駿河臺するがだい)” の例文
新字:駿河台
お銀の奉公先は、江州の小室で一萬二千石の領主小堀和泉守樣——江戸御上屋敷は駿河臺するがだいだ。奧方には御姫樣ばかりで跡取が無い。
駿河臺するがだい紅梅町こうばいちやうにそのほる明治めいぢ功臣こうしん竹村子爵たけむらししやくとの尊稱そんしよう千軍万馬せんぐんまんばのうちにふくみし、つぼみのはなひらけるにや、それ次男じなんみどりとて才識さいしきらびそなはる美少年びせうねん
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日けふけあとをとほつたがね、學校がくかう病院びやうゐんがかゝつたのにつゝまれて、駿河臺するがだいの、あのがけのぼつてげたさうだが、よく、あのがけのぼられたものだとおもふよ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
駿河臺するがだいすこしものさびれたところに、活動くわつどう廣告くわうこくあか行燈あんどんが、ぽつかりとついてゐたのがめうあたまのこりました。なんだかそれが如何いかにもかう、初冬しよとう一夜いちやといふやうなかんじを起させました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
東向の腰の低い一間窓は大きく開いて、此處から碧梧桐あをぎりの葉に邪魔され乍ら、お隣の庭越しに、神田から駿河臺するがだいの景色がよく見えます。
さればこそひとたびたるはおどろかれふたゝたるはかしらやましく駿河臺するがだい杏雲堂きやううんだう其頃そのころ腦病患者なうびやうくわんじやおほかりしことひとつに此娘このむすめ原因もととは商人あきうどのする掛直かけねなるべけれどかく其美そのびあらそはれず
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
實家じつか上野うへの新坂下しんざかした駿河臺するがだいへのみちなればしげれるもりのした暗侘やみわびしけれど、今宵こよひつきもさやかなり、廣小路ひろこうぢいづればひる同樣どうやうやとひつけの車宿くるまやどとていへなればみちゆくくるままどからんで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
母親はゝおやけなしの巾着きんちやくさげて駿河臺するがだいまで何程いくらでゆくとかどなる車夫しやふこゑをかくるを、あ、お母樣つかさんそれはわたしがやりまする、ありがたう御座ござんしたと温順おとなしく挨拶あいさつして、格子戸かうしどくゞればかほそで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
駿河臺するがだい錦野にしきのへと駒下駄こまげたなほさするおほかるを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)