燒石やけいし)” の例文
新字:焼石
さうして養蠶やうさんせはしい四ぐわつすゑか五ぐわつはじめまでに、それを悉皆すつかりかねへて、また富士ふじ北影きたかげ燒石やけいしばかりころがつてゐる小村こむらかへつてくのださうである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
案じぬとは人非人とも無義道むぎだうともたとへがたき者なりと心の内には思へ共いろにも出さず只一しんかせぎけれど燒石やけいしへ水のたとへの如くなればやせんかくやとひとり心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
で、立騰たちのぼり、あふみだれる蚊遣かやりいきほひを、もののかずともしない工合ぐあひは、自若じじやくとして火山くわざん燒石やけいしひと歩行あるく、あしあかありのやう、と譬喩たとへおもふも、あゝ、蒸熱むしあつくてられぬ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いづればまた曠野ひろのにて燒石やけいし昔し噴出せしまゝなり開墾せんにも二三尺までは灰の如き土にて何も作りがたしとぞ此所こゝは輕井澤より沓掛くつかけ追分小田井の三宿の間なり四里程なれば忽ち小田井に着きて滊車を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
やま半腹はんぷく以上いじやう赤色せきしよく燒石やけいし物凄ものすごやう削立せうりつしてるが、ふもとかぎりもなき大深林だいしんりんで、深林しんりん中央ちうわう横斷わうだんして、大河たいか滔々とう/\ながれて樣子やうす其邊そのへん進行しんかうしたら隨分ずいぶんしき出來事できごともあらうとおもつたので
主人しゆじん細君さいくん説明せつめいによると、この織屋おりやんでゐるむら燒石やけいしばかりで、こめあはれないから、やむくはゑてかひこふんださうであるが、餘程よほどまづしいところえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)