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狡猾
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かうくわつ
ふりがな文庫
“
狡猾
(
かうくわつ
)” の例文
日を重ねて北へ進むと、湖岸の土人は次第に
狡猾
(
かうくわつ
)
で
兇暴
(
きようぼう
)
なものが多くなりました。一行の全員には十発づつの弾丸がくばられました。
アフリカのスタンレー
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
小説家は
狡猾
(
かうくわつ
)
に笑つて何とも答へず、家へ戻つたが、それと彼の昨夜来の経験とを織りまぜ、小説に作りあげて見ようと、決心した。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
会ふほどの人には誰彼となく、貧乏な百姓の
狡猾
(
かうくわつ
)
を
罵
(
ののし
)
り、訴へた。さうして「どうせ貧乏する位の奴は、義理も何も心得ぬ狡猾漢だ」
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
婆樣
(
ばあさん
)
は
上方者
(
かみがたもの
)
ですよ、ツルリンとした
顏
(
かほ
)
の
何處
(
どつか
)
に「
間拔
(
まぬけ
)
の
狡猾
(
かうくわつ
)
」とでも
言
(
い
)
つたやうな
所
(
ところ
)
があつて、ペチヤクリ/\
老爺
(
ぢいさん
)
の
氣嫌
(
きげん
)
を
取
(
とつ
)
て
居
(
ゐ
)
ましたね。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
『でせう——それそこが瀬川君です。
今日
(
こんにち
)
まで人の目を
暗
(
くらま
)
して来た位の
智慧
(
ちゑ
)
が有るんですもの、余程
狡猾
(
かうくわつ
)
の人間で無ければ
彼
(
あ
)
の真似は出来やしません。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
而
(
そ
)
して
歐米
(
をうべい
)
の
海員
(
かいゐん
)
仲間
(
なかま
)
では、
此事
(
このこと
)
を
知
(
し
)
らぬでもないが、
如何
(
いか
)
にせん、
此
(
この
)
海賊
(
かいぞく
)
團體
(
だんたい
)
の
狡猾
(
かうくわつ
)
なる
事
(
こと
)
は
言語
(
げんご
)
に
絶
(
た
)
えて、
其
(
その
)
來
(
きた
)
るや
風
(
かぜ
)
の
如
(
ごと
)
く、
其
(
その
)
去
(
さ
)
るも
亦
(
ま
)
た
風
(
かぜ
)
の
如
(
ごと
)
く。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
お銀ちやんは、初めは、
狡猾
(
かうくわつ
)
な意地惡のふて/″\しい女に見えたが、かうして話して行くうちに、腹の底まで平氣で見せるあけすけのお人好しに見えて來た。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
私は、私自身がブロクルハーストの前に
狡猾
(
かうくわつ
)
な
邪惡
(
じああく
)
な子とされてしまつてゐるのがわかつた。そして、この
汚名
(
をめい
)
を
濯
(
すゝ
)
ぐ爲めに、私は一體何をすることが出來るのか?
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これで先生も
使賃
(
つかひちん
)
をやる事を
覚
(
おぼ
)
え、
又
(
また
)
小僧
(
こぞう
)
さんも
行儀
(
ぎやうぎ
)
が
直
(
なほ
)
つたといふお話で、誠に
西洋
(
あちら
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんは
狡猾
(
かうくわつ
)
で
怜悧
(
りこう
)
の
処
(
ところ
)
がありますが、
日本
(
こちら
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんは
極
(
ごく
)
穏当
(
をんたう
)
なもので。
西洋の丁稚
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
殘忍で
貪慾
(
どんよく
)
で、
狡猾
(
かうくわつ
)
で、手のつけやうのない兇賊團でしたが、二、三年前東海道を荒し拔いて江戸に入り、それから引續き諸人の恐怖と迷惑の
種子
(
たね
)
になつてゐたのでした。
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
狡猾
(
かうくわつ
)
で
恥知
(
はぢし
)
らずで、
齒切
(
はぎ
)
れがわるくて
何一
(
なにひと
)
つ
取
(
と
)
り
柄
(
え
)
のない
人間
(
にんげん
)
ばかりの
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
る
土地
(
とち
)
だ。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
必ず曲知
小慧
(
せうけい
)
の俗吏を用ひ巧みに
聚斂
(
しうれん
)
して一時の缺乏に給するを、理財に長ぜる良臣となし、手段を以て苛酷に民を虐たげるゆゑ、人民は苦惱に堪へ兼ね、聚斂を逃んと、自然
譎詐
(
きつさ
)
狡猾
(
かうくわつ
)
に趣き
遺訓
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
狡猾
(
かうくわつ
)
奸佞
(
かんねい
)
なるものの世に珍重せらるべきを知りぬ、「ブロンテ」の小説を読んで人に感応あることを知りぬ、
蓋
(
けだ
)
し小説に境遇を叙するものあり、品性を写すものあり、心理上の解剖を試むるものあり
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
亜米利加人は煙草を
啣
(
くは
)
へたなり、
狡猾
(
かうくわつ
)
さうな微笑を浮べました。
アグニの神
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主人は、干からびた茄子のやうな顏に
狡猾
(
かうくわつ
)
な薄笑ひを浮べて、周三へさう言つた。お客になつて泊るといふことは、泊り込み料×圓を現金で支拂へ、といふことなのだ。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
詰
(
つま
)
る
所
(
ところ
)
は
大紛爭
(
だいもんちやく
)
を
引起
(
ひきをこ
)
して、
其間
(
そのあひだ
)
に
多少
(
たせう
)
の
利益
(
りえき
)
を
占
(
し
)
めんと
企
(
くわだ
)
てゝ
居
(
を
)
る、
實
(
じつ
)
に
其
(
その
)
狡猾
(
かうくわつ
)
なる
事
(
こと
)
言語
(
げんご
)
に
絶
(
ぜつ
)
する
程
(
ほど
)
だから、
今
(
いま
)
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
は
公明正大
(
こうめいせいだい
)
に
此
(
この
)
島
(
しま
)
を
發見
(
はつけん
)
し、
名
(
なづ
)
けて
朝日島
(
あさひとう
)
と
呼
(
よ
)
び
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
魔女のやうに
狡猾
(
かうくわつ
)
な
狂人
(
きちがひ
)
の女は、その女のポケットから鍵を取り出して寢室を拔け出て、家の中をふら/\と歩き𢌞つて思ひつき放題にどんな恐しい惡戲でもしてたのですからね。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
『しかし、驚いたねえ。
狡猾
(
かうくわつ
)
な人間もあればあるものだ。
能
(
よ
)
く
今日
(
いま
)
まで
隠蔽
(
かく
)
して居たものさ。
其様
(
そん
)
な
穢
(
けがらは
)
しいものを君等の学校で教員にして置くなんて——第一怪しからんぢやないか。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
上田の
遊廓
(
いうくわく
)
へおきみを賣り込んだ當時の大阪屋からは、さそりのやうな小汚ない
狡猾
(
かうくわつ
)
さを感じたのであつたが、今は、生きながら人の生血を吸ひつくす毒蛇の貪慾さを感じさせられた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
狡
漢検1級
部首:⽝
9画
猾
漢検1級
部首:⽝
13画
“狡猾”で始まる語句
狡猾者
狡猾婆
狡猾性
狡猾相
狡猾世界
狡猾怜悧
狡猾無比