“ゆきき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
往来78.9%
往來7.1%
行来3.4%
徂徠1.9%
去来1.5%
往復1.5%
往徠1.1%
徃来0.8%
交際0.8%
往還0.8%
通行0.8%
去來0.4%
徂来0.4%
徃來0.4%
逝囘0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いろいろの異様なるころもを着て、白くまた黒き百眼ひゃくまなこ掛けたる人、群をなして往来ゆききし、ここかしこなる窓には毛氈もうせん垂れて、物見としたり。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
往來ゆききれて、幾度いくたび蔦屋つたやきやくつて、心得顏こゝろえがほをしたものは、およねさんのこと渾名あだなして、むつのはな、むつのはな、とひました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(のう、ご親類の、ご新姐しんぞさん。)——くわしくはなくても、向う前だから、様子は知ってる、行来ゆきき、出入りに、顔見知りだから、声を掛けて
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四方カラリと吹き払われ空の蒼さや雲の徂徠ゆききまで自由に見られた。灌木帯と違い、森林はやしの中は暗かった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして誰が「行く」のかといえば、「人」が行くのであって、これは長歌の方で、「人さはに国には満ちて、あぢ群の去来ゆききは行けど、吾が恋ふる君にしあらねば」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
二階の東南二室の間を、コツコツと往復ゆききしながら、終日大月は考え続けた。けれども一向曙光は見えない。
闖入者 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
あたりは汽車の切符を買おうとする人達の行列やら、立退く罹災者の往徠ゆききやらでざわついているだけ、かえって二人は人目を憚るにも及ばなかったらしい。
にぎり飯 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それは少しも心に止まらねども美登利が素振のくり返されて正太は例の歌も出ず、大路の徃来ゆききおびただしきさへ心淋しければ賑やかなりとも思はれず、火ともし頃より筆やが店に転がりて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで豊吉はこの「ひげ」と別に交際ゆききもしないくせに「ひげ」は豊吉の上にあんな予言をした。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ここに兄はいなびて、弟に貢らしめたまひ、弟はまた兄に貢らしめて、相讓りたまふあひだに既に許多あまたの日を經つ。かく相讓りたまふこと一度二度にあらざりければ、海人あまは既に往還ゆききに疲れて泣けり。
前方さきに行って御覧じゃりまし、川原に立っておりますが、三十人、五十人、橋を通行ゆききのお方から、おあしつぶてを投げて頂いて、手ン手に長棹ながざおさきへ網を張りましたので、宙で受け留めまするが
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたしの目の前を去來ゆききした
星より来れる者 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
街路みちの両側には、門々に今を盛りと樺火かばびが焚いてある。其赤い火影ほかげが、一筋町の賑ひを楽しく照して、晴着を飾つた徂来ゆききの人の顔が何れも/\酔つてる様に見える。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
みねくるまよりりて开處此處そここゝたづぬるうち、凧紙風船たこかみふうせんなどをのきにつるして、子供こどもあつめたる駄菓子だぐわしやのかどに、もし三すけじりてかとのぞけど、かげえぬに落膽がつかりしておもはず徃來ゆききれば
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たびゝとの逝囘ゆききの丘の小畠には煙草の花はさきにけるかも
長塚節歌集:1 上 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)