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ふりがな文庫
“
使嗾
(
しそう
)” の例文
衣裳屋のショーウインドウのマネキン人形はまだ消えない朝の電燈の下で今年の秋の流行はペルシャ
野羊
(
やぎ
)
であることを
使嗾
(
しそう
)
して居る。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
學生を
使嗾
(
しそう
)
して一緒に採集に出かけたりしたが、一つは年齡のゆゑ、後には時勢のゆゑで、折角の樂しみは成育を
礙碍
(
がいがい
)
せられた。
すかんぽ
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
四人を
使嗾
(
しそう
)
して綱宗に遊蕩をすすめ、かれらを使嗾したという事実、を
湮滅
(
いんめつ
)
するために、七兵衛らを
煽動
(
せんどう
)
してこれを暗殺した。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
随分沢山人を斬っている、というその一面には、会津に上手な使い手があって、近藤等を煽動し、
使嗾
(
しそう
)
してうまく働かせた。
話に聞いた近藤勇
(新字新仮名)
/
三田村鳶魚
(著)
もし叩きつけるとすれば、彼ら三人を無心に
使嗾
(
しそう
)
して、自分に
当擦
(
あてこす
)
りをやらせる天に向ってするよりほかに仕方がなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「なんだって、
無頼者
(
ならずもの
)
を
使嗾
(
しそう
)
して僕をこんな所へ引っぱって来たんですか。君たちは白昼に
追剥
(
おいはぎ
)
でもやろうっていうのか」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまり、あの男が昨日わたしのところへ話しに来たのは、自分の意志から出たことか、それとも、あなたの
使嗾
(
しそう
)
によるものか? という問題ですな。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この間、台中法院より竹井検察官が埔里に急行し、蕃人
使嗾
(
しそう
)
の嫌疑ある本島人被疑者を片はしから検挙した。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
それは、川波大尉こそは、第一話に出て来た熊内中尉に、あの恐ろしい無理心中を
使嗾
(
しそう
)
した悪漢だった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
上に立っている大物が、我々の主義と行動とを押さえつけよう苅り取ろうと、代官松を
使嗾
(
しそう
)
したのだ。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
and as an idea came to her 歩道に急止して私を
使嗾
(
しそう
)
したのである。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
すると友達の悪太郎に
使嗾
(
しそう
)
せられて、隣村の
林檎畑
(
りんごばたけ
)
へ
夜襲
(
ナイトレーデ
)
を行ったことを、歴然と思い出しました。それは少年の心をわくわくさせるようなロマンチックな冒険でした。
若杉裁判長
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
斯くて前記永禄二年
己未
(
つちのとひつじ
)
の正月、織部正の命を受けて
志太遠江守
(
しだとおとうみのかみ
)
の軍勢は浅沼郡へ進発したが、檜垣の門徒等は在々所々の土民百姓共を
使嗾
(
しそう
)
して至る所に
一揆
(
いっき
)
を起させ
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕たちを
使嗾
(
しそう
)
させ、あんな愚劣な朗読劇なんかで王をためさせて、それでも王は平気だから僕たちはがっかりして、あの恐ろしい疑いもおのずから僕たちの胸から消え去り
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
さらにその子供を
使嗾
(
しそう
)
して
親爺
(
おやじ
)
の金を持ち出させた親ざるはやはり一種の搾取者である。
さるかに合戦と桃太郎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
中には父兄の
使嗾
(
しそう
)
によって、かえって盛んに自尊心を高ぶらす者もあるやに聞きますが、しかもその
裏面
(
うら
)
において、いっそう気の毒な心の底のあることを、考えねばなりません。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
あるいは、父親が
使嗾
(
しそう
)
して、子どもたちにまま母を殺させたとも考えられるのです。
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それに『リシュリュウ
機密閣
(
ブラック・キャビネット
)
史』を当てたのでしたけれども、恐らくその人名は、家族の者にも、また貴方がた捜査官にも、なんらかの
使嗾
(
しそう
)
を起さずにいまいと考えられておりました。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
(玄茂も常陸の者である、
蓋
(
けだ
)
し玄明の一族、或は玄茂即玄明であらう。)此時、此等の大変に感じて精神異常を起したものか、それとも玄明等
若
(
も
)
しくは何人かの
使嗾
(
しそう
)
に出でたか知らぬが
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこで、老人自身は身を隠しながら、ルンペンどもを
使嗾
(
しそう
)
して、反対に探偵を苦しめようとしているのかもしれない。それには、明智が獣人恩田に変装しているのが、もっけの幸いではないか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
六師の異端なお盛んに行われた時、
栴遮摩那耆
(
せんしゃまなき
)
てふ女がその師に
使嗾
(
しそう
)
されて、日々まじめ顔で仏の説法を聴きに通う内、腹に草を包み日々膨脹せしめ、後には木鉢を腹に
繋
(
つな
)
いで臨月の体を示した。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
小野田はその妻や娘を売物にすることを
能
(
よ
)
く知っている、思附のある興行師か何ぞのような自分の
計劃
(
けいかく
)
で、成功と虚栄に
渇
(
かわ
)
いている彼女を
使嗾
(
しそう
)
する術を得たかのように、自信のある目を輝かしていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あのこととは、いうまでもなく、彼が奈良井の大蔵に
使嗾
(
しそう
)
されて機をうかがっていた「新将軍
狙撃
(
そげき
)
」の
企
(
たくら
)
み事であった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中学の教師
堀田某
(
ほったぼう
)
と、
近頃
(
ちかごろ
)
東京から
赴任
(
ふにん
)
した生意気なる某とが、順良なる生徒を
使嗾
(
しそう
)
してこの
騒動
(
そうどう
)
を
喚起
(
かんき
)
せるのみならず、両人は現場にあって生徒を指揮したる上
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実に黒河内の
