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暢氣
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のんき
ふりがな文庫
“
暢氣
(
のんき
)” の例文
新字:
暢気
「馬鹿ツ、そんな
暢氣
(
のんき
)
な話ぢやねえ。いつぞやお茶の宗匠の饅頭でしくじつた事を知つてるだらう。外を見張れ、家の中には用事がねえ」
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唯三人でやつて居た頃は隨分
暢氣
(
のんき
)
なものであつたが、遠からず紙面やら販路やらを擴張すると云ふので、社屋の新築と共に竹山主任が來た。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「あなた
方
(
がた
)
は
赤
(
あか
)
ちやんがもうぢき
生
(
うま
)
れるといふのに、
子守歌
(
こもりうた
)
を
習
(
なら
)
ひもしないで、そんな
暢氣
(
のんき
)
なことを
言
(
い
)
つていらつしやる。」
お母さん達
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
今度は獨りだけに荷物とてもなく、極めて
暢氣
(
のんき
)
に登つて行くとやがて峠に出た。何といふことはなく其處に立つて振返つた時、また私は優れた富士の景色を見た。
樹木とその葉:06 四辺の山より富士を仰ぐ記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
全くうつちやらかし、遣りつ放しなのも、自分の家にゐるやうな氣がして、
暢氣
(
のんき
)
で面白い。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
▼ もっと見る
あの三多摩壯士あがりの
逞
(
たくま
)
しく頬骨の張つた、剛慾な酒新聞社の主人に牛馬同樣こき使はれてゐたのに引きかへて、今度はずゐぶん閑散な勿體ないほど
暢氣
(
のんき
)
な勤めだつたから。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
唯
(
たゞ
)
、
狡猾
(
ずる
)
い
猿
(
さる
)
だけは、こうして
毎日
(
まいにち
)
何
(
なん
)
の
仕事
(
しごと
)
もなく、ごろごろと
惰
(
なま
)
けてゐても、それでお
腹
(
なか
)
も
空
(
す
)
かさないでゆかれるので、
暢氣
(
のんき
)
な
顏
(
かほ
)
をして、
人間
(
にんげん
)
の子どもらの
玩弄品
(
おもちや
)
になつて
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
家
(
いへ
)
に
在
(
あ
)
つては
孫
(
まご
)
の
守
(
もり
)
をしたりしてどうしても
獨
(
ひとり
)
離
(
はな
)
れた
樣
(
やう
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
る
各自
(
てんで
)
が
暢氣
(
のんき
)
にさうして
放埓
(
はうらつ
)
なことを
云
(
い
)
ひ
合
(
あ
)
うて
騷
(
さわ
)
ぐので
念佛寮
(
ねんぶつれう
)
は
只
(
たゞ
)
愉快
(
ゆくわい
)
な
場所
(
ばしよ
)
であつた。
彼岸
(
ひがん
)
へ
掛
(
か
)
けては
殊
(
こと
)
に
毎日
(
まいにち
)
愉快
(
ゆくわい
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ちゆうひやら/\と
角兵衞獅子
(
かくべゑじし
)
、
暢氣
(
のんき
)
に
懷手
(
ふところで
)
で
町内
(
ちやうない
)
を
囃
(
はや
)
して
通
(
とほ
)
る。
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
三等寢臺といふのは至極
暢氣
(
のんき
)
だつた。
京洛日記
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
「外に隱れる場所はねえ。急場の思ひ付きだ。多分一度隱れたその
塀
(
へい
)
の間から、
暢氣
(
のんき
)
さうに懷手をしてノソリと出て來たらう」
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌日は日曜日、田舍の新聞は
暢氣
(
のんき
)
なもので、官衙や學校と同じに休む。私は
平日
(
いつも
)
の如く九時頃に眼を覺した。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
此
(
こ
)
の
暢氣
(
のんき
)
なる
答
(
こたへ
)
を
聞
(
き
)
きて、
渠
(
かれ
)
は
呆
(
あき
)
れながら
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その騷ぎも知らぬ顏に、平次は
鶯
(
うぐひす
)
の籠を見たり、
摺
(
す
)
り
餌
(
ゑ
)
の鉢を鑑定したり、最後に嫁のお弓をつかまへて、
暢氣
(
のんき
)
らしい話をして居りました。
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『何とはア、此處ア瀬が迅えだで、子供等にや
危
(
あぶ
)
ねえもんせえ。去年もはア……』と、
