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銛
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もり
ふりがな文庫
“
銛
(
もり
)” の例文
さながら
銛
(
もり
)
を携えた漁夫がよく肥った
鱘魚
(
ちょうざめ
)
でも追いまわすように、一事が万事、不正の利慾を貪るに汲々として寧日なき有様であった。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「親父は、沖で一人底引き網をやってたんです。
銛
(
もり
)
も打ったんです。二十八貫もあるカジキを、三日がかりでつかまえたこともあります」
他人の夏
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
台湾大甲渓の山女魚は、先年大島正満博士が原住民と共に
銛
(
もり
)
と
筌
(
やな
)
で
漁
(
あさ
)
り、鮭科の魚の分布に関して学問上の報告を出したので有名である。
雪代山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
三上淡路守
(
みかみあわじのかみ
)
というやはり毛利家の一将。駈け寄って来て、岸から槍を
抛
(
ほう
)
りつけた。
大鯨
(
たいげい
)
を突いた
銛
(
もり
)
のように、槍は真っ
紅
(
か
)
な水の中に立った。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母である多計代は、女として伸子が、そこにひけめをもってでもいるように、その一点を狙って放った
銛
(
もり
)
のように云って椅子から立ち上った。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
鯨を見つけたら、
伝馬船
(
てんません
)
と漁船で、鯨に突進して、
銛
(
もり
)
、
手槍
(
てやり
)
、
爆裂弾
(
ばくれつだん
)
をつけた銛を、鯨にうちこんで、鯨と白兵戦をやって、しとめるのである。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
鯨の
銛
(
もり
)
打ち、土工、剥皮夫、
導坑
(
トンネル
)
師、猟師、船大工。……
導坑
(
トンネル
)
師の亀井金太郎と土工の須田松吉の前身が、このきわどい時に役に立ったのだった。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
銛
(
もり
)
は長い竿のさきに、鉄の槍をいい加減にくっつけた物で、綱がついているから、使用後には竿を引きぬき、倒鉤のある槍さき丈を、魚の身体に残すのである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
骨器、牙噐、石噐中には其形状如何にも
銛
(
もり
)
の如くに見ゆるもの
有
(
あ
)
る上に、斯かる證據物さへ出でたる事なれば
大魚
(
たいぎよ
)
を
漁
(
れう
)
する爲に
銛
(
もり
)
の用ゐられし事何の疑か有らん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
捕鯨船
北海丸
(
ほくかいまる
)
の砲手で、
小森安吉
(
こもりやすきち
)
と云うのが、その夫の名前だった。成る程女の云うように、生きている頃は、一発
銛
(
もり
)
を撃ち込む度に、余分な賞与にありついていた。
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
○汐干狩の楽地として、春末夏初の風
和
(
のど
)
かに天暖かなる頃、あるいは
蛤蜊
(
こうり
)
を
爪紅
(
つまくれない
)
の手に
撈
(
と
)
るあり、あるいは
銛
(
もり
)
を手にして
牛尾魚
(
こち
)
比目魚
(
ひらめ
)
を突かんとするもあるところなり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
また
魚
(
さかな
)
を
釣
(
つ
)
る
時
(
とき
)
の
釣
(
つ
)
り
針
(
ばり
)
だとか、
魚
(
さかな
)
を
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
す
時
(
とき
)
の
銛
(
もり
)
にも、
骨
(
ほね
)
や
角
(
つの
)
で
作
(
つく
)
つたものでなければ
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
たないのでありまして、
常陸
(
ひたち
)
の
椎塚
(
すいつか
)
といふ
貝塚
(
かひづか
)
からは、
鯛
(
たひ
)
の
頭
(
あたま
)
の
骨
(
ほね
)
に
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
入りかわりにそこへ、こんどは三人の
矢鏃士
(
バンデリエイル
)
の登場だ。二本ずつ六本の
銛
(
もり
)
を打ちこむ役である。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
辛苦して
硝子
(
ガラス
)
の水槽の中に養わざる限りは、常に西海の
珊瑚暗礁
(
さんごあんしょう
)
の底深く隠れ、
銛
(
もり
)
も
刺網
(
さしあみ
)
もその力及ばず、
到底
(
とうてい
)
東部日本の雪氷の地方まで、我々に
追随
(
ついずい
)
し来る見込はないのだが
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そこで取巻いた二十
艘
(
そう
)
ばかりの
八梃櫓
(
はっちょうろ
)
の鯨舟が、
銛
(
もり
)
を揃えて子鯨にかかる。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
銛
(
もり
)
に似て、鐵の尖きが三つか四つに別れて、魚を突く道具ですよ。川でも海でも使ひ、時には
鯰
(
なまず
)
も
鰻
(
うなぎ
)
も取るが。もとは、岩川の石を起して、底を拔いた
桶
(
をけ
)
を眼鏡にして、
鰍
(
かじか
)
や
岩魚
(
いはな
)
を突くんで」
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
魚群の
来
(
きた
)
るを
銛
(
もり
)
を携えて立ち待てりと伝う
立待岬にいたりて
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
手に手にくはし
銛
(
もり
)
とる神の
眷屬
(
うから
)
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
鋭
(
と
)
き
銛
(
もり
)
を
腮
(
あぎと
)
にうけて
寂寞
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
銛
(
もり
)
かづぐ南蛮人は
小曲二十篇
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
