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そにん
ふりがな文庫
“
訴人
(
そにん
)” の例文
「黙れ、この近いところに米を売るようなところはあるまい、貴様は
訴人
(
そにん
)
に出かけたな、我々の
所在
(
ありか
)
を敵の討手へ知らせに行ったのであろう」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「その方が
心持
(
こころもち
)
が
可
(
い
)
い、命を取ったんだと、そんなにせずともの事を、
私
(
わたし
)
が
訴人
(
そにん
)
したんだから、
怨
(
うら
)
みがあれば、こっちへ
取付
(
とッつ
)
くかも分らずさ。」
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
訴人
(
そにん
)
するにしては、幸吉もお歌にはポーツと來て居るし、お前に何にか言ひ度さうにしたのもそんな事だらう。
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは盗賊を
訴人
(
そにん
)
した者に、「銀二十五枚を与える」という触書のことであった。芝
愛宕下
(
あたごした
)
の南宗院という寺へ三人組の賊がはいり、寺宝を幾つかぬすみ出した。
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さては! お探ね者の御書院番を見破られたかな?!——と、今、ここで
訴人
(
そにん
)
をされて押えられては、この七日間、苦心
惨憺
(
さんたん
)
、
韜晦
(
とうかい
)
して来たのが何にもならない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
同じ陰謀に就いて西奉行所へも
訴人
(
そにん
)
が出た、今日当番の瀬田、小泉に油断をするなと云ふ手紙である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
たれか、密告した者でもあったのでしょう……当時、畜類おん
憐
(
あわ
)
れみの政令で、犬に限らず、
殺生
(
せっしょう
)
を犯した者を
訴人
(
そにん
)
するときは、公儀から褒美を下された頃でしたから……
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同じ伏見の船宿の水六の亭主などは少し怪しい者が泊ればすぐ
訴人
(
そにん
)
したが、登勢はおいごと刺せと叫んだあの声のような美しい声がありきたりの
大人
(
おとな
)
の口から出るものかと
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
怪
(
あや
)
しいと云うので、
床板
(
ゆかいた
)
をめくって見るとさまざまの物をかくしてあった。
訴人
(
そにん
)
の男の云う通り緋の
緒
(
お
)
でくくった袴も、長刀も出て来た。その外に、一つの古い仮面が出て来た。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は、このどろぼうの風采に
就
(
つ
)
いては、なんにも知らないということになっているのであるから、まさか、私がかれの
訴人
(
そにん
)
の一人である、などということは、絶対に有り得ないのである。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人殺しと云うは惠梅を殺した事を
訴人
(
そにん
)
すると心得ましたから、人を殺し又悪事を重ねても
己
(
おのれ
)
の罪を隠そうと思う浅ましい心からおやまを
遣
(
や
)
っては成らぬと山之助を
突除
(
つきの
)
けて土間へ
駈下
(
かけお
)
り
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……ひともあろうに鍋島閑叟侯をこんどの犯人だと正面きって
訴人
(
そにん
)
をし、これを老中列座のなかで披露したそのあとで、まるっきりの間違い、見当ちがいだなんてえことになったら、とても
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
思はず
能
(
よく
)
も我が事を
訴人
(
そにん
)
せし者成かな然ながら今日只今迄は
假令
(
たとへ
)
骨々
(
ほね/″\
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「この者が、
訴人
(
そにん
)
があると申しております」
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
訴人
(
そにん
)
だ、訴人だ。」
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
したようなもの。しかしこうなってみると、
怖
(
こわ
)
いところにまた有難いことがある、あれを藤堂様なり紀州様なりに
訴人
(
そにん
)
