勃々
(
ぼつぼつ
)
として
制
(
おさ
)
え難いものがあった。朝早く私は上田をさして小諸の
住居
(
すまい
)
を出た。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
各派教導職の不平も
制
(
おさ
)
えがたくなって、この国の教化事業はただただ荒れるに任せ、一切を建て直そうとする御一新の大きな気象もついには失われて行くであろう。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして、
制
(
おさ
)
えがたい落胆と戦いつつ、元来た雪道を帰って行った。一時間あまり乗合馬車の
立場
(
たてば
)
で待ったが、そこには車夫が多勢集って話したり笑ったりしていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
石段を上って来て、火事見舞を言いに寄るものもあった。正太は心の
震動
(
ふるえ
)
を
制
(
おさ
)
えかねるという風で
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
年老いた身の寄せ場所もないような冷たく
傷
(
いた
)
ましい心持が、親戚の厄介物として見られような悲しみに混って、
制
(
おさ
)
えても制えても彼女の胸の中に
湧
(
わ
)
き上り湧き上りした。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こう申しては
勿体
(
もったい
)
ないのですが、旦那様程の御人の好い御方ですら
制
(
おさ
)
えて制えきれない嫉妬の為めには、さあ、男の本性を顕して——獣のような、
戦慄
(
みぶるい
)
をなさいました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ややもすれば兄をしのごうとするこの弟の子供を
制
(
おさ
)
えて、何を言われても黙って
順
(
したが
)
っているような太郎の性質を延ばして行くということに、絶えず私は心を労しつづけた。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
下から持ち上げる力の
制
(
おさ
)
えがたさは、こんな
些細
(
ささい
)
なことにもよくあらわれていた。これまで、実に非人として扱われていたものまで、大手を振って歩かれる時節が到来した。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
捨吉は人を教えるという勤めの辛さを
味
(
あじわ
)
った。どうかして自分の熱い切ない
情
(
こころ
)
を勝子に伝えたいとは思っても、それを伝えようと思えば思うほど、余計に自分を
制
(
おさ
)
えてしまった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
流れ
丸
(
だま
)
はしばしば飛んで宮中の
内垣
(
うちがき
)
に及んだという。
板輿
(
いたこし
)
をお庭にかつぎ入れて
帝
(
みかど
)
の御動座を
謀
(
はか
)
りまいらせるものがあったけれども、一橋慶喜はそれを
制
(
おさ
)
えて動かなかったという。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
どうかすると彼の調子は
制
(
おさ
)
えることの出来ないほど
激昂
(
げっこう
)
したものと成って行った。それが戯曲的にすら聞えた。両手で顔を押えながら聞いていた豊世は、夫の
口唇
(
くちびる
)
を
霑
(
うるお
)
してやった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
幕府の老中らはその専断で外人の圧迫を免れようとする日にあたり、慶喜は飽くまで公武一和の道を守り、勅命を仰ぐの必要を主張し、断然として幕府を
制
(
おさ
)
える態度に出たからである。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
捨吉は言いあらわし難い自分の心持を
制
(
おさ
)
えようとして、さかんな
蛙
(
かえる
)
の声が聞えて来るような鎌倉のある農家の一間で、岡見が
編輯
(
へんしゅう
)
する小さな雑誌の秋季附録のために一つの文章をも書いた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ある日、私は自分の
忿
(
いか
)
りを
制
(
おさ
)
えきれないことがあって、今の
住居
(
すまい
)
の玄関のところで、思わずそこへやって来た三郎を打った。不思議にも、その日からの三郎はかえって私になじむようになって来た。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先生は自然と出て来る楽しい
溜息
(
ためいき
)
を
制
(
おさ
)
えきれないという風に、
心地
(
こころもち
)
の好い沸かし湯の中へ身を浸しながら、久し振で一緒に成った高瀬を
眺
(
なが
)
めたり、田舎風な
浅黄
(
あさぎ
)
の
手拭
(
てぬぐい
)
で自分の顔の汗を
拭
(
ふ
)
いたりした。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
制
(
おさ
)
え難い悔恨の情が起って来た。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
制
常用漢字
小5
部首:⼑
8画
“制”を含む語句
制服
制動機
制止
制度
禁制
制裁
強制
女人禁制
節制
制御
制馭
抑制
制限
制帽
圧制者
裁制補導
箝制
以夷制夷
制規
制作
...