本來ほんらい)” の例文
新字:本来
しかし本來ほんらい耐震性たいしんせい木造建築もくざうけんちくに、特別とくべつ周到しうたう精巧せいかうなる工作こうさくほどこしたのであるから、自然しぜん耐震的能率たいしんてきのうりつすのは當然たうぜんである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「まあなにからはひつてもおなじであるが」と老師らうし宗助そうすけむかつてつた。「父母ふぼ未生みしやう以前いぜん本來ほんらい面目めんもくなんだか、それをひとかんがへてたらかろう」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
本來ほんらいならせきで、工學士こうがくしはなした或種あるしゆ講述かうじゆつを、こゝに筆記ひつきでもしたはうが、まるゝ方々かた/″\利益りえきなのであらうけれども、それは殊更ことさら御海容ごかいようねがふとしてく。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしたちは、蝙蝠傘かうもりがさを、階段かいだんあづけて、——如何いか梅雨時つゆどぎとはいへ……本來ほんらい小舟こぶねでぬれても、あめのなゝめなるべき土地柄とちがらたいして、かうばんごと、繻子張しゆすばり持出もちだしたのでは
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
らうことなら、自分じぶんだけ陰氣いんきくら師走しはすうち一人ひとりのこつてゐたいおもひさへおこつた。やうや自分じぶんばんて、かれつめたいかゞみのうちに、自分じぶんかげ見出みいだしたとき不圖ふと此影このかげ本來ほんらい何者なにものだらうとながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
本來ほんらいなら、別行べつぎやうしたゝめて、おほい俳面はいめんたもつべきだが、惡口わるくち意地いぢわるいのがぢき近所きんじよるから、謙遜けんそんして、二十字にじふじづめのなかへ、十七字じふしちじ割込わりこませる。いはく、千兩せんりやう大禮服たいれいふく土用干どようぼし
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)