まざ)” の例文
こゑが、五位鷺ごゐさぎの、げつく、げつくともこえれば、きつねさけぶやうでもあるし、いたちがキチ/\とぎしりする、勘走かんばしつたのもまざつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先日こなひだの特別議会が済むと、田舎出の議員の多くは汽車に乗込んでぞろぞろ国元へ帰つてつた。そのなかに山口県選出の三すみ哲雄氏もまざつてゐた。
かんざしは鶴がついているのと、銀杏いちょうの葉とのがあって、ピラピラに、舞鶴まいづるや、と役者の屋号を書いたのと、勘五郎としたのと、銀之助と書いたのとがまざっていた。
男のなかにまざって、を取決めたり、値段の掛引をしたり、尺を取ったりするあいだ、お島は自分の浸っているこの頃の苦しい生活を忘れて、浮々した調子で
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
其上に不必要な物がまざつてゐる位いではないかと云ふと、それはさうだ、金持で、人を大勢連れて、沢山荷物を持つて旅行をするのなら、家財を皆持つて歩いてもいのだ
魔睡 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ところどころにまざ女松めまつの木地などには、たらたらと赤黄色いやにが流れて居るのであった。
かやの生立 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼の行動を批判する彼自身のめたい正義観念もまざっていたが、要するにそんなような種々雑多な印象や記憶の断片や残滓ざんさいが、早くも考え疲れに疲れた彼の頭の中で、かしになったり
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おくみはいつしか垣の根へこゞんで、土の上に置いた笊の実の中に、青木さんが草の上へお置きになつたか、朽ちた細い芝草のごみがまざつてゐるのを取つてゐた。指の先が薄い紫色の汁に染つた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
牧羊神パンの血潮とまざめぐつた、かの頃を私は追惜します。
若し偶然ひよつとして韲物あへものの中に胡桃くるみからでもまざつてらうなら、私は何の気もつかずに、夫をもついみ割つたかも知れぬ。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
たかひくく、声々こゑ/″\大沼おほぬまのひた/\とるのがまざつて、暗夜あんやきざんでひゞいたが、くもからりたか、みづからいたか、ぬま真中まんなかあたりへうすけむり朦朧もうろうなびいてつ……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それでも一つ黄いろいのがまざつてゐるぢやあないか。」
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
だが、その代りにたしなみの方ではまざりつなしの画家ゑかきにならうとして、いろんな物を食べ歩いた。
で、宿やど了見れうけんばかりで電報でんぱうつた、とえて其処そこ出逢であつた一群いちぐんうちには、おうら親類しんるゐ二人ふたりまざつた、……なかない巡査じゆんさなどは、おな目的もくてきで、べつ方面はうめんむかつてるらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
尤も中には何処へ出しても引けを取らない珍らしいのもまざつてゐるが、一番多いのは今普通ざらにある五厘、一銭五厘、三銭……といつたやうな切手で、池田氏はその値段を勘定するのに