星明ほしあか)” の例文
そいつがこの星明ほしあかりに浮かれ出して、フワフワと泳ぎ出したように、風に吹かれて深夜の街を散歩しているのだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
んでいるとはいえ、月もどこかに、星明ほしあかりでは、ただ模糊もことしたものよりほかに下界げかい識別しきべつがつかない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へいへい、合点がってんでげす。つきはなくとも星明ほしあかり、足許あしもとくるいはござんせんから御安心ごあんしんを」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「一十五分前ふんまへだ‥‥」と、わたし覺束おぼつかない星明ほしあかりに腕時計うでどけいをすかしてながらこたへた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
見廻すにやみの夜なれども星明ほしあかりにすかせば白き骨の多くありて何れが父のほねともれず暫時しばし躊躇ためらひたりしが骨肉こつにくの者の骨にはしみると聞し事あれば我がしぼり掛て見んとゆびかみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
星明ほしあかり白く乱れて
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ましてや他人たにんそこふかき計略けいりやくふちるべきならねばおとしいれられてのち一悔恨ひとくわいこんむなしくなみだくてりかゝる憂苦いうくつながるゝ情緒じやうちよ思慮しりよ分別ぶんべつ烏羽玉ぬばたまやみくらきなかにも星明ほしあかりに見合みあはせて莞爾につことばかり名殘なごり笑顏ゑがほうらさびしくいざとうながせばいざとこたへて流石さすがにたゆたは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かぞへつゝたくみも深き御堀端ほりばた此處ここぞと猶豫ためらふ一番町たやすく人は殺せぬ物と田安たやす御門も何時いつか過ぎ心もくらうしふちを右にのぞみて星明ほしあかり九段坂をも下り來て飯田町なる堀留ほりどめより過るも早き小川町をがはまち水道橋すゐだうばし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しづめておのれ今頃登山とざんなすからは強盜がうたうか但し又我が如き心願にて夜參りする者なるか何にもせよいぶかしと星明ほしあかりにすかし見れば旅人とおぼしく菅笠すげがさ眞白まつしろに光りたりこゝに又彼の石川安五郎は上新田村の無量庵むりやうあん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)