はね)” の例文
はねたりけりかゝりし程にところ村役人むらやくにん等は二ヶ所にての騷動さうどうを聞傳て追々に馳集り先友次郎等を取圍とりかこみ事の樣子を聞けるに友次郎はかたち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこで欄干にもたれかかって煙草たばこを——つい橋袂はしだもとに酒場もあるのに、この殊勝な心掛をはね散らして、自動車が続けさまに、駆通る。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かくに私は東京府から御払の地所を買請かいうけたまでの事なれば、府の命に服従するのみ、何か思召おぼしめしもあらば府庁へ御談おだんしかるべしとはね付ける。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
国に入つてはその国法に従ふべきもので、斬首をもつて望まれたら首をはねられて死ぬべきものだし、火炙りに処せられたら焼けて死ぬより仕方がない。
翼をはねて宙へ舞い上がるような形をなしている黝色の屋根と、それを支えている白亜の壁との調和にあるね。
赤げっと 支那あちこち (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三週間ばかり前、あの方はゲィツヘッドへ歸つてゐらして、奧さまに財産全部を讓つて欲しいと仰しやつたのです。奧さまははねつけておしまひになりました。
吉原の昼間のお客といえばまず田舎侍であった。芝居ははねが夜に入るから一幕は見残して帰らねばならなかった。古参になるとずるく構えて、大切まで見て帰った。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
随分トハ思ヒシカドモ、逆徒ノ大将ノ子ナレバ其沙汰隠レナクシテ力及バズ、山ヲ下シ、武士ノ手ニワタシ、アヘナクくびヲバはねニケル、二人ノ小姓モサイゴヘハヨセザリケレバ
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
改心してもう身動きも出来ん程悪事をして、の道おかみの手に掛って素首そっくびはねられる身の上、よしんば大夫が今坊主になっても、粥河圖書が在俗の時分是々の悪事があるといえば
何時の間に死骸の首をはねて爾して何時の間に堀の底へ沈めただろう
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
今の値として三千円位のものらしいが今十年で三千円というのは大したおんなでない。もっとも娼妓なら中々いい代物であるから、松葉屋瀬川も娼妓並としておいていいか。それとも君太夫が五十両もはねたか。
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
きゃっ!と云うとはね返って、道ならものの小半町、膝とかかとで、抜いた腰を引摺ひきずるように、その癖、怪飛けしとんでげて来る。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そへて此方へおくられ拙者迄せつしやまで落度おちどをさせ重々ぢう/\不調法ぶてうはふ斯樣かやう不埓ふらちにて御役がつとまるべきや不屆ふとゞ至極しごくなり揚屋あがりやいり申付るとりしかば同心とびかゝり粂之進くめのしん肩衣かたぎぬはねたちまちなは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
又穢れたる者の素首そっくびはねるような腰の物は持たん、縄にかけて役所へ引くから左様そう心得ろ、嗚呼立派な武士でありながら、如何に慾に迷えばとてかる行いをいたして不届至極な奴である
泥脚とすねの、びしょびしょ雨の細流せせらぎくいの乱るるがごとき中へ、はねも上げないつまをきれいに、しっとりした友染ゆうぜんを、東京下りの吾妻下駄あずまげたの素足にさばいたのが、ちらちらとまじるを見ると
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
致したりかすみせきの坂下にてわるいぬめが吼付ほえつくゆゑ據所よんどころなく拔討ぬきうちに犬を斬しが其血がはね衣類いるゐ如斯こんなよごせしなりと云つゝ吐息といきつくさまどうあやしく思はれたり夫のみならず第一に病家びやうかへ行にかさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)