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水垢離
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みずごり
ふりがな文庫
“
水垢離
(
みずごり
)” の例文
「じゃあ、この野郎を、
彼方
(
むこう
)
へしょッ引いて行こう。こいつに
水垢離
(
みずごり
)
とらせて、踏まれた
曲尺
(
まがりがね
)
に手をつかせて謝らせなくっちゃならねえ」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
預かり鳥のできふできによって、いただく禄にも響き、家の系図にもかかわるんですから、
水垢離
(
みずごり
)
とってはだし参りをするほどの騒ぎです。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
階下の台所に近い井戸のそばで
水垢離
(
みずごり
)
を取り身を
浄
(
きよ
)
めることは、上京以来ずっと欠かさずに続けている彼が日課の一つである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
……
参詣
(
さんけい
)
の散った
夜更
(
よふけ
)
には、人目を避けて、
素膚
(
すはだ
)
に
水垢離
(
みずごり
)
を取るのが時々あるから、と思うとあるいはそれかも知れぬ。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
強
(
た
)
ってあなた様があれへお越しになりたいと
思召
(
おぼしめ
)
すなら、これから少し参りますると、
御禊
(
みそぎ
)
の滝というのがございます、その滝壺で
水垢離
(
みずごり
)
をおとりになって
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
そう云う邪念が
萌
(
きざ
)
した時には、
偏
(
ひと
)
えに御佛の御慈悲にお縋り申すより仕方がない。此れから二十一日の間、毎日怠らず
水垢離
(
みずごり
)
を取って、法華堂に参籠するがよい。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「このたびは名誉ある……これが戦国の世ならば……神仏に祈願……
水垢離
(
みずごり
)
……せめてはおたたみ奉行……これはほんのおしるしで。ところで、あれが有名なるこけ猿で?」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼女は
神道
(
しんどう
)
大成教
(
たいせいきょう
)
の熱心な信者で、あまり大きくもない屋敷の隅には小さな
祠
(
ほこら
)
が祭ってあって、今でも
水垢離
(
みずごり
)
とって、
天下泰平
(
てんかたいへい
)
、
国土安穏
(
こくどあんのん
)
、
五穀成就
(
ごこくじょうじゅ
)
、
息災延命
(
そくさいえんめい
)
を朝々祈るのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
古沼の方に
燈火
(
ともしび
)
が見えた。病人達が古沼の水で、
水垢離
(
みずごり
)
を取っているのであろう。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
文治は國藏夫婦の
水垢離
(
みずごり
)
を
諫
(
いさ
)
めて居りますると、妻のお町が泣声にて
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
水垢離
(
みずごり
)
を取ってお参りをする者もあるということである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
水垢離
(
みずごり
)
を使わせてやる、驚くな」
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこに、この
真夜中
(
まよなか
)
、水音がしていた。裸体になって
水垢離
(
みずごり
)
をとっている者がある。白い肌がやがて寒烈な泉に身を
浄
(
きよ
)
めて上がってきた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水垢離
(
みずごり
)
と、極度の節食と、時には滝にまで打たれに行った
山籠
(
やまごも
)
りの新しい経験をもって、もう一度彼は馬籠の駅長としての勤めに当たろうとした。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
護摩壇
(
ごまだん
)
へ
懺悔
(
ざんげ
)
に行くものは、きっとここの滝へ来て、まず
水垢離
(
みずごり
)
をとるのが習わしでありました。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
中空
(
なかぞら
)
は
冴切
(
さえき
)
って、星が
水垢離
(
みずごり
)
取りそうな
月明
(
つきあかり
)
に、踏切の桟橋を渡る影高く、
灯
(
ともしび
)
ちらちらと目の下に、
遠近
(
おちこち
)
の
樹立
(
こだち
)
の骨ばかりなのを
視
(
なが
)
めながら、桑名の
停車場
(
ステエション
)
へ下りた旅客がある。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
将軍家平素の
御鴻恩
(
ごこうおん
)
に報ゆるはこの
秋
(
とき
)
、なんとかして日光御下命の栄典に浴したいものじゃと、日夜神仏に祈願、ほんとでござる、
水垢離
(
みずごり
)
までとってねがっておりましたにかかわらず
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「もう遅いわ。穢れ者を上げた所は、すぐ
浄
(
きよ
)
