明治開化 安吾捕物めいじかいか あんごとりもの14 その十三 幻の塔14 そのじゅうさん まぼろしのとう
「なア、ベク助。貴公、小野の小町の弟に当る朝臣だなア。人に肌を見せたことがないそうだなア。ハッハッハア」 五忘にこう云われて、ベク助は苦い顔をした。イヤなことを云う奴だ。この寺へ奉公して足かけ四年になるが、五忘の奴がこう云いはじめたのは今年 …
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