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乾物
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ひもの
ふりがな文庫
“
乾物
(
ひもの
)” の例文
焼酎
(
せうちう
)
を注文して、一気に飲み干すと、二杯目をまた注文した。客は誰もゐなかつた。
乾物
(
ひもの
)
を焼く匂ひが裏の方から流れて来た。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「どうした八、腹が減つたらう。有合せの
乾物
(
ひもの
)
で底を入れてから話して見るが宜い。大した結構な手柄もなかつたやうだが」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
侯爵夫人は
側
(
そば
)
にゐる大隈侯の顔をちらりと見た。侯爵は
鱈
(
たら
)
の
乾物
(
ひもの
)
のやうな顔をして
凝
(
じつ
)
と何か考へ込んでゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
町には、行路病者の死骸が、
乾物
(
ひもの
)
みたいにからからになって捨てられてあったり、まだ息のある病人の着物を
剥
(
は
)
いで盗んでゆく非道な人間だのが横行していた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをお土産だなんて図々しくほらを吹いて、また鰻だって後で私が見たら、薄っぺらで半分乾いているような、まるで鰻の
乾物
(
ひもの
)
みたいな情無いしろものでした。
饗応夫人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
「何か
私
(
わし
)
も
旨
(
うめ
)
え
乾物
(
ひもの
)
など見付けて提げて来よう、待っていさっせえ。」と作平はてくてく出かけて
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勿論そんなら是からは
乾物
(
ひもの
)
ばかりをかじり、夏は裸で学校にも出ることにしようなどと、そんな無茶なことを申すのではない。
本
(
もと
)
に
復
(
かえ
)
れと言っても文化は複合している。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自宅
(
うち
)
の惣菜や、
乾物
(
ひもの
)
の残りを持込んで、七輪を起す
女連
(
おんなづれ
)
も居るという訳で、何や
彼
(
か
)
や片付いた十一時過になると福太郎の狭い納屋の中が、時ならぬ
酒宴
(
さかもり
)
の場面に変って行った。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
暑い日にも腐らぬやうな
乾物
(
ひもの
)
だとかから鮭の切身だとかを持つて来て、それを
菜
(
さい
)
にした。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「ただの、細長い、魚の
鰭
(
ひれ
)
のようなものでな、ま、こんな、こちこちの
乾物
(
ひもの
)
じゃ。」
釘抜藤吉捕物覚書:12 悲願百両
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「あんまり大きな親切なので、それが彼奴らには解らねえのさ」銅兵衛ここで
頤
(
あご
)
を撫でた。「だがそれにしてもこう
不漁
(
しけ
)
じゃあ、親切の
乾物
(
ひもの
)
が出来そうだ。小判の五六枚も降らねえかな」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
前菜に蝶鮫の
乾物
(
ひもの
)
を撮んでから、三人は五時ちかくになって食卓についた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
それは熊野浦で
獲
(
と
)
れた鯖を、
笹
(
ささ
)
の
葉
(
は
)
に刺して山越しで売りに来るのであるが、途中、五六日か一週間ほどのあいだに、自然に風化されて
乾物
(
ひもの
)
になる、時には狐にその鯖の身を
浚
(
さら
)
われることがある
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
もつと我執をもて! 我慾を!
