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練塀
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ねりべい
ふりがな文庫
“
練塀
(
ねりべい
)” の例文
後
(
うしろ
)
を限る
書割
(
かきわり
)
には
小
(
ちいさ
)
く
大名屋敷
(
だいみょうやしき
)
の
練塀
(
ねりべい
)
を
描
(
えが
)
き、その上の空一面をば無理にも夜だと思わせるように
隙間
(
すきま
)
もなく
真黒
(
まっくろ
)
に塗りたててある。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
去年の春
麻布
(
あざぶ
)
のさる町を通行したら高い
練塀
(
ねりべい
)
のある広い屋敷の内で何か多人数打ち寄って遊んででもいるのか面白そうに笑う声が聞えた。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何んだろうと、私は松と話しながら、
練塀
(
ねりべい
)
へ突き当って、上野町の方へ曲がって行こうとすると、
其所
(
そこ
)
に異様な
風体
(
ふうてい
)
をした武士の一団を見たのであった。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
すたすたとお堂の前に帰っていった出会いがしらに、ぱったり顔を合わせたのは、
練塀
(
ねりべい
)
小路の妙見堂から汗をふきふき駆けつけたあば敬とその一党です。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
駕籠
(
かご
)
はいま、
秋元但馬守
(
あきもとたじまのかみ
)
の
練塀
(
ねりべい
)
に
沿
(
そ
)
って、
蓮
(
はす
)
の
花
(
はな
)
が
妍
(
けん
)
を
競
(
きそ
)
った
不忍池畔
(
しのばずちはん
)
へと
差掛
(
さしかか
)
っていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
私は友人に
跟
(
つ
)
いて、渡場から右の方へ折れて往った。そこは小さな人家がごたごたと並んでいた。一丁ばかりも往ったところで、左側にちょっとした白い
練塀
(
ねりべい
)
のある家があった。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
婆
(
ばあ
)
さんに
聞
(
き
)
いた
突當
(
つきあた
)
りは、
練塀
(
ねりべい
)
か、
高
(
たか
)
い
石
(
いし
)
の
塀腰
(
へいごし
)
らしかつたが、
其
(
それ
)
はよく
見
(
み
)
なかつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
練塀
(
ねりべい
)
小路の油屋、和泉屋の伜嘉三郎は思ひ
焦
(
こが
)
れて、枕もあがらないと言はれてゐますが、骨と皮ばかりになつてゐても、夜中に一度は外へ出て、フラフラと金澤町まで歩いて行き
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
太い大黒柱や、薄暗い米倉や、
葛
(
かつら
)
の這い上った
練塀
(
ねりべい
)
や、深い井戸が私には皆なありがたかったので、下男下女が私のことを城下の旦坊様と言ってくれるのがうれしかったのでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ここらは一種の寺町ともいうべきところで、両側に五、六軒の寺がむかい合っていて、古い
練塀
(
ねりべい
)
や生垣の内から大きい樹木の枝や葉の拡がっているのが、宵闇の夜をいよいよ暗くしていた。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は
練塀
(
ねりべい
)
の木戸門をぬけ、馬場に沿って聖坂へ出た。
末っ子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
則ち旧
加州侯
(
かしゅうこう
)
の
練塀
(
ねりべい
)
立ちつづく本郷の暗闇坂の如き、
麻布長伝寺
(
あざぶちょうでんじ
)
の練塀と赤門見ゆる一本松の坂の如きはその実例である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ここは向うが高い
棟
(
むね
)
で、こっちが厚い
練塀
(
ねりべい
)
らしいから風の音がそんなに聞えないけれど、
先刻
(
さっき
)
俥へ乗った時は大変ね。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だんなは物知りだからご存じでしょうが、下谷の
練塀
(
ねりべい
)
小路の三本
榎
(
えのき
)
の下に、榎妙見というのがありますね。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
右
(
みぎ
)
へ
行
(
い
)
く
白壁町
(
しろかべちょう
)
への
道
(
みち
)
を
左
(
ひだり
)
へ
折
(
お
)
れたために、
狐
(
きつね
)
につままれでもしたように、
方角
(
ほうがく
)
さえも
判
(
わか
)
らなくなった
折
(
おり
)
も
折
(
おり
)
、
彼方
(
かなた
)
の
本多豊前邸
(
ほんだぶぜんてい
)
の
練塀
(
ねりべい
)
の
影
(
かげ
)
から、ひた
走
(
はし
)
りに
走
(
はし
)
ってくる
女
(
おんな
)
の
気配
(
けはい
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
平次が行つた先は、
練塀
(
ねりべい
)
小路の油屋、
和泉
(
いづみ
)
屋嘉七の店でした。
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
極
(
きは
)
めて一直線な
石垣
(
いしがき
)
を見せた台の下に
汚
(
よご
)
れた水色の
布
(
ぬの
)
が敷いてあつて、
後
(
うしろ
)
を
限
(
かぎ
)
る
書割
(
かきわり
)
には
小
(
ちひさ
)
く
大名屋敷
(
だいみやうやしき
)
の
練塀
(
ねりべい
)
を
描
(
ゑが
)
き
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
練塀
(
ねりべい
)
小路
榎
(
えのき
)
妙見境内にて一人。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私たち二人は雑草の露に
袴
(
はかま
)
の
裾
(
すそ
)
を
潤
(
うるお
)
しながら、この森蔭の
小暗
(
おぐら
)
い片隅から青葉の枝と幹との間を
透
(
すか
)
して、
彼方
(
かなた
)
遥かに広々した閑地の周囲の
処々
(
しょしょ
)
に残っている
練塀
(
ねりべい
)
の崩れに
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
毅堂の新に居を
卜
(
ぼく
)
した竹町四番地の家は旧
寄合生駒
(
よりあいいこま
)
大内蔵の邸内に
祀
(
まつ
)
られた
金毘羅
(
こんぴら
)
神社とその
練塀
(
ねりべい
)
を連ねた
角屋敷
(
かどやしき
)
で、旧幕府
作事方
(
さくじかた
)
の役人が住んでいた屋敷であったということである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
水戸藩邸
(
みとはんてい
)
の最後の
面影
(
おもかげ
)
を
止
(
とど
)
めた
砲兵工廠
(
ほうへいこうしょう
)
の大きな赤い裏門は何処へやら
取除
(
とりの
)
けられ、古びた
練塀
(
ねりべい
)
は赤煉瓦に改築されて、お家騒動の絵本に見る通りであったあの
水門
(
すいもん
)
はもう影も形もない。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日頃
人通
(
ひとどおり
)
の少ない処とて古風な
練塀
(
ねりべい
)
とそれを
蔽
(
おお
)
う樹木とは殊に
気高
(
けだか
)
く望まれる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
向側は一町ほども引続いた
練塀
(
ねりべい
)
に、目かくしの
椎
(
しい
)
の老木が繁茂した富豪の
空
(
あき
)
屋敷。
此方
(
こなた
)
はいろいろな小売店のつづいた中に兼太郎が知ってから
後
(
のち
)
自動車屋が二軒も出来た。
銭湯
(
せんとう
)
もこの間にある。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
練
常用漢字
小3
部首:⽷
14画
塀
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
“練塀”で始まる語句
練塀小路
練塀町