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昵
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なじ
ふりがな文庫
“
昵
(
なじ
)” の例文
そして泊りつけの日本橋の宿屋の代りに、ここの二階にいることになってから、笹村は三度三度のまずい飯も多少舌に
昵
(
なじ
)
んで来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
光陰は穩に
遷
(
うつ
)
りぬ。課業の暇あるごとに、恩人の許におとづれて、そを無上の樂となしき。小尼公は日にけに我に
昵
(
なじ
)
み給ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この山は人間が
昵
(
なじ
)
み易い山だった。
水無
(
みなの
)
川を越えて山腹にかけ山民の部落があった。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かく上人との
昵
(
なじ
)
みの深くなるにつれて、上人の来訪もあり、『円頓戒私記』の書写を頼まるることになったが、これも往生の縁というので、実隆は子細なく領状し、わずか二日間にその功を終えた。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
然し庄吉は何だかお主婦さんに
昵
(
なじ
)
めなかった。
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
庭向きの下の座敷へ移ったころには、笹村も大分下宿に
昵
(
なじ
)
んで来た。時々お銀に厭な気質を見せられると、笹村の神経は一時に尖って来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
我に接吻し、我側に來居たるが、まだ二分時ならぬに、はや我に
昵
(
なじ
)
み給へり。かき抱きて間のうちをめぐり、
可笑
(
をか
)
しき小歌うたひて聞せしかば、面白しと打笑ひ給ひぬ。館は微笑みつゝ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
に
頭髪
(
かみ
)
が出来ると、自分が今婚礼の式を挙げようとしていることが、一層
分明
(
はっきり
)
して来る様であったが、その相手が、十三四の頃から
昵
(
なじ
)
んで
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
室は、病人の
枕頭
(
まくらもと
)
へ来て、自分と家との関係が、初め心配したほど険悪の状態に陥ってもいないという
内輪談
(
うちわばなし
)
などするほど、お増に
昵
(
なじ
)
んで来た。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
浅井が田舎へ立ってから、お増は思いついて室をも一緒につれて、三人で浅草辺をぶらついたり、飯を食べたりして、お今を男に
昵
(
なじ
)
ませようと試みた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しばらく京都に、法律書生をしていた時分に
昵
(
なじ
)
んだその女は、旦那取りなどをして、かなりな貯金を持っていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
取られ分を取り
復
(
かえ
)
そうと
焦心
(
あせ
)
っているうちに、夜が更けて来た。連中には古くから
昵
(
なじ
)
みの男もあり、もう髭を生やして細君を持っているらしい顔もあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
葉子の好きな言葉のない映画よりも、長いあいだ見つけて来た歌舞伎の鑑賞癖が、まだ彼の
躰
(
からだ
)
にしみついていた。暗くて陰気くさい映画館には
昵
(
なじ
)
めなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
忘られていた食べ物の味が舌に
昵
(
なじ
)
んで来るころには、笹村の心にはまた東京のことが想い出されていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
雪枝は内弟子に住みこませることを快く引き受けてくれたが、詩も作り
手蹟
(
しゅせき
)
も流麗で、文学にも熱意をもっているので、葉子も古い
昵
(
なじ
)
みのように話しがはずんだ。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
田舎からの父親の
昵
(
なじ
)
みで、ずっと以前に、商売を
罷
(
や
)
めて、その抱え主と一緒に東京へ来ていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「どうせ冬まで
寝
(
ねか
)
しておくものだ」お島は心の奥底に
淀
(
よど
)
んでいるような不安と恐怖を圧しつけるようにして言った。そしてこの頃
昵
(
なじ
)
みになった家へ、それを
抱
(
だき
)
こんで行った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
勿論あの世界の空気にも、今以つて
昵
(
なじ
)
み切れないものがあり、商売の型にはまるには、余程自己を殺さなければならなかつた。何よりも体を
汚
(
けが
)
さなければならないのが辛かつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「少し
昵
(
なじ
)
んでからの方がいいでしょうよ。」と、女も気乗りのしない顔をしていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大秀の娘である嫁のおゆうが、鶴さんの口にはゆうちゃんと呼れて、小僧時代からの
昵
(
なじ
)
みであることが、お島には何となし不快な感を与えたが、それもしみじみ顔を見るのは、初めてであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのころ銀子は子柄が
姉妹
(
きょうだい
)
たちよりよかったところから芸者屋の仕込みにやられ、野生的に育っただけに、その社会の空気に
昵
(
なじ
)
まず、親元へ逃げて帰っていたり、内職の手伝いをしていたのだったが
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
昵
漢検1級
部首:⽇
9画
“昵”を含む語句
昵懇
昵近
親昵
顔昵懇
御昵懇
居昵
罽昵吒
別而昵近
古昵
幼昵懇
昔昵懇
昵声
昵懇妓
昵懇客
狎昵