露顕ろけん)” の例文
旧字:露顯
いよ/\露顕ろけんすればただ原書を返したばかりでは済まぬ、御家老様の剣幕で中々むずかしくなるだろうと思えば、その心配はたまらない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一切は大賀一味の逮捕たいほと、露顕ろけんによって齟齬そごしてしまった。のみならず、甲軍の方策は、早くも徳川方に読み抜かれてしまったわけである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこだよ。その点が又、奴の悪事の露顕ろけんしなかった理由だよ。奴は暗の世界でだけ一寸法師で、昼間は普通の人間なんだ。恐しい手品だ」
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
黒沼幸之助のかくれ家が露顕ろけんしたので、吉五郎は子分の兼松と共に、早駕籠を飛ばせて向島の堤下へ駈け付けたことは、前にしるした通りである。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
計略が露顕ろけんしたのは、あなたのせゐぢやありませんよ。あなたは私と約束した通り、アグニの神のかかつた真似を
アグニの神 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
手紙を持って来たと聴くと、信一郎は可なり狼狽ろうばいした。妻に、内密ないしょで、ある女性を訪問したことが露顕ろけんしている上に、その女性から急な手紙をもらっている。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
俊寛 満願まんがんの夜成親殿は秘密の露顕ろけんすることを恐れて七人の僧侶を殺して、その死骸しがいを地の中に埋めました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
開くわけにいかぬ、いずれゆるゆる取出すつもりだが、俺達二人が江戸に居ては、露顕ろけんもとになる、路用をやるから、今晩中に江戸を退散するように——と言うのだ
私の日本人であるということがほぼ露顕ろけんしたについて、私を通過せしめたニャートンの税関長が自分のせめまぬかれるために、チベット政府へ、私を英国の国事探偵であると告げました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
これが露顕ろけんすれば船頭一同は百たたきの上、ながの遠島、女房子供は江戸かまえ。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
つかい果して又後日ねだりに来るに違いない、是が人の耳になればついに悪事露顕ろけんもとだから、罪なようだが、彼奴を殺してしまい此家こゝへ火をけ、証書も共に焼いてしまうよりほかに仕様がない
「然う証拠が上っていちゃ仕方がない。旧悪きゅうあく露顕ろけんだよ。ハッハヽヽヽ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
うかがってここへ来たのだから、もし老賊が退出してくるとたちまち露顕ろけんしてしまう。そのうちに、またよい首尾をして会おう
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぜにさえあれば町に出て一寸ちょいますすみからるのもやすいが、何時いつか一度は露顕ろけんするとおもって、トウ/\辛抱しんぼうして一年のあいだ、正体を現わさずに、翌年の春
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
他の万事が好都合に運んでも、あの指紋たった一つによって、犯罪が露顕ろけんするのだ。そう思うと、彼はどうしても、そのまま立去ることは出来なかった。
灰神楽 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかし自分も好んでそんなことをしたくない。人を殺したことが露顕ろけんすれば自分も命をとられなければならない。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さつきから容子ようすうかがつてゐても、妙子が実際睡つてゐることは、勿論遠藤にはわかりません。ですから遠藤はこれを見ると、さては計略が露顕ろけんしたかと思はず胸を躍らせました。
アグニの神 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それが露顕ろけんして、すでに磔刑はりつけにもなるべきのところを、その当時長崎奉行の下役をしていた、永井平馬に救われ、その恩があるので、平馬の頼みを断り兼ね、悪事と知りながら
甚「ウン、ナニ食客でも主人でも露顕ろけんをして縛られるのは同罪だよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「巧いことを考えたもんだね。三段伸びなら容易に露顕ろけんしまいて」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「もしも大阪を離れないうちに、露顕ろけんするようなことにでもなると、わざわざ恩を仇で返したような形になりますからね」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露顕ろけんする犯罪は十中二三に過ぎないものとしたならば、我々が日々の新聞で見ているよりも、一倍物凄ものすご戦慄せんりつすべき大犯罪が、どれ程多く、つい知らぬ間に行われているか
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
チユウヤの陰謀は五十年間秘密に計画されたのち、とうとう、チユウヤの失策しつさくのために、露顕ろけんすることになつた。そして政府は、チユウヤ並びにジオシツを逮捕たいほせよといふ命令を出した。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それがはからずも手先の耳にれて、つい露顕ろけんもととなつたのである。
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「もう沢山だよ。悪事あくじ露顕ろけんを恐れて、僕の口をふさぐ積りかい?」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そこで明晩の手筈ですが、なにしろそんな按配あんばいで、ただお身装みなりを変えたくらいでは、とても露顕ろけんせずにはおりませぬ
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露顕ろけん々々」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わが大事は、露顕ろけんしたらしいが、射手のぜいは、多寡たかの知れた人数。しかも大将徐晃はただ一と矢に射止めた。蹴ちらす間には、やがて金城、上庸じょうようの援軍も来る。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はっきりと身の危険と、事の露顕ろけんさとると、天蔵は蒼白な顔に、奮然と、太々しい反抗をあらわして
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「血詔の秘事ひじ露顕ろけんして董国舅とうこっきゅう以下のあえないご最期。いずれはかくあろうかとも覚悟していたが……」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし万が一にも露顕ろけんした時には、四国屋で世話をしたことのある旅の能役者、桜間金五郎さくらまきんごろうといつわるから、なるべく身装みなりもそれらしくしてくれという新吉の注意だったので
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……それを村重の家臣がやったことが、露顕ろけんしかけたので、信長公から罪を問われることを恐れ、先手を打って、叛旗はんきをひるがえしたものだろうと、専ら沙汰する者がありますが
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なに、今暁に至って、露顕ろけんのため、隼人佑に先手を打たれてしもうたと? さてさて、将監の謀としては、知慧の足らぬことをしたものかな。……が、まあよい、ぜひもない。三名を
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲州の諜者と露顕ろけんして、獄に投げこまれ、幾年かを牢中で送っていたところ、幸いに、よい折があって、一命をひろい、姿を変えて帰って来たと、まことしやかに申すのでございました。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つぶやきも、愚痴ぐちに似ている。すでに大事が露顕ろけんした上は、朝茶どころではない。いかにしてここを脱出するかだ。一刻をも争わねば——と、もう焦躁しょうそう座に耐えない姿が大金と木下の二人に見えた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あのことが、露顕ろけんしたに違いない」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——露顕ろけん
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)