めろ。そして、童の体も、さそくに浄め払いして、
水垢離
(
みずごり
)
をとらせい」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水垢離
(
みずごり
)
を執り、からだを
浄
(
きよ
)
め終わって、また母屋へ引き返そうとするころに、あちこちに起こる鶏の声を聞いた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
社務所と別な
住居
(
すまい
)
から、よちよち、
臀
(
いしき
)
を横に振って、
肥
(
ふと
)
った色白な
大円髷
(
おおまるまげ
)
が、夢中で
駈
(
か
)
けて来て、一子の
水垢離
(
みずごり
)
を留めようとして、身を
楯
(
たて
)
に
逸
(
はや
)
るのを、
仰向
(
あおむ
)
けに、ドンと
蹴倒
(
けたお
)
いて
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人間業
(
にんげんわざ
)
でこの火を防ぐはあの護摩壇の
法力
(
ほうりき
)
あるばかりだと、そこへ気がついた各村の総代は、打揃って裸になって
水垢離
(
みずごり
)
をとって、かの護摩壇の修験者へ行って鎮火の御祈祷を頼むと、修験者は
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
水垢離
(
みずごり
)
までおとりなされて——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
伊那丸以下
(
いなまるいか
)
のひとびとは、あのそうどうのあった
晩
(
ばん
)
から、
御岳
(
みたけ
)
の一
舎
(
しゃ
)
に
謹慎
(
きんしん
)
して、
神前
(
しんぜん
)
をけがした
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しゃ
)
すために、かわるがわる
垢離堂
(
こりどう
)
の前で
水垢離
(
みずごり
)
をとった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上京以来早朝の
水垢離
(
みずごり
)
を執ることを怠らなかった彼も、その朝ばかりはぐっすり寝てしまって、宿の亭主が
茅場町
(
かやばちょう
)
の店へ勤めに通う時の来たことも知らなかった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かえってその不祥の
兆
(
きざし
)
に神経を悩まして、もの狂わしく、井戸端で火難消滅の
水垢離
(
みずごり
)
を取って、
裸体
(
はだか
)
のまま表通まで駆け出すこともあった、天理教信心の
婆々
(
ばば
)
の内の
麁匆火
(
そそうび
)
であった事と。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼の意気たるや
旺
(
さかん
)
であった。その朝は、星の下に、
水垢離
(
みずごり
)
をとり、
白木綿
(
しろもめん
)
の
浄衣
(
じょうえ
)
を着て、
黄布
(
きぎぬ
)
のつつみを背中へ
斜
(
はす
)
にかけて結んだ。内に
宸筆
(
しんぴつ
)
の勅願をおさめたのだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例のように半蔵が薄暗い空気の中で
水垢離
(
みずごり
)
を執り、からだを
浄
(
きよ
)
め終わるころは、まだ多吉方の下女も起き出さないで、井戸ばたに近い勝手口の戸障子も
閉
(
し
)
まっていた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
山の
端
(
は
)
に月のあるのを幸いに、
水垢離
(
みずごり
)
を執って来て、からだを
浄
(
きよ
)
め終わると、
温
(
あたた
)
かくすがすがしい。着物も白、
袴
(
はかま
)
も白の
行衣
(
ぎょうい
)
に着かえただけでも、なんとなく彼は厳粛な心を起こした。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
誰からかお聞きになり、夜毎、
水垢離
(
みずごり
)
などして、神信心されておられたそうな。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふたりは、
水垢離
(
みずごり
)
をとって、
易
(
えき
)
をたてた。そして頼朝の前へ出て告げた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あいにく、この春以来、末の息女が、風邪とも、
麻疹
(
はしか
)
ともつかぬ御病気。その
看護
(
みとり
)
に、お疲れの上に、良人の大難と聞かれて、先頃から夜ごと、
水垢離
(
みずごり
)
とって、神信心など、なされたものらしい。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「へい。ようく心得ておりまする。こんな御用は
船師
(
ふなし
)
一代のうちにもないことだと思いまして、今朝はもう暗いうちから起きて、
水垢離
(
みずごり
)
をかぶり、新しい
晒布
(
さらし
)
で下っ腹を巻いて待っておりますんで」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“水垢離(
垢離
)”の解説
垢離(こり)とは、神仏に祈願する時に、冷水を浴びる行為のこと。水垢離(みずごり)、水行(すいぎょう)とも言う。
垢離は漢語には見当たらず、純粋な和語と考えられている。
(出典:Wikipedia)
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
垢
漢検準1級
部首:⼟
9画
離
常用漢字
中学
部首:⾫
19画
“水垢”で始まる語句
水垢