電光でんこう)” の例文
浪打際なみうちぎわあるいたようにかんじたのはホンの一瞬間しゅんかん私達わたくしたちはいつしか電光でんこうのように途中とちゅうばして、れいのおみや社頭しゃとうっていました。
その時、それと同時に、呂宋兵衛るそんべえはとんできた鷲の背なかへ乗りうつっていた——ほとんど、電光でんこう——ばたきするだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すさまじい電光でんこう雷鳴らいめいと黒雲との渦巻うずまいた中に、金の日の丸がぴかりと光っただけで、後は何にもわかりませんでした。
雷神の珠 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
野原のはらして、海岸かいがんたときには、うみうえは、すみながしたようにくらくなって、電光でんこうながれ、かみなりはすぐちかくでり、たきのようなふとあめってきました。
お母さんのかんざし (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人の声をきいたフハンは、矢のごとく走ってきた、かれは主人の顔をちょっとながめて、すぐ穴のはしから底を見おろした、とたんに電光でんこうのごとく穴のなかへおどりこんだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
また菜花煙さいかえん彼方此方かなたこなた電光でんこうひらめくのがられる。このさい雷鳴らいめい噴火ふんかおとはうむられてしまふが、これはたん噴煙上ふんえんじようにて放電ほうでんするのみで、地上ちじよう落雷らくらいしたれいがないといはれてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「飛んだ悟道だ。相変らず春風影裏しゅんぷうえいり電光でんこうをきってるね」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と思うと、その三名は、電光でんこうしゅんのまにたおれ、すさまじい一じんの風をついて、何者かが、向かってくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕焼ゆうやけのした晩方ばんがたに、うみうえを、電光でんこうがし、ゴロゴロとかみなりって、ちょうど馬車ばしゃけるように、黒雲くろくもがいくのがられます。それをると、このまち人々ひとびと
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうわれたときわたくし頭脳あたまなかには、ふるふる記憶きおく電光でんこうのようにひらめきました。——
ヴェスヴィオの千九百六年せんくひやくろくねん大噴火だいふんかおいて、非常ひじようつよ電氣でんきびた噴煙ふんえんみとめたこともあり、そのなびいたけむりちかづいたとき服裝ふくそうにつけてゐた金屬きんぞく各尖端かくせんたんから電光でんこうはつしたことも經驗けいけんせられてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
達吉たつきちは、ぴかり、ゴロゴロ、ド、ドンという電光でんこう雷鳴らいめいのものすごい光景こうけいに、ちち戦死せんししたときのことを想像そうぞうして、ついおもったことをくちして、きいたのであります。すると、准尉じゅんい
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あだか電光でんこう雷鳴らいめいとの關係かんけいのようなものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)