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ぎょうてん
ふりがな文庫
“
仰天
(
ぎょうてん
)” の例文
無知な者は、罪を
犯
(
おか
)
す時まではそんなに大それたことと思わないでいて、犯した時に至って初めて、その罪の大きかったのに
仰天
(
ぎょうてん
)
する。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
吾輩などは始めて当家の令嬢から鏡を顔の前へ押し付けられた時に、はっと
仰天
(
ぎょうてん
)
して屋敷のまわりを三度
馳
(
か
)
け回ったくらいである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なぜならば
仰天
(
ぎょうてん
)
して迎えに出た
和尚
(
おしょう
)
も左右の者までが、余りに何の設備もない小寺に過ぎないことを
諄
(
くど
)
く言い訳するからだった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、電話が通じて、ホテルの支配人の話を聞くと、彼はアッと
仰天
(
ぎょうてん
)
してしまった。明智は間違いなく昨日予定の列車で帰京したという。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その時その役に当ったのは加藤という少年だったが清逸は加藤の依頼に応じて答辞の文案を作ってやった。受持教員はそれを読んで
仰天
(
ぎょうてん
)
した。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
甚太夫はさすがに
仰天
(
ぎょうてん
)
しながら、ともかくもその遺書を開いて見た。遺書には敵の消息と
自刃
(
じじん
)
の
仔細
(
しさい
)
とが
認
(
したた
)
めてあった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「………」猫八はそれでもこの最後の泣き合いの一件を聴くにいたってびッくり
仰天
(
ぎょうてん
)
をしたほどに目を見張ってみせた。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
突然窓から吹きだした
紅蓮
(
ぐれん
)
の炎に、肩車担当の二警官はびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
、へたへたとその場に
尻餅
(
しりもち
)
をついたからである。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分の実の子(もっとも彼は
蟹
(
かに
)
の
妖精
(
ようせい
)
ゆえ、一度に無数の子供を卵からかえすのだが)を二、三人、むしゃむしゃ
喰
(
た
)
べてしまったのを見て、
仰天
(
ぎょうてん
)
した。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それが男よりもズット
敏捷
(
びんしょう
)
で、
向不見
(
むこうみず
)
と来ているのですから、Aはイヨイヨ
仰天
(
ぎょうてん
)
して、悲鳴を揚げながら逃げ迷う。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夫人が
仰天
(
ぎょうてん
)
したのも無理はない。ウォウリング警部は、みなまで聞かずに、帽子を握り締めて突っ
起
(
た
)
っていた。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
……思いもかけぬ父の出現に、わたしはびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
のあまり、彼がどこからやって来て、どこへ姿を消したのか、初めは気がつかなかったほどであった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
その時俺は変な物を見た。若い女と若い男だ。人の背中に背負われていた。衣裳の胸に
刺繍
(
ぬいとり
)
があった。それを見て俺は
仰天
(
ぎょうてん
)
した。青糸で渦巻きが
刺繍
(
ぬいと
)
られていたんだ。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
猛太は
仰天
(
ぎょうてん
)
した、かれはふたたび火中に飛びこんだ、もう火の手は
床
(
ゆか
)
一面にひろがった、右を見ても左を見ても火の波がおどっている。
天井
(
てんじょう
)
には火竜の舌が輝きだした。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
隣りの
明店
(
あきだな
)
に隠れて居りました江戸屋の清次は驚きましたが、
通常
(
あたりまえ
)
の者ならば
仰天
(
ぎょうてん
)
して逃げ
途
(
ど
)
を失いますが、そこが
家根屋
(
やねや
)
で火事には慣れて居りますから
飛出
(
とびだ
)
しまして
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お、あにい」政は
仰天
(
ぎょうてん
)
したように一歩さがった、「おめえどうして、こんなところへ」
あすなろう
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ある日ハイドンは、町の
玩具屋
(
おもちゃや
)
へ行ってあらゆる
鳴物
(
なりもの
)
の玩具を求め、それを自分の楽員達に配って、新作の交響曲を演奏させた。楽員達が
仰天
(
ぎょうてん
)
したのも無理のないことであった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
大坂城中のものは皆顔色を失い、びっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
して叡慮のいずれにあるやを知らない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
勘次が
仰天
(
ぎょうてん
)
して口を出した。が、予期していたことのように藤吉はすましていた。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
百姓は
仰天
(
ぎょうてん
)
し、「飛んでもないこと、
渠奴
(
あいつ
)
のような大盗人に、百磅は愚か、一ペニーたりとも渡せるものか」と、始めはなかなか承知すべき
気色
(
けしき
)
もなかったが、遂にカランの弁舌に説き落され
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
二人の外には、大納言だけが
仰天
(
ぎょうてん
)
したような顔をして、残る。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
唯
仰天
(
ぎょうてん
)
す可きのみ。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「げッ!」と、
仰天
(
ぎょうてん
)
したのは、周馬ばかりか、お十夜も同様、カラリと手の盃を取り落して、言いあわしたようにヌッと立った。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
並み居る役人も番卒も、一同に
仰天
(
ぎょうてん
)
した。支えに行く間に、もう新兵衛はキリキリと引き廻して
咽喉笛
(
のどぶえ
)
をかき切り見事な切腹を遂げてしまった。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると作蔵君はよほど
仰天
(
ぎょうてん
)
したと見えやして助けてくれ、助けてくれと褌を置去りにして一生懸命に逃げ出しやした……
