狃染なじ)” の例文
はからずもこの満月に狃染なじんでからというもの、曲りかけている腰を無理に引伸ばし、薄い白髪鬢しらがびんを墨に染め、可笑おかしい程派手な衣裳好みをして
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
婆は此の様を見て「アア貴方は甚蔵の敵でない、敵なら此の犬が斯うは狃染なじみません」余は口軽く「ナニ甚蔵に敵などある者か」と云いて口占くちうらを引くに
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
そのお嬢さんのマリイさんて仰言おっしゃるのがスッカリ私に狃染なじんでしまってトオトオトオトオってお離しにならないんで
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
狃染なじみの深い石ころの形や、枕木の切口の恰好かっこうや、軌条の継目の間隔を、一つ一つにジーッと見守らなければ気が済まないのであった……………………。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)