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猖獗
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しょうけつ
ふりがな文庫
“
猖獗
(
しょうけつ
)” の例文
火災が起こり
飢饉
(
ききん
)
が始まった。何もかも、ありとあらゆるものが滅びていった。疫病はしだいに
猖獗
(
しょうけつ
)
を加え、ますます
蔓延
(
まんえん
)
していった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
にも
関
(
かか
)
わらず彼らの迷妄はさめず、宗教の名にかくれて世衆を惑乱し、それに
与
(
くみ
)
さぬ良民は
趁
(
お
)
って、兇徒を
嘯集
(
しょうしゅう
)
し、勢いますます
猖獗
(
しょうけつ
)
して
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあこれを見ろよ、東京じゃ大騒ぎだぜ、眠り病が大
猖獗
(
しょうけつ
)
だ……、君もあんまりよく寝てるからやられたんじゃないかと思って心配しちゃったよ」
睡魔
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
疫病が「
猖獗
(
しょうけつ
)
」という文字で形容された時代ならば、当然「家々の戸はかたくさしこめられ、街頭には人影もなく」
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
◯中小都市の爆撃が始まり、
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めている。そのさきがけは、五月二十九日の横浜市への五百機来襲であった。
海野十三敗戦日記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
梅雨があがると、
熬
(
い
)
りつけるような暑い日が幾日となく続いて、再び又暗鬱な雨がじめじめと降り続いた。そして市中には急性のチブスが
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めた。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
このとき、
門司
(
もじ
)
市全体を、暗黒の戦慄におとし入れた「
上海
(
シャンハイ
)
コレラ」の
猖獗
(
しょうけつ
)
は、浜尾組のみならず、すでに、市内の各所に、その兆候をあらわしていた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「双方の勢気脈を通じ、次第に
猖獗
(
しょうけつ
)
となります様子。……なおここに詳しきことは、
認
(
したた
)
め置きましてござります」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
日本で初めて此の病いがはやり出したのは明治二十三年の冬で、二十四年の春に至ってますます
猖獗
(
しょうけつ
)
になった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ナポレオンの腹の上では、径五寸の田虫が地図のように
猖獗
(
しょうけつ
)
を
極
(
きわ
)
めていた。この事実を知っていたものは貞淑無二な彼の前皇后ジョセフィヌただ一人であった。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
彼等の勢いが
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めるに従って、先年
謀叛
(
むほん
)
を企てたことのある月形城の横輪豊前守は、既に彼等と気脈を通じて動き出そうとする様子が顕然としているし
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一九二九年はこのレコード熱がもっとも
猖獗
(
しょうけつ
)
をきわめた年であって、その熱病が欧州にまでも
蔓延
(
まんえん
)
した。
記録狂時代
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
インフルエンザ
猖獗
(
しょうけつ
)
。街のダンス場も閉じた。ヴァイレレ農場では七十人の人夫が一時に
斃
(
たお
)
れたと。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
六月の末になると、アメリカの花どもがいよいよ
猖獗
(
しょうけつ
)
して、朝から、蜂がくる
虻
(
あぶ
)
がくる。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一七八九年に彼らはこの悪疫に見舞われたが、これは天然痘の一切の特徴と猛烈さとをもって、彼らの間に
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めた。それがもたらした荒廃はほとんど信じ得ないほどである。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
その理由を問えば、曰く、「その情
固
(
もと
)
より
狡黠
(
こうかつ
)
にして、その状またすこぶる
猖獗
(
しょうけつ
)
なり」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
お染風という悪性の感冒が江戸中に
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めた折り、「久松留守」と書いた紙を門口に貼り付けて
疫病除
(
やくびょうよ
)
けの
呪禁
(
まじない
)
とすることが
流行
(
はや
)
って、ひところは軒並にその
紙片
(
かみ
)
が見られたが
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
秋から流行している悪性の感冒は未だ
猖獗
(
しょうけつ
)
していた。多くの流行病は、終りに近いほど病毒が軽微になる筈なのに、今年の感冒は逆であった。沢山の新患者に沢山の死亡者があった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この年の六月頃から、清国義和団匪の暴動がますます
猖獗
(
しょうけつ
)
をきわめてきた。六月十二日にわが公使館書記生杉山彬が途上に虐殺され、ついで独逸公使ケットレルも白昼兇刃に斃された。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
天平の中ごろに
猖獗
(
しょうけつ
)
をきわめた
疫瘡
(
えきそう
)
の流行は、特に猛烈にこの湿地を襲ったであろう。次いで起こった光明后の大患も、同じくこの湿地の間接の影響に基づいたのでないとはいえまい。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
