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蚤
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はや
ふりがな文庫
“
蚤
(
はや
)” の例文
按ずるに棭斎は識語を作るに当つて
名
(
めい
)
を其子に藉りたのであらう。しかし棭斎が
蚤
(
はや
)
く懐之に其古泉癖を伝へたことも、亦疑を容れない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蚤
(
はや
)
く
大聾
(
だいろう
)
となったので四、五十年前に聞いた事のみよく話す。由って俚言土俗に関して他所風の
雑
(
まじ
)
らぬ古伝を受くるに最も
恰好
(
かっこう
)
の人物だ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
九日
(
ここぬか
)
はいつよりも
蚤
(
はや
)
く
起出
(
おきい
)
でて、草の屋の
五八
席
(
むしろ
)
をはらひ、黄菊しら菊二枝三枝
小瓶
(
こがめ
)
に
挿
(
さ
)
し、
五九
嚢
(
ふくろ
)
をかたぶけて
酒飯
(
しゆはん
)
の
設
(
まうけ
)
をす。老母云ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
よし三男であつたにしろ、将持といふものは
蚤
(
はや
)
く消えてしまつて、次男の如き実際状態に於て生長したに相違無い。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
頑児の一念、ここに至りて、食
咽
(
のど
)
を下らず、寝
蓐
(
しとね
)
に安んぜず、ただ一死の
蚤
(
はや
)
からざるを悲しむのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
茫々
(
ぼうぼう
)
たる世間に放れて、
蚤
(
はや
)
く骨肉の親むべき無く、
況
(
いはん
)
や愛情の
温
(
あたた
)
むるに会はざりし貫一が身は、一鳥も過ぎざる枯野の広きに
塊然
(
かいぜん
)
として
横
(
よこた
)
はる石の如きものなるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今年、馬歯
蚤
(
はや
)
くも
桑年
(
そうねん
)
に
垂
(
なんな
)
んとして初めておくびの出るを覚えたり。『
操草紙
(
みさおぞうし
)
』といへる書に曰く
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
同じ文字を
露
(
あらわ
)
した大形の名刺の
芬
(
ぷん
)
と薫るのを、
疾
(
と
)
く用意をしていたらしい、ひょいと
抓
(
つま
)
んで、
蚤
(
はや
)
いこと、お妙の
袖摺
(
そです
)
れに出そうとするのを、
拙
(
まず
)
い! と目で留め、教頭は髯で制して
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我も一部を藏したれば、汝若し
蚤
(
はや
)
く我に求めば、我は汝に借しゝならん。我はハツバス・ダアダアがダンテを罵りしを聞きしより、その良き書なるを推し得て、汝に先だちて買ひ來りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
然
(
しか
)
れども
(一一五)
蚤
(
はや
)
く
患
(
うれひ
)
を
刑
(
けい
)
せらるるに
救
(
すく
)
ふ※
能
(
あた
)
はず。
呉起
(
ごき
)
、
武矦
(
ぶこう
)
に
説
(
と
)
くに
形勢
(
けいせい
)
の・
徳
(
とく
)
に
如
(
し
)
かざるを
以
(
もつ
)
てす。
然
(
しか
)
れども
之
(
これ
)
を
楚
(
そ
)
に
行
(
おこな
)
ふや、
(一一六)
刻暴
(
こくばう
)
少恩
(
せうおん
)
を
以
(
もつ
)
て
其躯
(
そのみ
)
を
亡
(
うしな
)
ふ。
悲
(
かな
)
しい
夫
(
かな
)
。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
蚤
(
はや
)
くより史を編むに
志
(
こころざし
)
あり、されど書の
徴
(
ちよう
)
すべきもの
罕
(
まれ
)
なり。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然らば忠琢は
