徂徠ゆきき)” の例文
窓越しに見る雪の海、深碧の面が際限もなく皺立つて、車輛を洗ふかと許り岸辺の岩に砕くる波の徂徠ゆきき、碧い海の声の白さは降る雪よりも美しい。
雪中行:小樽より釧路まで (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
四方カラリと吹き払われ空の蒼さや雲の徂徠ゆききまで自由に見られた。灌木帯と違い、森林はやしの中は暗かった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
して自分もうつら/\と眠くなつたが、ぐらつと頭を茶箪笥の角に打ち付けて、ハツと眼が覺めるとともに、眞夜中……男……女……といふ疑ひの雲が、其の頭の中に徂徠ゆききした。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
今日は誰々が顏色が惡かつたと、何れ其麽そんな事のみが住民の心に徂徠ゆききしてるのであらう。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
今日は誰々が顔色が悪かつたと、いづ其麽そんな事のみが住民ひとびとの心に徂徠ゆききしてるのであらう。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)