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渦
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うずま
ふりがな文庫
“
渦
(
うずま
)” の例文
バサリと音して、
一握
(
ひとにぎり
)
の綿が舞うように、むくむくと
渦
(
うずま
)
くばかり、枕許の棚をほとんど
転
(
ころが
)
って飛ぶのは、大きな、色の白い
蛾
(
ひとりむし
)
で。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トコトン/\、はらり/\、くるりと廻り、ぶんと飛んで、座は
唯
(
ただ
)
蠅で
蔽
(
おお
)
はれて、
果
(
はて
)
は
夥
(
おびただ
)
しい
哉
(
かな
)
渦
(
うずま
)
く中に、
幼児
(
おさなご
)
は息が
留
(
とま
)
つた。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
被
(
かずき
)
の外へ
躍出
(
おどりい
)
でて、
虚空
(
こくう
)
へさっと
撞木
(
しゅもく
)
を
楫
(
かじ
)
、
渦
(
うずま
)
いた風に乗って、
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
の
狂
(
くる
)
いが
火焔
(
ほのお
)
のように
飜
(
ひるがえ
)
ったのを、よくも見ないで
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
凄まじい霰の音、八方から
乱打
(
みだれう
)
つや、大屋根の石もからからと転げそうで、雲の
渦
(
うずま
)
く影が入って、
洋燈
(
ランプ
)
の笠が暗くなった。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
身動
(
みじろ
)
ぎもせず聞き
澄
(
す
)
んだ散策子の
茫然
(
ぼんやり
)
とした目の前へ、
紅白粉
(
べにおしろい
)
の烈しい
流
(
ながれ
)
が
眩
(
まばゆ
)
い日の光で
渦
(
うずま
)
いて、くるくると廻っていた。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
なびくに脈を打って、七筋ながら、
処々
(
ところどころ
)
、斜めに太陽の光を浴びつつ、白泡立てて
渦
(
うずま
)
いた、その
凄
(
すご
)
かった事と云ったら。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中央の
木目
(
もくめ
)
から
渦
(
うずま
)
いて出るのが、池の小波のひたひたと寄する音の中に、隣の納屋の石を切る
響
(
ひびき
)
に交って、繁った葉と葉が
擦合
(
すれあ
)
うようで、たとえば
時雨
(
しぐれ
)
の降るようで
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
藍
(
あい
)
を入れた字のあとは、
断々
(
きれぎれ
)
になつて、
恰
(
あたか
)
も青い
蛇
(
へび
)
が、
渦
(
うずま
)
き立つ雲がくれに、昇天をする如く
也
(
なり
)
。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
静
(
しずか
)
に放すと、取られていた手がげっそり
痩
(
や
)
せて、着た服が広くなって、胸もぶわぶわと
皺
(
しわ
)
が見えるに、
屹
(
きっ
)
と目を
睜
(
みは
)
る肩に垂れて、
渦
(
うずま
)
いて、不思議や、
己
(
おの
)
が身は白髪になった
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒雲一団
渦
(
うずま
)
く中に、鷲は一双の金の瞳を
怒
(
いか
)
らしたが、ぱっと音を立てて三たび
虚空
(
こくう
)
に退いた。二ツ三ツ四ツ五ツばかり羽は斑々として落ちて、
戦
(
たたかい
)
の矢を白い花の上に残した。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むらむらと両方から
舞台際
(
ぶたいぎわ
)
へ引寄せられると、煙が
渦
(
うずま
)
くように畳まれたと言います。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて私の
身
(
からだ
)
は何の事はない
渦
(
うずま
)
いて来る人間の浪の中に巻込まれてしまいました。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
要こそあれ滅多
当
(
あたり
)
に
拳
(
こぶし
)
を廻して、砂煙の
渦
(
うずま
)
くばかり、くるくる舞して働きながら、
背後
(
うしろ
)
から割って出て、柳屋の
店頭
(
みせさき
)
に
突立
(
つった
)
った、
蚰蜒眉
(
げじげじまゆ
)
の、
猿眼
(
さるまなこ
)
の、
豹
(
ひょう
)
の額の、
熟柿
(
じゅくし
)
の
呼吸
(
いき
)
の、蛇の舌の
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
喝
(
かっ
)
する下に、どぶり、どぶり、どぶり、と浪よ、浪よ、浪よ
渦
(
うずま
)
くよ。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渦
(
うずま
)
いて寄する風の音、遠き
方
(
かた
)
より
呻
(
うな
)
り来て、どつと
満山
(
まんざん
)
に
打
(
うち
)
あたる。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
言う時、
煉瓦造
(
れんがづくり
)
の高い寄宿舎の二階から一文字に懸けてある
鉄
(
くろがね
)
の
樋
(
とい
)
が鳴って、深い溝を一団の湯気が白々と
渦
(
うずま
)
き
上
(
あが
)
った。
硝子窓
(
がらすまど
)
は
朦朧
(
もうろう
)
として、夕暮の寒さが身に染みるほど室の煖まるのが感じらるる。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“渦”の意味
《名詞》
水などの流体が作る回転した流れ。
(出典:Wiktionary)
渦
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
“渦”を含む語句
巴渦
渦巻
渦紋
旋渦
渦潮
渦流
盤渦
渦巻毛
渦中
渦卷
渦動
渦毛
大渦
大渦巻
渦環
渦福
渦捲
人渦
渦高
対流渦
...