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本來
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ほんらい
「まあ
何から
入つても
同じであるが」と
老師は
宗助に
向つて
云つた。「
父母未生以前本來の
面目は
何だか、それを
一つ
考へて
見たら
善かろう」
本來なら
其の
席で、
工學士が
話した
或種の
講述を、こゝに
筆記でもした
方が、
讀まるゝ
方々の
利益なのであらうけれども、それは
殊更に
御海容を
願ふとして
置く。
私たちは、
蝙蝠傘を、
階段に
預けて、——
如何に
梅雨時とはいへ……
本來は
小舟でぬれても、
雨のなゝめな
繪に
成るべき
土地柄に
對して、かう
番ごと、
繻子張を
持出したのでは
成らうことなら、
自分丈は
陰氣な
暗い
師走の
中に
一人殘つてゐたい
思さへ
起つた。
漸く
自分の
番が
來て、
彼は
冷たい
鏡のうちに、
自分の
影を
見出した
時、
不圖此影は
本來何者だらうと
眺めた。
本來なら、
別行に
認めて、
大に
俳面を
保つべきだが、
惡口の
意地の
惡いのがぢき
近所に
居るから、
謙遜して、
二十字づめの
中へ、
十七字を
割込ませる。
曰く、
千兩の
大禮服や
土用干。