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いいわけ
ふりがな文庫
“
言訳
(
いいわけ
)” の例文
旧字:
言譯
一人は細い
杖
(
つえ
)
に
言訳
(
いいわけ
)
ほどに身をもたせて、
護謨
(
ゴム
)
びき靴の右の
爪先
(
つまさき
)
を、
竪
(
たて
)
に地に突いて、左足一本で細長いからだの中心を
支
(
ささ
)
えている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
障子の破れに、顔が
艶麗
(
あでやか
)
に口の
綻
(
ほころ
)
びた時に、さすがに
凄
(
すご
)
かつた。が、
寂
(
さみ
)
しいとも、
夜半
(
よなか
)
にとも、何とも
言訳
(
いいわけ
)
などするには及ばぬ。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いう、縁が切れても
血統
(
ちすじ
)
は切れない、それを私が手引きをして敵を討たなければ、お前は主人飯島様の家を立てる事が出来ないから、其の
言訳
(
いいわけ
)
は
斯
(
こ
)
うしてする
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あげてそれもそうだとおもいますからあんさんのいう通りにしましょうといいましたきりべつに悪びれた様子もなければわざとらしい
言訳
(
いいわけ
)
などもいたしませなんだ。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ヤアどうも、君に議論を吹っかけるつもりじゃ
毛頭
(
もうとう
)
なかったのですがネ、つい面白い原稿だねのない
言訳
(
いいわけ
)
に一寸議論の
端
(
はし
)
が飛び出して来たという次第なのですよ。——
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「そいつは
言訳
(
いいわけ
)
だ、身に覚えのある者は、必ず一度は殺しの現場を
覗
(
のぞ
)
いて見たくなるものだよ」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
汝が
主謀
(
しゅぼう
)
と見ゆる、血気に任せて
要
(
い
)
らぬ
腕立
(
うでだ
)
て、心なくもこの島田に
殺生
(
せっしょう
)
させた、ここに枕を並べた者共もみな
一廉
(
ひとかど
)
の剣術じゃ、むざむざ
犬死
(
いぬじに
)
させて何と
言訳
(
いいわけ
)
が立つ、
愚者
(
おろかもの
)
め
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
読みて、何某は
剛毅
(
ごうき
)
なり薄志弱行の徒は慚死すべしなどいふ所に到れば何となく我を
誹
(
そし
)
りたるやうにおもはれて、さまざまに
言訳
(
いいわけ
)
めきたる事を思ふなり、かくまでに零落したる乎。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「はア、泥無くなってしまって駄目だ」と由次は父親を見ると
言訳
(
いいわけ
)
のように呟いた。
米
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
しかし貴族と
馭者
(
ぎょしゃ
)
とは違うのであるから、負債はどこまでも支払わなければならないことを言い聞かせれば、おそらく説得できるものと思ったので、結婚以来初めて祖父に
言訳
(
いいわけ
)
をしたり
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
これは一応我輩に対する
言訳
(
いいわけ
)
のお世辞であるとのみ思うていたが、この人はその後、自国の家を引払って仏国の南部に家を構えた。
爾後
(
じご
)
二ヶ月たったかたたぬ間に同様の話を他の人から聞いた。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私にはそれが、出まかせの苦しい
言訳
(
いいわけ
)
だとしか思えなんだ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
床はあるが、
言訳
(
いいわけ
)
ばかりで、
現
(
げん
)
に
幅
(
ふく
)
も何も
懸
(
かか
)
っておらん。その代り
累々
(
るいるい
)
と書物やら、原稿紙やら、手帳やらが積んである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
折角
(
せっかく
)
、
楽
(
たのし
)
みにして、嬉しがって来た
女連
(
おんなれん
)
に、気の毒らしくって、私が
言訳
(
いいわけ
)
らしくそう言いますと
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうしてそんなにひどいことになったかというと、結局、その車室の目張が、
言訳
(
いいわけ
)
的におそまつにしてあり、それも力を合わせず、めいめい勝手にやったための失敗だった。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
