若木わかぎ)” の例文
さまで大きくもあらぬけい六寸程の比較的若木わかぎであるが、魚の背骨せぼねの一方を削った様に枝は皆北方へ出て、南へは唯一本しか出て居ない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それよりも、子供こどもは、二人ふたりが、さけんでいる、すぐそばに、かやの若木わかぎが、はちわって、しかもそのが、しろかわいているのをました。
あらしの前の木と鳥の会話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「よけいなことだが、父貞氏どのは、あの御病体。……和殿こそは、足利家の大事な若木わかぎだ。……と思うての老婆心」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべて壮年期の椰子やしばかりで、其間そのあひだに近年護謨ゴム栽培𤍠の流行する影響から若木わかぎ護謨樹ゴムじゆを植ゑた所もある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
やまなかみちのかたわらに、椿つばき若木わかぎがありました。牛曳うしひきの利助りすけさんは、それにうしをつなぎました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
春は草が青あおとしげって、白い小ぎくが碧玉へきぎょくをしきつめたもうせんの上に白い星をちりばめていたし、芽出めだしやなぎやポプラの若木わかぎからはねっとりとやにが流れていた。
「嫣然」と言うのはここにいるうちに挨拶あいさつぐらいはし合うようになったある十五六の中学生だった。彼は格別美少年ではなかった。しかしどこか若木わかぎに似た水々しさを具えた少年だった。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
或る木は若木わかぎのときしびぐすりをのまされた。
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
二三 若木わかぎ迎え
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかし、だれも、それにたいして反抗はんこうするものはなかったのです。すべて、すぎの若木わかぎのいうとおりだったからです。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
蝦夷松えぞまつ椴松とどまつ、昔此辺の帝王ていおうであったろうと思わるゝ大木たおれて朽ち、朽ちた其木のかばねから実生みしょう若木わかぎ矗々すくすくと伸びて、若木其ものがけい一尺にあまるのがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
雪がまたずんずんりだしていた。ずいぶんしつっこく降っていた。わたしたちは白い地べたのしき物が高く高くふくれ上がって、しまいに、小さな若木わかぎ灌木かんぼくがすっかりうずまってしまうのを見た。
「こんな、きんぼではつかないね。」といって、清次せいじは、はたけそとへ、その若木わかぎててしまったのです。
僕のかきの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其は庭の片隅かたすみに、坊主ぼうずになる程られた若木わかぎ塩竈桜しおがまざくらであった。昨年次郎さんが出京入学して程なく、次郎さんの阿爺が持って来てくれたのである。其時は満開であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
学校がっこうやすみをって、こころかれるまま、うぐいすのきた方角ほうがくかけてみました。みちばたのはたけには、うめがあり、さくらがあり、またまつ若木わかぎがありました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
であるのに、たえず、すぎの若木わかぎは、周囲しゅういくさや、や、むしなどを冷笑わらっていたのです。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとり、すぎの若木わかぎは、傲慢ごうまんに、つよそうなことをいっていばっていたのであります。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、この若木わかぎは、無事ぶじにそれをしのいで、いくたびもはるむかえて、うるわしいはなひらくであろう、が、こうとしをとったわたしは、はたして、もう一、そのはなれるだろうかとおもったのでした。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たちまち、若木わかぎ坊主ぼうずとなり、野菜やさいは、あなだらけになってしまう。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、若木わかぎをゆするかぜ
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)