氏の生涯を通じて、いつの時代にも多くの乾分や門弟が附いてゐたけれども、その顔ぶれは各時代毎に違つてゐて、終始一貫師事した者は稀であつた。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
茶話:05 大正八(一九一九)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大阪で何とかいふ侠客の乾分になつたりして、十年ばかりもごろ/\してゐた後再び京都に舞ひ戻り、七条の停車場前にうどん屋を開いたのが当つて、それから後はとん/\拍子に発展し
また乾分多く、諸方に遣わして疫病を起す。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
翌朝、新門の辰五郎の乾分に応援をたのんで縁の下へもぐってもらうと、彼は難なく、その石の壁をあけてしまった。
明治開化 安吾捕物:14 その十三 幻の塔 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
雲州、江州、遠州、なんかという強い乾分がそろっている。本堂から方丈へかけて寝泊まりしたり、ごろごろしている親分乾分の掏摸を集めると百人近い人数になった。
人の集りの多い通夜の席には現れずに、野辺の送りがすんでから乾分をつれてドヤドヤとやってきたのは、ホトケをカモに一夜ゆっくり飲もうというコンタン。
明治開化 安吾捕物:09 その八 時計館の秘密 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
やい、木戸、仙場甲二郎、相手はこんな小男と、たかが女とわかっちゃ何も恐れることはないんだ。こんなやつのいうことを聞くより、この机先生の乾分になれ。そいつらふたりをやっつけてしまえ
親分と内儀だけ奥に残して、乾分たちは退散し、食堂のオヤジも二階の碁席へ追ッ払われる。
安吾巷談:06 東京ジャングル探検 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)