vérité
(
ヴェリテ
)
vraie
(
ヴレイ
)
. なんでも事実でなければ承知しない。しかしそう
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めているものじゃない。ただ一派として存在を認められるだけさ。またそうでなくっちゃ困るからね。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この流感が
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めている最中に清之介君は結婚式を挙げたのである。
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「なーに、一時は
猖獗
(
しょうけつ
)
をきわめても、共産党が天下を取れるわけはない」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
うう朝鮮か……
東学党
(
とうがくとう
)
ますます
猖獗
(
しょうけつ
)
……なに
清国
(
しんこく
)
が出兵したと……。さあ
大分
(
だいぶ
)
おもしろくなッて来たぞ。これで
我邦
(
こっち
)
も出兵する——
戦争
(
いくさ
)
になる——さあもうかるぜ。お隅、前祝いだ、
卿
(
おまえ
)
も一つ飲め
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
(二)ウェトリヤンカ郡民——一八七八年露領アストラカンの黒死病
猖獗
(
しょうけつ
)
期において、ウェトリヤンカ郡を砲兵を有する包囲線にて封鎖し、空砲発射並びに銃殺にて
威嚇
(
いかく
)
せしめ、郡民は逃れ得ず
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
去年あたりからにわかに
猖獗
(
しょうけつ
)
をみせてきた例の踊る宗教——
時宗
(
じしゅう
)
の
阿弥
(
あみ
)
仲間へはいるものが、おそろしい勢いでふえつつある。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、一揆いよいよ
猖獗
(
しょうけつ
)
、往来全く閉ざされて、行くことも危険帰ることも危険と、取り沙汰される有様となった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうさ、いま東京中に
猖獗
(
しょうけつ
)
している嗜眠性脳炎を病理学的にやろうとしたのが間違いなのさ、思えばずいぶん無駄な努力をしたもんだ、いくら顕微鏡なんかを
睡魔
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
日本で初めてこの
病
(
やまい
)
が
流行
(
はや
)
り出したのは明治二十三年の冬で、二十四年の春に至ってますます
猖獗
(
しょうけつ
)
になった。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「しかし、第五列が
猖獗
(
しょうけつ
)
をきわめているようじゃありませんか。現に私は今……」
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
恐るべきクールベエと云ふ
奴
(
やつ
)
がゐる。
vérité vraie
※リテ、ヴレイ
、何でも事実でなければ承知しない。然しさう
猖獗
(
しょうけつ
)
を極めてゐるものぢやない。たゞ一派として存在を認められる丈さ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼も、やがて西海のもくずと消え、さしも、
猖獗
(
しょうけつ
)
を逞しゅうした伊予の巣窟も、陥落してしまったが、あとの世まで、妙な陰影は残さなかった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小間使ギンヤの
什器破壊作業
(
じゅうきはかいさぎょう
)
は、その第二日にいたって、
俄然
(
がぜん
)
猖獗
(
しょうけつ
)
を
極
(
きわ
)
めた。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一方、かの
闖賊
(
ちんぞく
)
は勢いますます
猖獗
(
しょうけつ
)
になって、都もやがて危いという悲報が続々来るので、忠節のあつい将軍は都へむけて一部隊の援兵を送ることになった。張訓もその部隊のうちに加えられた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こうして、邪教の
猖獗
(
しょうけつ
)
は、年ごとに甚だしくなり、今年でもう三十年にもなるが、いかにせん、その悪弊は聞えてきても、中央に遠い
巴蜀
(
はしょく
)
の地である。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中国の業はまだ緒についたばかりで、前途の好転は期しがたい
蹉跌
(
さてつ
)
を見ているし、大坂の本願寺勢は、いよいよ
猖獗
(
しょうけつ
)
して、時こそ到来と、攻勢の機を
測
(
はか
)
っていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ぜひ有力な援軍を下し給わぬと、汝南地方は
黄匪
(
こうひ
)
の
猖獗
(
しょうけつ
)
にまかせ、後々大事にいたるかも知れません」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、
検非違使
(
けびいし
)
の
包待制
(
ほうたいせい
)
のごときは、
施薬院
(
せやくいん
)
の
医吏
(
いり
)
をはげまし、また、自分の俸給まで投げだして、必死な救済にあたっておりますが、いかんせん、
疫痢
(
えきり
)
の
猖獗
(
しょうけつ
)
にはかてません。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
摂津
(
せっつ
)
野田、福島、中之島一円に
亘
(
わた
)
り、阿波三好党一万余、塁を築き、浮浪の徒を
糾合
(
きゅうごう
)
候て、
一揆
(
いっき
)
に及び、門徒僧数千も加わり、本願寺門跡、これが背後の謀主たる由にて、勢い
猖獗
(
しょうけつ
)
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逆徒の
猖獗
(
しょうけつ
)
にまかせて現状に至る——という状態です。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“猖獗”の意味
《名詞》
猖 獗(しょうけつ)
好ましくないものの勢いが盛んなさま。猛威をふるうこと。
失敗する。くつがえる。(蜀志・諸葛亮伝)
(出典:Wiktionary)
猖
漢検1級
部首:⽝
11画
獗
漢検1級
部首:⽝
15画
“猖”で始まる語句
猖紅熱
猖狂
猖々緋