通行ゆきき)” の例文
夜はけて人の通行ゆききまれになっていたから四辺あたりきわめて静に僕の靴の音、二人の下駄の響ばかり物々しゅう反響していたが、先刻さっきの母の言草いいぐさが胸にこたえているので僕も娘も無言
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
前方さきに行って御覧じゃりまし、川原に立っておりますが、三十人、五十人、橋を通行ゆききのお方から、おあしつぶてを投げて頂いて、手ン手に長棹ながざおさきへ網を張りましたので、宙で受け留めまするが
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)