船を出して
銛
(
もり
)
で突きとめた、突き鯨にたいしては二十ノ一、死んで海岸に寄り着いた、寄り鯨にたいしては三ツ二つ
奥の海
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこのすすけた壁には、漁具、網、法螺の貝、
錨
(
いかり
)
、等のふつう目なれた物以外に、
銛
(
もり
)
や鉄砲——海の武器とも呼ぶべきものまでが、雑然と掛けならべてありました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
コロボックルは
如何
(
いか
)
にして之を
防
(
ふせ
)
ぎしか。余は彼等はエスキモーが爲す如く、
銛
(
もり
)
に長き
紐
(
ひも
)
を付け其
端
(
はし
)
に
獸類
(
ぢうるい
)
の
膀胱抔
(
ばうくわうなど
)
にて作りたる
浮
(
う
)
き
袋
(
ふくろ
)
を
括
(
くく
)
り
付
(
つ
)
け置きしならんと考ふるなり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
雌鯨が
銛
(
もり
)
を打たれると、決して
側
(
そば
)
を離れないのである。心痛、悲哀の状を真っ黒い背中に現わして、雌の傷口から流れ出した鮮血で真っ赤になった海上を、おろおろと徘徊する。
海豚と河豚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
なんでも、早く一人まえになって、一番
銛
(
もり
)
をうってやろうと、思ったね。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
「兄哥、餘計なことは言はない方がいゝぜ、俺だつて、
銛
(
もり
)
なら抛るが」
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
漁師共の
銛
(
もり
)
と、船とは、
麻殻
(
おがら
)
のように、左右にケシ飛んでしまう。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
骨
(
ほね
)
で
作
(
つく
)
つた
銛
(
もり
)
がさゝつたまゝ
發見
(
はつけん
)
せられたのがありました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
その
銛
(
もり
)
を、星のごとくに
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
その坂道の横合から、ブ——ンと風を切ッて飛んだ一本の
銛
(
もり
)
が、先へ逃げだした一人の男の体へグザと突き立って、
鮫
(
さめ
)
のような絶叫をあげさせたからたまりません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで
槍騎士
(
ピカドール
)
が飛び出したが、これもきわどいところで塀のうしろへ退却する。お次は
銛打ち
(
バンデリエロ
)
。これがどうやら持っただけの
銛
(
もり
)
を打ち終えると、いよいよ最後の仕止め段。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
思
(
おも
)
ふに
此利噐
(
このりき
)
は前に
掲
(
かか
)
げたる獸骨器と
等
(
ひと
)
しく、
銛
(
もり
)
の
尖端
(
せんたん
)
として用ゐられしものなるべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
「兄哥、余計なことは言わない方がいいぜ、俺だって、
銛
(
もり
)
なら投るが」
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
美魚
(
うましうを
)
、
鮪
(
しび
)
つく
銛
(
もり
)
を
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
むかし、
銛
(
もり
)
師だった、めっかちの北原省三が、感にたえたような声で、叫び出した。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大きな聲を出すわけにも行かず、揉み合つて居ると、
豫
(
かね
)
て勘次郎を狙つて居た吉三郎が、納屋の二階から見て、荷造に使ふ青竹へ、出刄庖丁を括り付け、投げ
銛
(
もり
)
の呼吸で向うの二階へ抛つたんだ。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それもただ鋭利な刃ものを棒のさきに植えた
銛
(
もり
)
のようなものだった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
フランダースの飾り皿の
和蘭
(
オランダ
)
の風景や、鯨に
銛
(
もり
)
をうっている
諾威
(
ノルウェー
)
の捕鯨船の図などに眼をよせて眺めると、今まで見落としていた小さな花々や、浮雲や、遠い風車や、波の間で泳いでいる魚などを
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大きな声を出すわけにも行かず、揉み合っていると、かねて勘次郎を狙っていた吉三郎が、納屋の二階から見て、荷造りに使う青竹へ、出刃庖丁を
括
(
くく
)
り付け、投げ
銛
(
もり
)
の呼吸で向うの二階へ
投
(
ほう
)
ったんだ。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「残ったやつらは、この小七、小五が、
銛
(
もり
)
のさきで
串刺
(
くしざ
)
しか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漁師の置忘れた
銛
(
もり
)
という物騒な道具に相違ありません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「手鎗とか、
銛
(
もり
)
とかを——」
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
十時——十一時半
銛
(
もり
)
打ち。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
手槍
(
てやり
)
とか、
銛
(
もり
)
とかを——」
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“銛”の解説
銛(もり、en: harpoon)は、大型の魚あるいはクジラなど大型の水生動物の漁で用いられる、槍のような漁具である。先端の金属部は獲物の肉に喰いこんで外れないよう、釣り針のような「あご」(かえし)がつく。また中間部には綱が付いており、対象に突き刺さされば獲物は舟艇と繋がれ、逃げられないよう工夫されている。また、武器として利用されることもあり、歴史的にも分類上も「槍」や「矛」と明確な区別が出来ない物も多く存在する。
(出典:Wikipedia)
銛
漢検1級
部首:⾦
14画
“銛”を含む語句
手銛
魚銛発射手
手銛士
独銛
羽矢銛
銛丸
銛打師
銛砲
銛綱