毛蟲けむし)” の例文
新字:毛虫
しばらくすると、毛蟲けむしが、こと/″\眞白まつしろてふになつて、えだにも、にも、ふたゝ花片はなびららしてつてみだるゝ。幾千いくせんともかずらない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いろ/\な可愛かあいらしい蝶々てふ/\澤山たくさんあるなかで、あのおほきなくろ蝶々てふ/\ばかりは氣味きみわるいものです。あれは毛蟲けむし蝶々てふ/\だとひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
へびきれえだと、さうだえけ姿なりしてあばさけたこといふなえ、らなんざへびでも毛蟲けむしでも可怖おつかねえなんちやねえだから、かうえゝか、うだぞ」といひながらぢいさんは後向うしろむきつて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
聽衆てうしゆうあいちやんが毛蟲けむしに、『うら老爺ぢいさん』を復誦ふくせうしてかすだんになるまでは、まつたしづかにしてゐましたが、全然まるで間違まちがつたことばかりふので、海龜うみがめあきかへつて、『可笑をかしなこと』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
よくも、あのみづんだとおもふ。一釣瓶ひとつるべごとにえのきのこぼれたやうなあか毛蟲けむし充滿いつぱい汲上くみあげた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこには毛蟲けむし淺猿あさましい損害そんがいあるひるにしても、しと/\としば/\こずゑあめそらあをさをうつしたかとおもふやうに力強ちからづよふかいみどり地上ちじやうおほうてさわやかなすゞしいかげつくるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひとへにしろい。ちゝくびの桃色もゝいろをさへ、おほひかくした美女びぢよにくらべられたものらしい。……しろはなの、つてころの、その毛蟲けむし夥多おびたゞしさとつては、それはまたない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)