“なじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
46.0%
馴染43.4%
2.9%
詰問2.9%
狃染1.1%
難詰1.1%
親眤0.5%
問詰0.3%
0.3%
0.3%
昵懇0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
千登世は仕上の縫物に火熨斗ひのしをかける手を休めて、目顏を嶮しくして圭一郎をなじつたが、直ぐ心細さうにしをれた語氣で言葉を繼いだ。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
をとこ女蕩をんなたらしの浮氣うはきもの、近頃ちかごろあによめ年増振としまぶりけて、多日しばらく遠々とほ/″\しくなつてたが、一二年いちにねんふか馴染なじんでたのであつた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
光陰は穩にうつりぬ。課業の暇あるごとに、恩人の許におとづれて、そを無上の樂となしき。小尼公は日にけに我になじみ給ひぬ。
友達は私を詰問なじって言うことに、君も細君を亡くしているくせに、何という細君不孝だ。
婆は此の様を見て「アア貴方は甚蔵の敵でない、敵なら此の犬が斯うは狃染なじみません」余は口軽く「ナニ甚蔵に敵などある者か」と云いて口占くちうらを引くに
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
あとで宿老の張昭はつぶやく如く呉王を難詰なじった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうしてほどなく或人あるひと世話せわ郡立学校ぐんりつがっこう教師きょうしとなったが、それも暫時ざんじ同僚どうりょうとは折合おりあわず、生徒せいととは親眤なじまず、ここをもまたしてしまう。そのうち母親ははおやぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と、食ってかかるように問詰なじった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、いよいよ移居ひっこしを始めてこれに一朝ひとあさ全潰まるつぶれ。傷もいたんだが、何のそれしきの事にめげるものか。もう健康な時の心持はわすれたようで、全く憶出おもいだせず、何となくいたみなじんだ形だ。
おうそれ/\彼のプラトが大変に能くなじんで居る人よプラトが己に噛附かみつこうとした時内儀がそう云た
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
亀の方でもまたすつかり婆さんに昵懇なじんで、婆さんが池のふちへ出て来てその名前を呼ぶと
もし抽斎がわたくしのコンタンポランであったなら、二人のそで横町よこちょう溝板どぶいたの上でれ合ったはずである。ここにこの人とわたくしとの間になじみが生ずる。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この種の悪癖は、例えばかのモルヒネ中毒の様に、一度なじんだなら一生涯められないばかりでなく、日と共に月と共に恐ろしい勢いでその病勢が昂進こうしんして行くものであります。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
来た夜から蝙也の身の廻りの世話を始めたが、口数もすくなく表情も冷やかでいかにもなじみにくい感じだった。
松林蝙也 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
小供のなじむは早いもので、間もなく菓子ひとつを二ツに割ッて喰べる程むつみ合ッたも今は一昔。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)