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、少女の顔をつくづく見ますと、泰二君はまたしても
仰天
(
ぎょうてん
)
してしまいました。ああ、なんということでしょう。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さあ、みんなびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
、にげ出す者もあれば、その場で腰をぬかす者もあった。そうして、ほうほうのていで、時計屋敷からにげだしたのであった。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おばあさまは、自分の部屋から火事が出たのを見つけだした時は、あんまり
仰天
(
ぎょうてん
)
して口がきけなくなったのだそうだけれども、火事がすむとやっと物がいえるようになった。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「拾ったお金で活動を見たの?」と文子は
仰天
(
ぎょうてん
)
していった。だれもそれには答えなかった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
とにわかに
仰天
(
ぎょうてん
)
し宗介は几帳を掻いやったがぐたりと膝を床に突いた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
仲居の女はこうしてと言って、血相が変って口が
利
(
き
)
けないのを手で補って、
咽喉
(
のど
)
を掻き切る
真似
(
まね
)
をしたのですから、備前屋の主人は
仰天
(
ぎょうてん
)
しました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのなぞが持つ秘密が、やがてとける日が来たとき、この素人職工たちはびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
しなくてはならなかった。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大鳥氏は
仰天
(
ぎょうてん
)
して、あわただしく板戸をひらきました。すると、おお、ごらんなさい、そこにはまぎれもない門野支配人が、やつれた姿で立っていたではありませんか。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と
仰天
(
ぎょうてん
)
して、
蛾次郎
(
がじろう
)
みずから、そこにじぶんのいることを、となりの武士に知らしてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野だはよっぽど
仰天
(
ぎょうてん
)
した者と見えて、わっと言いながら、
尻持
(
しりもち
)
をついて、助けてくれと云った。おれは食うために玉子は買ったが、
打
(
ぶ
)
つけるために袂へ入れてる訳ではない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
葉之助はハッと
仰天
(
ぎょうてん
)
したが、今となってはどうすることも出来ない。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小林文吾も
仰天
(
ぎょうてん
)
しないわけにはゆきません。
押取刀
(
おっとりがたな
)
でその場へ駈けつけて見ると、岡村は左の肩から右の
肋
(
あばら
)
を斜めに断たれて、二つになって無残の
最期
(
さいご
)
。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
村人たちがそんなうわさをしているとき、谷博士が村へひょっくり姿をあらわしたので、みんなびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
南無
(
なむ
)
三——もとの主人卜斎だったかと、
仰天
(
ぎょうてん
)
した蛾次郎は、すばやく風を
食
(
く
)
らって逃げだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若い未亡人は、この探偵作家気でも違ったのではあるまいかと、びっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
した表情だ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
老師も数馬もあッと
仰天
(
ぎょうてん
)
しそのまま棒のように立ち止まった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一座の者が敵となく味方となく
仰天
(
ぎょうてん
)
したのは、槍を手元へ引かないで、机竜之助が、擬いの神尾主膳の咽喉元を一突きに突き刺して、その穂先は床柱へ深く
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それを見ると、大辻はびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
して、あっと叫ぶなり、その場に一メートルほどもとびあがったと思うと、妙な腰つきをして山道を
匐
(
は
)
うように逃げだした。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と
仰天
(
ぎょうてん
)
して、いななく駒の手綱をしめながら、城楼をふり仰ぐと、
糜竺
(
びじく
)
が壁上にあらわれて
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
会員達を
戦慄
(
せんりつ
)
させ、
仰天
(
ぎょうてん
)
させ、アッと云わせる趣向を立てなければならぬのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「なに!」と左膳は
仰天
(
ぎょうてん
)
した。「何、花村が参ったと?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私が思いがけなくすっかり底を割ってしまったので、ロッセ氏は、私の話の途中、いくたびも
仰天
(
ぎょうてん
)
して、私の
袖
(
そで
)
をひいて、話をやめさせようとしたほどであった。
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
山の根も
揺
(
ゆ
)
るいだかと思うほど、
仰天
(
ぎょうてん
)
してよろめいた身を、お綱はあやうく手で
支
(
ささ
)
えた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不意のことでしたから、後家さんも
仰天
(
ぎょうてん
)
して、よろよろよろけかかるのを竜之助は
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
近づいて見ると、彦太郎の
仰天
(
ぎょうてん
)
したことは、父親はそこで死んでいたのである。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“仰天”の意味
《名詞》
仰 天(ぎょうてん)
非常に驚くさま。人を非常に驚かせるさま。
(出典:Wiktionary)
“仰天”の解説
仰天とは、ひどくびっくりすること。心理的なショックを受け、一時的な茫然自失の状態に陥った様子を表す。
人間が心理的に感情の行き場を見失った際、顎を上にあげ天を仰ぐ様から、日常言語に組み入れられた。現実的には仰天した状態から立ち直る為に、誰に向けるでもない雑言を呟く等の代謝行動で、精神的に復帰するのが平均である。
(出典:Wikipedia)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
“仰”で始まる語句
仰
仰向
仰有
仰山
仰言
仰臥
仰々
仰付
仰反
仰飲