徃来ゆきき)” の例文
旧字:徃來
お峯は車より下りて开処そこ此処と尋ぬるうち、たこ紙風船などを軒につるして、子供を集めたる駄菓子やのかどに、もし三之助の交じりてかとのぞけど、影も見えぬに落胆がつかりして思はず徃来ゆききを見れば
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それは少しも心に止まらねども美登利が素振のくり返されて正太は例の歌も出ず、大路の徃来ゆききおびただしきさへ心淋しければ賑やかなりとも思はれず、火ともし頃より筆やが店に転がりて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
容貌きりようよき女太夫おんなだゆうかさにかくれぬゆかしの頬を見せながら、喉自慢のどじまん、腕自慢、あれあの声をこの町には聞かせぬが憎くしと筆やの女房舌うちして言へば、店先に腰をかけて徃来ゆききながめし湯がへりの美登利
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)