トップ
>
一分
>
いちぶん
ふりがな文庫
“
一分
(
いちぶん
)” の例文
I博士の言うところを無断で借用すれば、ドリアンという臭くてうまいくだもののことなど知らなくても日本人の
一分
(
いちぶん
)
は立つのである。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
わしの
一分
(
いちぶん
)
が相立たん。おおい、ボーイ。そこできっとし返しにまいると。なア、そうでしたろがな。いけませんかな。げえっぷ、うう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
さればとて舊主を裏切っては武士の
一分
(
いちぶん
)
がすたれることを
慮
(
おもんぱか
)
って、
孰方
(
どちら
)
へも義理が立つように失明の手段を取ったのであると。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
空
(
むな
)
しく、その方どもが、蜂須賀村へ帰るのは、
一分
(
いちぶん
)
が立たぬというなら、
不肖
(
ふしょう
)
十兵衛の身を、
擒人
(
とりこ
)
として、連れて行くもよい。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おきになされい、丹下氏。貴殿にかかわった事ではござらぬ。左京
一分
(
いちぶん
)
だけのずんと
些細
(
ささい
)
なことでござる。」
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
このまま御主君の
妄執
(
もうしゅう
)
も晴らさずにおいては、家中の者の
一分
(
いちぶん
)
立
(
た
)
たずと、御城代大石内蔵助様始め、志ある方々が集まって、寄り寄り仇討の相談をなされた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
残念ながら致方が無い、と
丁
(
ちやん
)
とお
分疏
(
ことわり
)
を言うて、そして私は私の
一分
(
いちぶん
)
を立ててから立派に縁を切りたいのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私しハそふすれバ
一分
(
いちぶん
)
も立候得ども、
曽而
(
かつて
)
鞆の港へすておかれ候事ハ、是ハ紀州より土佐の士お、はづかしめ候事故に、私ニあいさつ致した位でわすみ不
レ
申
手紙:076 慶応三年五月二十八日 伊藤助太夫あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
「女が泣きながら言うんだそうで——身上に眼が
昏
(
くら
)
んだと思われちゃ女の
一分
(
いちぶん
)
が立たないから、若旦那が死んだと聴いてから、泣きの涙で半歳我慢したが——」
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
武士の
一分
(
いちぶん
)
相立ち申さず、お上へ対し
恐多
(
おそれおお
)
い事とは存じながら、かく
狼藉
(
ろうぜき
)
いたし候段、重々恐入り
奉
(
たてまつ
)
ります、此の上は無実の罪に
伏
(
ふく
)
したる友之助をお助け下され
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
悩乱
(
のうらん
)
のうちにまだ
一分
(
いちぶん
)
の
商量
(
しょうりょう
)
を余した
利巧
(
りこう
)
な彼女は、夫のかけた鎌を
外
(
はず
)
さずに、すぐ向うへかけ返した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
息を
吐
(
つ
)
く
隙
(
ひま
)
もなく、追撃又追撃、恨み重なる怪賊を、逮捕しないでは、
一分
(
いちぶん
)
が立たぬ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そりゃ、旗本に対しても、出ずばなるまい。他人の旗本でさえ、あれまでにしたものを、助太刀にも出ずして、むざむざ又五郎を討たれては、武士の
一分
(
いちぶん
)
が、立たぬではないか?」
寛永武道鑑
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
二の烏
生命
(
いのち
)
がけで乾ものを食って、
一分
(
いちぶん
)
が立つと思うか、
高蒔絵
(
たかまきえ
)
のお
肴
(
とと
)
を待て。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
過ぎし日の人魚の一件を物語り、金内がいのちに代えての頼みだ、あの人魚の死骸を是非ともこの入海の底から捜し出し、或る男に見せてやらなければこの金内の武士の
一分
(
いちぶん
)
が立たぬのだ
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
庄「なに宜く先程は失敬を致したな、
一分
(
いちぶん
)
立たんから
汝
(
てまい
)
を殺し、美代吉をも
殺害
(
せつがい
)
して切腹いたす心得だ」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さりとて、柴田家を離れては、士道の
一分
(
いちぶん
)
