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波紋
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はもん
ふりがな文庫
“
波紋
(
はもん
)” の例文
と見るまに、二
羽
(
わ
)
のせきれいのうち、一羽が
瀞
(
とろ
)
の水に落ちて、うつくしい
波紋
(
はもん
)
をクルクルと
描
(
えが
)
きながら
早瀬
(
はやせ
)
のほうへおぼれていった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
キンちゃんの声が大きかったので、池の水面から顔を出していた奇妙な魚がびっくりして、どぶんと
波紋
(
はもん
)
をのこして沈んでしまったのだ。
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その言葉が、一滴の水のように、私の心の中に
波紋
(
はもん
)
をひろげた。私はそのときそれ以上を訊ねなかったが、楼主の娘に女学生でもいたのかも知れない。
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
どッ! と、浪のような笑声が、諸士の口から一つに沸いて、
初春
(
はる
)
らしく、豊かな
波紋
(
はもん
)
を描いた。が、笑い声は
長閑
(
のどか
)
でも、どうせ
嘲笑
(
ちょうしょう
)
である。
愚弄
(
ぐろう
)
である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
白、黒、黄、青、紫、赤、あらゆる明かな色が、
大海原
(
おおうなばら
)
に起る
波紋
(
はもん
)
のごとく、
簇然
(
そうぜん
)
として、遠くの底に、五色の
鱗
(
うろこ
)
を
并
(
なら
)
べたほど、小さくかつ
奇麗
(
きれい
)
に、
蠢
(
うごめ
)
いていた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
三日月
(
みかづき
)
の
淡
(
あわ
)
い
光
(
ひかり
)
が
青
(
あお
)
い
波紋
(
はもん
)
を
大
(
おお
)
きく
投
(
な
)
げて、
白珊瑚
(
しろさんご
)
を
想
(
おも
)
わせる
肌
(
はだ
)
に、
吸
(
す
)
い
着
(
つ
)
くように
冴
(
さ
)
えてゆく
滑
(
なめ
)
らかさが、
秋草
(
あきぐさ
)
の
上
(
うえ
)
にまで
映
(
は
)
え
盛
(
さか
)
ったその
刹那
(
せつな
)
、ふと
立上
(
たちあが
)
ったおせんは
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
すると、教室のその一
角
(
かく
)
から、「あっ、くさっ、あっ、くさっ」という声が、
波紋
(
はもん
)
のようにひろがり、ざわめきだす。すると藤井先生は、あわててハンケチを胸のポケットから出す。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
私の帽子の上に不意に落ちて来た桜の実が私のうちに形づくり、拡げかけていた悲しい感情の
波紋
(
はもん
)
を、今しがたの気づまりな
出会
(
であい
)
がすっかり
掻
(
か
)
き乱してしまったのを好い機会にして。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私は胸のあたりに、二筋三筋の静な
波紋
(
はもん
)
を描いて、丁度真白な水鳥が、風なき水面をすべる様に、音もなく進んで行った。やがて、中心に達すると、黒くヌルヌルした岩の上に
這
(
は
)
い
上
(
あが
)
る。
火星の運河
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
波紋
(
はもん
)
をおさめじっと動かなくなった。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
もくり……と
毒水
(
どくすい
)
の
波紋
(
はもん
)
がよれたかと思うと、
俯
(
う
)
ッ
伏
(
ぷ
)
せになった
水死人
(
すいしにん
)
が
水草
(
みずぐさ
)
の根をゆらゆらとはなれる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時の余は無論手が
利
(
き
)
かなかった。しかも日は容易に暮れ容易に明けた。そうして余の頭を
掠
(
かす
)
めて
去
(
さ
)
る心の
波紋
(
はもん
)
は、
随
(
したが
)
って
起
(
おこ
)
るかと思えば
随
(
したが
)
って消えてしまった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
波紋
(
はもん
)
が
次第
(
しだい
)
に
大
(
おお
)
きく
伸
(
の
)
びたささやかな
波
(
なみ
)
の
輪
(
わ
)
を、
小枝
(
こえだ
)
の
先
(
さき
)
でかき
寄
(
よ
)
せながら、じっと
水
(
みず
)
の
面
(
おも
)
を
見詰
(
みつ
)
めていたのは、四十五の
年
(
とし
)
よりは十
年
(
ねん
)
も
若
(
わか
)
く
見
(
み
)
える、五
尺
(
しゃく
)
に
満
(
み
)
たない
小作
(
こづく
)
りの
春信
(
はるのぶ
)
であった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
空にはうつくしい
金剛雲
(
こんごうぐも
)
、
朱雀
(
すざく
)
のはらには、
観世水
(
かんぜみず
)
の
小流
(
ささなが
)
れが、ゆるい
波紋
(
はもん
)
をながしている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「首懸の松は
鴻
(
こう
)
の
台
(
だい
)
でしょう」寒月が
波紋
(
はもん
)
をひろげる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼もとに
深淵
(
しんえん
)
の
波紋
(
はもん
)
のような
笑
(
え
)
みをちらとうごかしながら、半兵衛重治も
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“波紋”の意味
《名詞》
波紋(はもん)
水面にものを投げ入れたときに発生する同心円状にひろがる波。
影響。
(出典:Wiktionary)
波
常用漢字
小3
部首:⽔
8画
紋
常用漢字
中学
部首:⽷
10画
“波”で始まる語句
波
波濤
波斯
波瀾
波止場
波間
波打際
波蘭
波頭
波立