暢氣
(
のんき
)
に喋り立てる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「盜人は容易ならぬ人間だ。それを
強請
(
ゆす
)
るにしちやお角の樣子は
暢氣
(
のんき
)
過ぎた。俺は盜人の隱した金を探し當てたんだと思ふよ」
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今度はまた信吾の勸めで一夏を友の家に過す積りの、定つた職業とてもない、
暢氣
(
のんき
)
な身上なのだ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
元手
(
もとで
)
かまはずの鈴も相當賣れますから、何だつたら、此儘足を洗つて、鈴賣りになるのも惡くない——といつたやうな
暢氣
(
のんき
)
な氣持になつて居りました。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
壁一重の軒下を流れる
小堰
(
こぜき
)
の
水
(
みづ
)
に、蝦を掬ふ子供等の叫び、さては寺道を山や田に往き返りの男女の
暢氣
(
のんき
)
の
濁聲
(
にごりごゑ
)
が手にとる樣に聞える——智惠子は其聞苦しい訛にも耳慣れた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そんな
暢氣
(
のんき
)
なことを言ふのでした。どんな巧妙な
詭計
(
トリツク
)
も時の力の前には崩壞することを平次は知つてゐたのです。
銭形平次捕物控:129 お吉お雪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『別段惡くも見えないがね。——實はね、僕は昨日初めて見舞に行つたが、本人は案外
暢氣
(
のんき
)
な事を言つてるけれども、何となく斯う僕は變な氣がしたんだ。それから歸りに醫者へ行つて聞いたさ。』
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
平次も少し
呆
(
あき
)
れましたが、今に始めぬガラツ八の
暢氣
(
のんき
)
さが、腹を立てるにしても、少し馬鹿馬鹿しかつたのです。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彫刻
(
てうこく
)
は怪奇を極めて、
唐草模樣
(
からくさもやう
)
と鬼のやうな
縮
(
ちゞれ
)
つ
毛
(
け
)
の人間の首と、それから得體の知れない
髯文字
(
ひげもじ
)
がベタ一面に
彫
(
ほ
)
つてあつたのを、
暢氣
(
のんき
)
なガラツ八は、自分の煙草入れに附けて
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何んと言ふ
暢氣
(
のんき
)
な顏、吉五郎の口邊にはこの名御用聞を
嘲
(
あざけ
)
るやうな微笑さへ浮びます。
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一夜のうちに
寛永通寶
(
くわんえいつうはう
)
が、ピカ/\する一分金になる——そんなことは、今の人では信じ兼ねるでせうが、その頃の人は、極めて
素朴
(
そぼく
)
に、
暢氣
(
のんき
)
に、この奇蹟を受け容れて了ひました。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それは預らないものでもないが、少しわけを話して貰はうか。中に何が入つてるか見當も付かず、後でどんなことになるかもわからないやうなことでは、どんなに
暢氣
(
のんき
)
な私でも心細い」
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この頼みが持込まれたとき、さすが
暢氣
(
のんき
)
者のガラツ八も、再三辭退しました。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あんまり
暢氣
(
のんき
)
に考へちやいけないよ。思ひの外むつかしい仕事だから」
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
灯
(
あかり
)
の中に突つ立つて、こんな
暢氣
(
のんき
)
なことを言つて居るのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さうか——それで親方は
暢氣
(
のんき
)
にして居るんだらう」
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そんな
暢氣
(
のんき
)
なことを言つて、親分」
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
暢氣
(
のんき
)
さうに顏を出したのです。
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へエー、役目といふわけでもありませんが、木戸の側に居るのは私とお向うの與八さん夫婦ですが、與八さんは
暢氣
(
のんき
)
者ですから、ツイ私が締めることになります。それにうつかり締め忘れたりすると、お六さんがやかましかつたんです」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
暢
漢検準1級
部首:⽇
14画
氣
部首:⽓
10画
“暢”で始まる語句
暢気
暢
暢々
暢達
暢気者
暢然
暢気坊
暢気相
暢気千万
暢意