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毛蟲
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けむし
しばらくすると、
此の
毛蟲が、
盡く
眞白な
蝶になつて、
枝にも、
葉にも、
再び
花片を
散らして
舞つて
亂るゝ。
幾千とも
數を
知らない。
いろ/\な
可愛らしい
蝶々も
澤山ある
中で、あの
大きな
黒い
蝶々ばかりは
氣味の
惡いものです。あれは
毛蟲の
蝶々だと
言ひます。
「
蛇嫌えだと、さうだ
大え
姿してあばさけたこといふなえ、
俺らなんざ
蛇でも
毛蟲でも
可怖えなんちやねえだから、かうえゝか、
斯うだぞ」といひながら
爺さんは
後向に
立つて
其の
聽衆は
愛ちやんが
毛蟲に、『
裏の
老爺さん』を
復誦して
聞かす
段になる
迄は、
全く
靜かにしてゐましたが、
全然間違つたことばかり
言ふので、
海龜は
呆れ
返つて、『
可笑しなこと』
よくも、あの
水を
飮んだと
思ふ。
一釣瓶ごとに
榎の
實のこぼれたやうな
赤い
毛蟲を
充滿に
汲上げた。
其處には
毛蟲や
其の
他の
淺猿しい
損害が
或は
有るにしても、しと/\と
屡梢を
打つ
雨が
空の
蒼さを
移したかと
思ふやうに
力強い
深い
緑が
地上を
掩うて
爽かな
冷しい
陰を
作るのである。
ひとへに
白い。
乳くびの
桃色をさへ、
蔽ひかくした
美女にくらべられたものらしい。……
此の
白い
花の、
散つて
葉に
成る
頃の、その
毛蟲の
夥多しさと
言つては、それは
又ない。