使嗾
(
しそう
)
による者で、主立つ者は二人——一人はT市の
壁蝨
(
だに
)
というべき、有名なる無頼漢『深夜の市長』と、もう一人は愕くなかれ現職の司法官浅間新十郎という悪役人だッ
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼らは山法師の
使嗾
(
しそう
)
によって建仁寺を破壊した。仏光寺を破壊した。天龍寺を破壊した。法然上人の墓処を破却した。彼らは実に僧兵の下働きとして、暴力団の任務を行ったのであった。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
犬は、こういう酷寒の地では雪中にもぐって、眠る——と、いうことが重大な
使嗾
(
しそう
)
となった。その夜、これまで解けなかった「冥路の国」の怪が、彼にやっと分ったような気がしたのだ。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ルンペンどもを
使嗾
(
しそう
)
して彼を襲撃させる理由がない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「すると、久世侯は
使嗾
(
しそう
)
されたというのか」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それと僧妙吉とが結託して、打倒
高家
(
こうけ
)
の要を、事あるごとに直義へ
使嗾
(
しそう
)
し、直義もまた、それに傾いていると、道誉はすべてを吐いたように話した。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供の時、親爺の
使嗾
(
しそう
)
で、夜中にわざわざ青山の墓地まで出掛けた事がある。気味のわるいのを我慢して一時間も居たら、たまらなくなって、
蒼青
(
まっさお
)
な顔をして
家
(
うち
)
へ帰って来た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしダリアの
使嗾
(
しそう
)
に乗った理学士も、金庫の金を盗んだり、それからダリアの喜びそうもない
情婦
(
じょうふ
)
桃枝のことを手紙から知られると、すっかりダリアに秘密を握られてしまった
恰好
(
かっこう
)
になった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
常に
行
(
ぎょう
)
を行う際に、くらが占めている座席であり、かつまたその高さが彼女の眼の位置だとすれば、当然それと対座している十四郎との関係に、なにか滝人を、
使嗾
(
しそう
)
するものがあったに相違ない。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
もちろん、その袁紹が、一方では公孫瓚を
使嗾
(
しそう
)
しているなどとは知らないので、韓馥は大いに驚いて、群臣と共に、どうしたものかと、評議にかけた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
法水は必死の精気を
凝
(
こ
)
らしてすべてを伸子に集注しようとした。かつての「コンスタンス・ケント事件」や「グリーン殺人事件」等の教訓が、この場合、反覆的な観察を
使嗾
(
しそう
)
してくるからである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と、
使嗾
(
しそう
)
して、追手をかけ、追手は城外の
船入堤
(
ふないりつつみ
)
で、与十郎を捕え、めった斬りにして、その首を持って帰った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『まだようわからぬ、それ程、この身を
庇
(
かぼ
)
うてくれるおん身が、なぜ、捕手を
使嗾
(
しそう
)
して、私を苦しめたのですか』
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一つ 混乱に
乗
(
じょう
)
じて、部下の兇兵を
使嗾
(
しそう
)
し、宮に害刃を加えたてまつる。天人ともに憎むところ。その罪の八。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(——文化の破壊者だ。
野放図
(
のほうず
)
もない魔王が、獣群を
使嗾
(
しそう
)
して、社会を野原とまちがえて出て来たものだ)
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本願寺と通じては、本願寺からかねを取り、
近畿
(
きんき
)
の不平分子を
使嗾
(
しそう
)
しては、時々、信長の裏を掻く。そして気配がわるければ、それを
宥
(
なだ
)
めて、自分の功とする。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、松平家ともあるものが、微々たる浪人者を
使嗾
(
しそう
)
したようで世間の聞こえもどうかと思われる。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの折、織田殿の名をもって、この堺へも、二万金の
賦課
(
ふか
)
がいい渡されたのです。それを、背後にある三好党の
使嗾
(
しそう
)
で、わしたち堺の代表者は、きっぱり
刎
(
は
)
ねつけました。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっとも雨龍に殺す意志がなくても、玄蕃はきっと前からの行きがかりで、自分を殺すように
使嗾
(
しそう
)
するだろう——しかし、判らないのはここにいる雨龍の妾らしい女の振舞いだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袁術と、亡父孫堅とは、交わりのあった仲であるのみならず、孫堅が
劉表
(
りゅうひょう
)
と戦って、曲阿の地で討死したのも——まったく袁術の
使嗾
(
しそう
)
があの合戦の動機でもあったから、——袁術も同情して
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、五台四
明
(
めい
)
の峰に
法
(
のり
)
の
灯
(
ひ
)
をともしたのは、
神輿
(
みこし
)
をかついで朝廷へ
嗷訴
(
ごうそ
)
するためだったか。政治に
容喙
(
ようかい
)
して特権を
逞
(
たくま
)
しゅうするためだったか。武力とむすび権門を
使嗾
(
しそう
)
し、世を
紊
(
みだ
)
すためだったか。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをまたご意見もせず、かえって
使嗾
(
しそう
)
する側臣などもおりますために
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宮津一藩を
使嗾
(
しそう
)
したのではあるまいかと個人的な考察もつけ加えた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さては、光秀を
使嗾
(
しそう
)
して、他国へ使いさせたにちがいない」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、いわんばかりに、眼でぎらぎらと、
使嗾
(
しそう
)
した。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“使嗾”の意味
《名詞》
唆すこと。けしかけること。
(出典:Wiktionary)
使
常用漢字
小3
部首:⼈
8画
嗾
漢検1級
部首:⼝
14画
“使嗾”で始まる語句
使嗾者