)” の例文
聖教量しやうげうりやう、「スペクラチオン」)逍遙子はあに釋迦しやかと共に法華ほつけ涅槃ねはんの經を説いて、に非ず、空に非ず、亦有、亦空といはむとするか。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
(存在)に対する(非存在)というような、そんな、単純な空という意味ではない、ということをお話ししておきました。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
にあらず。無にあらず、動にあらず、じょうにあらず、しゃくにあらず、びゃくにあらず……」その句も忍藻の身に似ている。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
陽城公がみことのりに答えていうのは……臣、六典ノ書ヲあんズルニ、任土ハヲ貢シテヲ貢セズ、道州ノ水土生ズル所ノ者
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「わしなら掘り出してみせる所じゃがのう。だが鉄砲ではないぞ。からをだ。くうなる夢土むどから世の中の実相をだ」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかになづんで云へば、多病な身体からだが又一年き延びるにつれて、自分のすべき事はそれだけ量において増すのみならず、質においても幾分いくぶんか改良されないとも限らない。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
悲、悲、悲の涙を呑んで、十二因縁の流轉のたまきを切り、幻、幻、幻のちまたに徘徊して、二十五生死しやうじのきづなをくりはて給ひしといふは、誰のことでござりまするか。ハイ。
山家ものがたり (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
故意こいならず犯罪はんざいすことがいともはれぬ、ひと讒言ざんげん裁判さいばん間違まちがひなどはべからざることだとははれぬ、そもそ裁判さいばん間違まちがひは、今日こんにち裁判さいばん状態じやうたいにては、もつとべきことなので
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……おろそかなるべき事にはあらねど、かすかなる住居すまいはかり給え。……さてもこの三とせまで、いかに御心みこころ強く、ともとも承わらざるらん。……とくとく御上おんのぼり候え。恋しとも恋し。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
みなにくいがもととはへ、可愛かはゆいにもふかい/\えんがある……すればりゃにくみながらの可愛かはゆさ! 可愛かはゆいながらのにくさといふもの! からぢゃ! かなしいたはぶれ、しづんだ浮氣うはき目易めやすみにく
生死しょうじの果報は、これにして無ならず。ゆえに名づけて有となす。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
一筆の落墨らくぼくは、たちまち、無中にを生じる。雨を呼ぶことも、風を起すことも自在である。そしてそこに、筆をった者の心が永遠に画としてのこる。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはを内容とする空ですから、私ども人間の生活は、空に徹することによってのみ、有の存在、つまりその日の生活は、りっぱに活かされるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
知って、災と思わぬならば物凄ものすごい。黒い所が本来の住居すまいで、しばらくの幻影まぼろしを、もとのままなる冥漠めいばくうちに収めればこそ、かように間靚かんせいの態度で、あいだ逍遥しょうようしているのだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仏教では、存在しているものを「」といっていますが、すべて「仮有けう」です。「暫有ざんう」です。とにかく、永遠なる存在、つねにある「常有の存在」ではありません。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)