蚤
(
はや
)
く十五歳
許
(
きよ
)
にして正精に仕へたものと見える。正精の死は文化九年忠琢十六歳の時に於てしたからである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
故に守宮と号す。伝えいう東方朔、漢の武帝に語り、これを試むるに験あり(『博物志』四)といえるは、
蚤
(
はや
)
く守宮の名あるについて、かかる解釈を
捏造
(
ねつぞう
)
したのだ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
踊
(
をど
)
りあがるここちして、
八八
小弟
(
せうてい
)
蚤
(
はや
)
くより待ちて今にいたりぬる。
盟
(
ちかひ
)
たがはで来り給ふことのうれしさよ。いざ入らせ給へといふめれど、只
点頭
(
うなづ
)
きて物をもいはである。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
三タビ稿ヲ改メントスルノ意図ナキニ非ラザリキ。然レドモ当初稿ヲ脱セシ時ヨリ既ニ半歳ヲ過ギ一時
蒐集
(
しゅうしゅう
)
シタリシ資料ノ今
蚤
(
はや
)
クモ座右ニ
留
(
とど
)
メザルモノマタ
鮮
(
すくな
)
シトナサズ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
貫一も遂に短き夢を結びて、常よりは
蚤
(
はや
)
かりけれど、目覚めしままに
起出
(
おきい
)
でし
朝冷
(
あさびえ
)
を、走り行きて
推啓
(
おしあ
)
けつる湯殿の内に、人は在らじと想ひし
眼
(
まなこ
)
を
驚
(
おどろか
)
して、かの
男女
(
なんによ
)
は
浴
(
ゆあみ
)
しゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ただし其恋があったとしても、双方ともに遠慮がちで終ったのかも知れないし、且又為基は病弱で、そして
蚤
(
はや
)
く亡くなったことは事実である。とにかく、此の事は別にして其儘遺して置くことにする。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして安政乙卯の五十二は歿後四年、元治甲子の六十一は歿後十二年となる。按ずるに文政己卯は柏軒
甫
(
はじめ
)
て十歳で、藩主の賞詞を蒙つた直前である。是は
蚤
(
はや
)
きに失する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
枕山は年いまだ四十に至らざるに
蚤
(
はや
)
くも時人と
相容
(
あいい
)
れざるに至ったことを悲しみ、それと共に後進の青年らが
漫
(
みだり
)
に時事を論ずるを聞いてその
軽佻
(
けいちょう
)
浮薄なるを
罵
(
ののし
)
ったのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さて寺の男に水運ばせ
苔
(
こけ
)
を洗ひ
蘿
(
つた
)
を
剥
(
はが
)
して
漫漶
(
まんかん
)
せる墓誌なぞ読みまた写さんとすれば、衰へたる日影の
蚤
(
はや
)
くも
舂
(
うすつ
)
きて
蜩
(
ひぐらし
)
の
啼
(
な
)
きしきる声
一際
(
ひときわ
)
耳につき、読難き文字更に読難きに苦しむべし。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
見ずや木造の
今戸橋
(
いまどばし
)
は
蚤
(
はや
)
くも変じて鉄の釣橋となり、江戸川の岸はせめんとにかためられて再び
露草
(
つゆくさ
)
の花を見ず。
桜田御門外
(
さくらだごもんそと
)
また芝赤羽橋
向
(
むこう
)
の
閑地
(
あきち
)
には土木の工事今まさに
興
(
おこ
)
らんとするにあらずや。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一度も遊ばざるに
蚤
(
はや
)
くこれを知る身ぞ賢かりける。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
“蚤(ノミ)”の解説
ノミ(蚤)とは、節足動物門昆虫綱ノミ目(隠翅目)に属する昆虫の総称。シラミとともに、代表的な外部寄生昆虫に数えられる。
(出典:Wikipedia)
蚤
漢検準1級
部首:⾍
10画
“蚤”を含む語句
蚤取粉
蚤取
蚤取眼
蚤虱
蚤沙魚
鼓上蚤
蚤除
蚤退治
蚤袋
蚤蚊
蚤糞
蚤男
捕蚤
蚤歳
蚤市
蚤夭
蚤世
羽蚤