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投掛
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なげか
此の
樹の
蔭から、すらりと
向うへ、
隈なき
白銀の
夜に、
雪のやうな
橋が、
瑠璃色の
流の
上を、
恰も
月を
投掛けた
長き
玉章の
風情に
架る。
暑い
日が
草いきれで
汗びつしりに
成つて
居る
彼等の
身體に
時刻が
過ぎたと
枝の
間から
強い
光を
投掛けて
促す
迄は
彼は
嗄れた
聲を
絞つて、
戸に
身を
投掛け。
別に、肩には
更紗を
投掛け、腰に長剣を
捲いた、目の鋭い、
裸の
筋骨の
引緊つた、威風の
凜々とした男は、島の王様のやうなものなの……
彼は
嗄れた
声を
絞って、
戸に
身を
投掛け。
別に、
肩には
更紗を
投掛け、
腰に
長劍を
捲いた、
目の
鋭い、
裸の
筋骨の
引緊つた、
威風の
凛々とした
男は、
島の
王樣のやうなものなの……
で、
一搖り
肩を
搖つて、
無雜作に、
左右へ
遣違へに、ざくりと
投掛ける、と
腰でだぶりと
動く。
と
呟くのを
機會に、
跨いだ
敷居の
腰を
外すと、
窓に
肱を、
横ざまに、
胸を
投掛けて
居直つた。
これは
可恐しい
絲を
手繰つて、
天へ
投掛け、
地に
敷き
展べ、
宙に
綾取る。