排他的
(
エクスクルーシヴリイ
)
に一つの事に迷ひ込むことが唯一の救ひだ。アミエルの
乾物
(
ひもの
)
になるな。自分で自分のあり方を客觀的に見ようなどといふ・自然に
悖
(
もと
)
つた不遜な眞似は止めろ。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
トヾの
結局
(
つまり
)
が
博物館
(
はくぶつくわん
)
に
乾物
(
ひもの
)
の
標本
(
へうほん
)
を
残
(
のこ
)
すか
左
(
さ
)
なくば
路頭
(
ろとう
)
の
犬
(
いぬ
)
の
腹
(
はら
)
を
肥
(
こや
)
すが
世
(
よ
)
に
学者
(
がくしや
)
としての
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
なりと
愚痴
(
ぐち
)
を
覆
(
こぼ
)
す
似而非
(
えせ
)
ナツシユは
勿論
(
もちろん
)
白痴
(
こけ
)
のドン
詰
(
づま
)
りなれど、さるにても
笑止
(
せうし
)
なるは
世
(
よ
)
の
是
(
これ
)
沙汰
(
さた
)
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
この
乾物
(
ひもの
)
も持って行けと、こんなに恵んで下さいました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
秋刀魚
(
さんま
)
が
乾物
(
ひもの
)
になったような顔をした。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
衣
(
きぬ
)
を
透
(
とほ
)
して
乾物
(
ひもの
)
の
如
(
ごと
)
く骨だちぬ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
肌赤銅の
乾物
(
ひもの
)
にて
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「安心しろよ、お前には俺が燒いた
乾物
(
ひもの
)
で、一杯呑ましてやるから、まだ酒が少しは殘つて居る筈だ」
銭形平次捕物控:263 死の踊り子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「こんな、鶏の
乾物
(
ひもの
)
など、おれの口には合わん。おれは動いている奴を喰いたいのだ」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうも皆々様のまえですが、あのこじき野郎と来ちゃあ金魚の
乾物
(
ひもの
)
で……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
梅雨期
(
つゆどき
)
のせいか、その時はしとしとと皮に
潤湿
(
しめりけ
)
を帯びていたのに、年数も
経
(
た
)
ったり、今は
皺目
(
しわめ
)
がえみ割れて
乾燥
(
はしゃ
)
いで、さながら
乾物
(
ひもの
)
にして保存されたと思うまで、色合、
恰好
(
かっこう
)
、そのままの大革鞄を
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五十前後の
乾物
(
ひもの
)
のやうな中老人で、
算盤
(
そろばん
)
には明るさうですが、主人を殺すやうな人間とは見えません。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
乾物
(
ひもの
)
になるまで、そこから少し十方世界のひろさを見ろ、人間界を高処からながめて考え直せ。あの世へ行ってご先祖さまにお目にかかり、死に際に、沢庵という男がこう申しましたと告げてみい。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「函根の大地獄が火を噴いて、
蘆
(
あし
)
の
湖
(
こ
)
が並木にでもなるようなことがあったら、もう一度、
焚火
(
たきび
)
で
秋刀魚
(
さんま
)
の
乾物
(
ひもの
)
を
焚
(
や
)
いて、往来へ張った網に、一升徳利をぶら下げようと思わねえこともねえんでね。」
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五十前後の
乾物
(
ひもの
)
のような中老人で、
算盤
(
そろばん
)
には明るそうですが、主人を殺すような人間とは見えません。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「だまれ、どんな夏の旅だろうと、人間の
乾物
(
ひもの
)
ができた
例
(
ため
)
しはない」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松葉で
乾物
(
ひもの
)
をあぶりもして、寂しく今日を送る習い。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は相變らず
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
の亂れ飛ぶのを眺め乍ら、
鐵拐仙人
(
てつかいせんにん
)
のやうに粉煙草の煙を不精らしく
燻
(
ふか
)
すのでした。女房のお靜は、貧しい夕食の仕度に忙しく、
乾物
(
ひもの
)
を燒く臭ひが軒に籠ります。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は相変らず
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
の乱れ飛ぶのを眺めながら、
鉄拐仙人
(
てっかいせんにん
)
のように粉煙草の煙を不精らしく
燻
(
ふか
)
すのでした。女房のお静は、貧しい夕食の仕度に忙しく、
乾物
(
ひもの
)
を焼く臭いが軒に
籠
(
こも
)
ります。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“乾物”の意味
《名詞》
乾物(かんぶつ, 熟字訓:ひもの)
乾燥させた食物の総称。
(出典:Wiktionary)
“乾物”の解説
乾物(かんぶつ)とは、保存性や食味の向上を目的として水分を抜き乾燥させた食品の総称。
(出典:Wikipedia)
乾
常用漢字
中学
部首:⼄
11画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“乾物”で始まる語句
乾物屋