立ち難しとお考えの面々には、遠慮なくお立も退きあるように
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この問題を解釈しないでいたずらに同化するのは世のためにならぬ。自分から云えば
一分
(
いちぶん
)
が立たぬ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二の烏
生命
(
いのち
)
がけで
乾
(
ひ
)
ものを食つて、
一分
(
いちぶん
)
が立つと思ふか、
高蒔絵
(
たかまきえ
)
のお
肴
(
とと
)
を待て。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
愈々
(
いよいよ
)
影法師の仕業に定まったるか、エヽ
腹立
(
はらだた
)
し、我
最早
(
もはや
)
すっきりと思い断ちて
煩悩
(
ぼんのう
)
愛執
(
あいしゅう
)
一切
棄
(
すつ
)
べしと、胸には
決定
(
けつじょう
)
しながら、
尚
(
なお
)
一分
(
いちぶん
)
の未練残りて
可愛
(
かわゆ
)
ければこそ
睨
(
にら
)
みつむる彫像、
此時
(
このとき
)
雲収り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
丹三郎ひとりが
溺
(
おぼ
)
れ死んで、お前が助かったとあれば、丹後どのの手前、この式部の武士の
一分
(
いちぶん
)
が立ちがたい。ここを聞きわけておくれ。時刻をうつさずいますぐ川に飛び込み死んでおくれ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それでは私への口上に対しても、貴方男子の
一分
(
いちぶん
)
が立たんで御座いませう。
何為
(
なぜ
)
成敗は遊ばしません。さあ、私
決
(
け
)
してもう二度と貴方には何も申しませんから、貴方もこの女を見事に成敗遊ばしまし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「なんの。いくら人が
嗤
(
わら
)
おうと、恥を知らぬ
面
(
つら
)
の皮には、痛くも
痒
(
かゆ
)
くもあるまいに。——あのくらいなことでは、このばばの胸も晴れねば、
一分
(
いちぶん
)
も立ちませぬわえ」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「不幸なる我が運命、
何卒
(
なにとぞ
)
敵
(
かたき
)
を討つまでは、文治が命をお助けあれ、神々よ武士の
一分
(
いちぶん
)
立てさせ給え」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
踏むは地と思えばこそ、裂けはせぬかとの
気遣
(
きづかい
)
も
起
(
おこ
)
る。
戴
(
いただ
)
くは天と知る故に、
稲妻
(
いなずま
)
の
米噛
(
こめかみ
)
に
震
(
ふる
)
う
怖
(
おそれ
)
も出来る。人と
争
(
あらそ
)
わねば
一分
(
いちぶん
)
が立たぬと浮世が催促するから、
火宅
(
かたく
)
の
苦
(
く
)
は免かれぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こう打ち解けてしもうた上は互いにまずいこともなく、上人様の
思召
(
おぼしめ
)
しにもかない我たちの
一分
(
いちぶん
)
も皆立つというもの、ああなんにせよ好い心持、十兵衛汝も過してくれ、我も充分今日こそ酔おう
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
親や親戚に打明けて身請までにと思った処を
他
(
た
)
へ買取られては
一分
(
いちぶん
)
立たん………と云う血気にはやって分別も無く、妻恋坂下の建部内匠頭の窓下に待って居るとも知らぬ奧州屋新助が
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もとより、そうなくては、羅門塔十郎ともある名捕手の
一分
(
いちぶん
)
が相立つまい。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
命限りに助けを得て、新潟沖の親船に
賊窟
(
ぞくくつ
)
を構えたる
敵
(
かたき
)
大伴蟠龍軒、秋田
穗庵
(
すいあん
)
の両人、やわか討たずに置くべきか、此の日本に神あらば武士たる者の
一分
(
いちぶん
)
をお立てさせなされて下されまし
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
半蔵は、親の
一分
(
いちぶん
)
が立たないように、冗談へ、むきになった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
反故
(
ほご
)
にしては男子の
一分
(
いちぶん
)
たゝずと、大きに肩をお入れ遊ばして、芳野艦が
恙
(
つゝが
)
なく帰朝し、先ず横須賀湾に
碇泊
(
ていはく
)
になりますと直ぐ休暇をとって品川へお繰出しとなり、和国楼へおいでになって
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“一分”で始まる語句
一分間
一分銀
一分刈
一分時
一分方
一分判
一分時間
一分割
一分子
一分刻