をすれば、
莫大
(
ばくだい
)
な
御褒美
(
ごほうび
)
にありつける、
占
(
し
)
め占め
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
黒門町の壁辰の娘お妙に恋をして、思いの通らぬところから、甲良屋敷の脇坂山城守に
訴人
(
そにん
)
をしたが、人ちがいということになって面目玉を踏み潰した
生
(
なま
)
ッ
白
(
ちろ
)
い若旦那だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
同じ臆測をするならば、秀吉が振り上げた杖は、むしろ首級の傍らにしたり顔して控えていた
訴人
(
そにん
)
の男に振り下ろされたろうと考えたほうが、まだ遥かに秀吉の心事に近い。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
堀は居間に帰つて不安らしい様子をしてゐたが、
忙
(
いそが
)
しげに手紙を書き出した。これは東町奉行に宛てて、当方にも
訴人
(
そにん
)
があつた、当番の瀬田、小泉に油断せられるな、
追附
(
おつつけ
)
参上すると書いたのである。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「お前が、不義を
訴人
(
そにん
)
したといふぢやないか」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
引拂ひ何方へなりとも
立退
(
たちのく
)
べし尤も掘出せし器物は
其儘
(
そのまゝ
)
に
上
(
かみ
)
へ上納すべき旨申渡されける原田兵助は驚ながらも
御請
(
おうけ
)
致し是全く六郎右衞門が
訴人
(
そにん
)
せしに
相違
(
さうゐ
)
なしとは思へど
今更
(
いまさら
)
詮方
(
せんかた
)
なければ掘出せし
金瓶
(
きんぺい
)
は役所へ差出し
家財
(
かざい
)
は
賣拂
(
うりはら
)
ひ一人の老母を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
早速
訴人
(
そにん
)
と出掛けると、聞えない振りをした金山寺屋、大声に
喚
(
わめ
)
いたのだった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
開けろ。開けねば蹴破るぞ。この
荘院内
(
やしきうち
)
に、こよい少華山の賊どもが会合しておると、
訴人
(
そにん
)
あって明白なのだ。四
隣
(
りん
)
八
隅
(
ぐう
)
、
遁
(
のが
)
れんとて、遁るる道はない。賊を渡すか、踏み込もうか。いかにいかに
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「逃げたようじゃ、逃げて
訴人
(
そにん
)
でもしおると大事じゃ」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
嚴
(
きびし
)
く
取圍
(
とりかこ
)
み北の番所へ引出しが頓て中山出雲守殿の御白洲へ
情
(
なさけ
)
なくも引出しけり
然
(
され
)
ば出雲守殿一通り
調
(
しら
)
べに
掛
(
かけ
)
られしに道十郎は思ひも
寄
(
よら
)
ぬ事成れば大いに
驚怖
(
おどろき
)
何者
(
なにもの
)
が
訴人
(
そにん
)
せしや
知
(
しら
)
ざれども
右樣
(
みぎやう
)
の
儀
(
ぎ
)
決
(
けつ
)
して覺え
是無
(
これなく
)
候と申に出雲守然らば
此傘
(
このかさ
)
は其方覺え無きやとの尋ねなれば道十郎是は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そも何者が
訴人
(
そにん
)
をしてかくも捕り手のむれをさしむけたのか?——という
疑惑
(
ぎわく
)
とふしぎ感だったが、そんな
穿鑿
(
せんさく
)
よりも
刻下
(
いま
)
は身をもってこの縦横無尽に張り渡された
捕縄
(
ほじょう
)
の網を切り破るのが第一
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
国師
(
こくし
)
ッ、この
寺内
(
じない
)
に
信玄
(
しんげん
)
の孫、伊那丸をかくまっているというたしかな
訴人
(
そにん
)
があった。
縄
(
なわ
)
をうってさしだせばよし、さもなくば、寺もろとも、
焼
(
や
)
きつくして、みな殺しにせよ、という
厳命
(
げんめい
)
であるぞ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とたうの
訴人
(
そにん
)
銀百枚
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
訴
常用漢字
中学
部首:⾔
12画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“訴”で始まる語句
訴
訴訟
訴状
訴訟人
訴訟所
訴訟沙汰
訴文
訴出
訴書
訴言