船頭が
麁相
(
そそう
)
で殿様を川へ落し、殿様は死去されたれば、手前は
言訳
(
いいわけ
)
がないから船頭は其の場で
手打
(
てうち
)
に致したが、船頭ばかりでは相済まんぞ、亭主其の方も斬って仕舞うのだが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
第一新聞にでも出ることあったら、何としてお前の親たちに
言訳
(
いいわけ
)
しょう。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
演説をする前に
言訳
(
いいわけ
)
がましい事をいうのは
甚
(
はなは
)
だ卑怯なようでありますけれども、大して面白い事も御話は出来ないと思いますし、また問題があっても
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やがて
父親
(
てておや
)
が
迎
(
むかえ
)
にござった、
因果
(
いんが
)
と
断念
(
あきら
)
めて、別に不足はいわなんだが、何分
小児
(
こども
)
が娘の手を放れようといわぬので、医者も
幸
(
さいわい
)
、
言訳
(
いいわけ
)
かたがた、
親兄
(
おやあに
)
の心をなだめるため
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百両の金は実は
己
(
おれ
)
が
仕舞処
(
しまいどころ
)
を違えて置いたのが、
用箪笥
(
ようだんす
)
から出たから喜んでくれ、家来だからあんなに
疑
(
うたぐ
)
ってもよいが、
外
(
ほか
)
の者でもあっては己が
言訳
(
いいわけ
)
のしようもない位な訳で、誠に申しわけがない
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私よっぽど「誰に見られても男の人が附いて来るのんが一番わるい、三人だけやったらどないでも
言訳
(
いいわけ
)
立つよって、あんたええ加減に帰んなさい。私に預けるいうときながら、あんた帰ってくれはれへんねんやったら私帰ります」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は母に向かって
言訳
(
いいわけ
)
らしい言葉を使わなければならなかった。そうしてその言葉は母に対する言訳ばかりでなく、自分の心に対する言訳でもあった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まだまだそればかりでは自分に魔が
魅
(
さ
)
したようじゃけれども、ここに我身で我身に
言訳
(
いいわけ
)
が出来るというのは、しきりに
婦人
(
おんな
)
が
不便
(
ふびん
)
でならぬ、
深山
(
みやま
)
の
孤家
(
ひとつや
)
に
白痴
(
ばか
)
の
伽
(
とぎ
)
をして言葉も通ぜず
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言訳
(
いいわけ
)
に困って腹を切るのは昔のことだが、どうもお前さんは太い人だねえ、清水の旦那を殺し、又作という奴に
悪智
(
あくち
)
を
授
(
さず
)
けて、
屍骸
(
しがい
)
を旅荷に造り、佐野の在へ持って
往
(
ゆ
)
き、始末をつけようとする途中
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、
言訳
(
いいわけ
)
のつもりで附け加えた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私はむしろ
苦々
(
にがにが
)
しい気分で、遠くにいるあなたにこんな
一瞥
(
いちべつ
)
を与えただけでした。私は返事を上げなければ済まないあなたに対して、
言訳
(
いいわけ
)
のためにこんな事を打ち明けるのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
せめて
土産
(
みやげ
)
に敵情でも探つて来れば、まだ
言訳
(
いいわけ
)
もあるんだが、
刻苦
(
こっく
)
して探つても敵の用心が厳しくつて、残念ながら分らなかつたといふならまだも
恕
(
じょ
)
すべきであるに、先に将校に
検
(
しら
)
べられた時も
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
清「
言訳
(
いいわけ
)
をしようと思って腹を切んなすったかえ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
命のあるうちにとまた旧稿に向って見たが、
綯
(
よ
)
る
縄
(
なわ
)
は遅く、逃げる泥棒は早い。何一つ見やげも置かないで、消えて行くかと思うと、熱さえ余計に出る。これ一つ
纏
(
まと
)
めれば死んでも
言訳
(
いいわけ
)
は立つ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
訳
常用漢字
小6
部首:⾔
11画
“言”で始まる語句
言
言葉
言伝
言語
言下
言上
言草
言問
言出
言句