自力じりき)” の例文
あとでよく調べてみると、大樹寺たいじゆじといふのに入つて専修念仏せんじゆねんぶつぎやうをおこなひ済ましてゐたさうだ。よく/\自力じりきには懲りたものと見える。
会読の一段になっては全く当人の自力じりきに任せて構う者がないから、塾生は毎月六度ずつ試験にうようなものだ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
自力じりきで日の当る所まで歩いて出て見せるが、何しろ、長年ながねん掘荒したあなだから、まるで土蜘蛛つちぐもの根拠地みたようにいろいろな穴が、とんでもない所にいている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
孫右衛門は優形やさがたの小男、死んで自力じりきはないものの、彦兵衛の手一つでずずっとひきずり得るくらい。
これはあと神様かみさまからきかされたことでございますが、わたくし矢張やはり、自力じりき自然しぜんましたというよりか、かみさまのおちからましていただいたのだそうでございます。
「いよいよジャンガラ星は自力じりきで宇宙をとぶんだそうだが、いったいどこへ行くつもりだろうか」
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ですが他力たりきに任せた時、丁度一ぱいに風をはらんでなめらかに走る船のように安全に港に入ることが出来たのであります。私たちは自力じりきの道のみが道でないことを知ります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
自土即浄土じどそくじょうどと観じさえすれば、大歓喜だいかんぎの笑い声も、火山からほのおほどばしるように、自然といて来なければならぬ。おれはどこまでも自力じりきの信者じゃ。——おお、まだ一つ忘れていた。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただ法悦を救いのあかしとするのが浅い。知応にも話そうと思っているがよくお聞きなさい。救いには一切の証はありませんぞ。その証を求めるのはこちらのはからいで一種の自力じりきです。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
乳母 おのれ、わしのことなんとでもうてをれ、ものせうぞい。よしんばかけよりつよからうと、あんなやつがまだべつに二十にんあらうと、大事だいじない。自力じりきかなはぬなら、ひとたのむわいの。
「それはいけない。君は自力じりきでやらないで、他力たりきで切って貰うのか?」
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
難行なんぎょう雑修ぞうしゅう自力じりきのこころを捨て
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自力じりき麻痺まひして
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
用立ようだて申べし其上は自力じりきに及びがたしといふ彌次六申やう御入用高は未だとく相伺あひうかゞはねばまづ貴殿方きでんかたの御都合つがふもあれば夫だけ御用立下さるべしと云に肥前は委細ゐさい承知しようちなして歸宅きたくせしが早速さつそく右の金子三百兩持參ぢさんしければ此むね天一坊大膳へ申し談じ則ち天一樣御出世の上は永代米三百俵づつ毎年まいねん奉納ほうなふ有べしとしたゝめし證文しようもん引替ひきかへにし金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
エジソンのように、彼も自力じりきで働こうと思った。そしてもっと、たくさんのお金を儲け、そしてもっとたくさんの時間を、地下戦車の研究につかえるようにしたいと考えた。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
知識と無知、有想うそう無想むそう自力じりき他力たりき、私はこの両者の対比について多くの暗示を受ける。民衆のどこに美の認識があろうや。そうして個人的作のどこに無想の美があろうや。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ソコで文典二冊の素読も済めば講釈も済み会読も出来るようになると、れから以上はもっぱら自身自力じりきの研究に任せることにして、会読本の不審は一字半句も他人に質問するを許さず
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
トリストラム・シャンデーと云う書物のなかに、この書物ほど神の御覚召おぼしめしかのうた書き方はないとある。最初の一句はともかくも自力じりきつづる。あとはひたすらに神を念じて、筆の動くに任せる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
同行二 私の心の自力じりきが日にさらされるようにあらわれて参りました。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
はは臨終りんじゅうさいには、わたくし自力じりきでそれをったのでございました。
れから私は奥平おくだいらの藩に歎願して買取かいとっもらって、サアもうれでよろしい、この字引さえあればもう先生はらないと、自力じりき研究の念を固くして、ただその字引と首引くびっぴきで、毎日毎夜ひとり勉強
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
自力じりきの道を歩む者には、禅僧の如き大修行を要する。個性への執着は、器の美を保証しない。まして個人的仕事において、いかに多く工程上に技術上に無理が生ずるかを誰も経験するであろう。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)