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悄
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しょ
ふりがな文庫
“
悄
(
しょ
)” の例文
誇るに西洋料理七皿をもってする、
式
(
かた
)
のごとき若様であるから、
冷評
(
ひやか
)
せば真に受ける、
打棄
(
うっちゃ
)
って置けば
悄
(
しょ
)
げる、はぐらかしても乗出す。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「君、君、今日は井口君が
悄
(
しょ
)
げている。
彼処
(
あすこ
)
も
最早
(
もう
)
ソロ/\小競合の始まる時分だ。何しろ中川夫人が軍師についているからね」
髪の毛
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そしてそのお客さんのお蔭で、とたんにクルミさんはすっかり
悄
(
しょ
)
げかえって座席の片隅へ、小さくなってしまったのであった。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
とあったので、殿上は、
鳴
(
なり
)
もやまず、笑いこけた。陛下のおん前ではあるし、さしもの三つ女錐の中将も、
悄
(
しょ
)
げかえったということである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
俺
(
お
)
らあ、
嚊
(
かゝあ
)
がまた子供を産んで寝よるし、暇を出されちゃ、困るんじゃがのう。」彼は
悄
(
しょ
)
げて哀願的になった。
砂糖泥棒
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
▼ もっと見る
その中に
惘
(
あき
)
れた物言いにたいする茫然の気味までたたえて見せ、次には薄ら笑いが
悄
(
しょ
)
んぼりとのぼった。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
横田さんが、云ってしまってから、はっと気付いたように口を噤んだので、僕は猶更
悄
(
しょ
)
げてしまった。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「どうしたい、いやに
悄
(
しょ
)
んぼりして……。まさか、猫の死骸に念仏をいいにきたんじゃないだろうが」
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と、いうような
呪
(
のろい
)
、愚痴。初めて、家を明けるのであるから、親爺の小言が恐ろしいが、そんな事は、丸で考えないで、
悄
(
しょ
)
げ、怒り、恨み、寒がって、夜を明かした。
死までを語る
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
本当の参事官の一行が一週間後にやって来た時、
悄
(
しょ
)
げきって多くの工人達が「疑惑に充ちた冷眼」で、見迎えたというあのあたりは、素晴らしく精彩を発揮して居ります。
二つの作品
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
きっぱり言われて、女房は
悄
(
しょ
)
げきって自分の寝床へひっ込んだ。誰やらクツクツ笑っていた。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
悄
(
しょ
)
げた様子をして言ひきると、総江は急に、張りつめた気が抜けたやうにアハハアハハと笑ひ出したが、流石にすぐと少してれて肩を落し、今度はシャンとして変にシンミリと
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ありますとも、大有りですよ、圭子さんが見えた次の日、僕は貴女の手紙を見て、
悄
(
しょ
)
げてしまいましたよ。これぎりじゃ、僕は貴女を、たいへん不幸にしたことになるんですもの。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
Fの方は昨晩からずいぶん
悄
(
しょ
)
げていたが、行李もできて別れの晩飯にかかったが、いよいよとなると母や妹たちや祖父などに会えるという嬉しさからか、私とは反対に元気になった。
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
あの岡崎藩の美少年が
侍
(
かしず
)
いている名古屋の御大身の奥方が、昨夜の出来事のために、見るも痛ましく
悄
(
しょ
)
げてしまっておいでなさること——それは全く災難として同情をしてあげるほかはないが
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それではあんまり苦しゅうございましょう」
頭
(
かん
)
の
君
(
きみ
)
は、そういう最後の言葉をもほんの常談として受け取るだけの余裕もないほど、
悄
(
しょ
)
げ
返
(
かえ
)
って、そのままずうっと縁の方まですさって往かれた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
と
悄
(
しょ
)
げ返って云われましたが、これを聞いた松原総長が……
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は自分のことのように少し
悄
(
しょ
)
げた顔をしていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
安達君はもし吉川君が威張るようなら及第、
悄
(
しょ
)
げているようなら落第と推定する積りだったが、
何方
(
どっち
)
ともつかなかったから
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
すると、この辺には見馴れない
眉目
(
みめ
)
のよい女房が、磯べを
悄
(
しょ
)
んぼり
彼方
(
かなた
)
から
辿
(
たど
)
ってくる——
摺
(
す
)
れちがって、ふと
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
座席
(
ざせき
)
の片隅へ小さくなったまま、すっかり
悄
(
しょ
)
げかえって、窓越しに、うしろへ飛び去って行く郊外近い街の屋根々々を、ションボリ見詰めつづけるのだった。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「
厭
(
いや
)
だ、私は、」と薄気味の悪そうな、
悄
(
しょ
)
げた様子で、
婦人
(
おんな
)
は人の目に立つばかり
身顫
(
みぶるい
)
をして黙った。榎の下
寂
(
せき
)
として声なし、いずれも顔を見合せたのである。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どんな奴だ、さだめし肩をすぼめて
悄
(
しょ
)
んぼりと出てくるだろうと——多少酔いも手伝った折竹が、そのスーツケースを手にもって、いま現われるかと入口を見守っていたのだ。
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
三四分の後、三人は、
悄
(
しょ
)
げかえっていた奴も、酔っぱらいも、頸が落ちるまで包子を要求してついに与えられなかったデボチンも、同じような姿勢で空骸となって横たわっていた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
……と彼は、ハッとした
態
(
さま
)
で、あぶなく鑵を取落しそうにした。そして
忽
(
たちま
)
ち今までの嬉しげだった顔が、急に
悄
(
しょ
)
げ垂れた、
苦
(
にが
)
いような悲しげな顔になって、絶望的な太息を漏らしたのであった。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
すげなく断わられても、大して
悄
(
しょ
)
げもせずに路次を立ち出でました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ニコルさんはこの間の日曜に或教会へ行って説教中、あれをジェスチュアーに応用して笑われたそうだ。生徒の言うことは信じられないって、
悄
(
しょ
)
げている」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
能八郎が、そっと小者部屋をのぞいて、壁の隅に、
悄
(
しょ
)
ンぼり坐って、歯の痛むような顔をしている日吉を
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
市三は、罪人のようにいつまでも暗いところで小さく
悄
(
しょ
)
げこんでいた。
土鼠と落盤
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
すっかり
悄
(
しょ
)
げていっこうに怠けているのだが、しかしこうした場合のことだから、よもや老師はお見捨てはなさるまい、自分は老師の前に泣きひれ伏しても、何らか奇蹟的な力を与えられたいと
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
と目金に恥じず
悄
(
しょ
)
げたりけり。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夕刻中島さんの家を出る時は
悄
(
しょ
)
げ返っていたけれど、無事に首が
繋
(
つな
)
がると共に、もう好い気になって、お礼さえ
碌々
(
ろくろく
)
言わなかったのである。しかし中島さんは
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
七宝寺の縁がわに、いつも
悄
(
しょ
)
んぼりと
空虚
(
うつろ
)
な眼をしていた頃の彼女は、決して今見るような生々した頬や眸をしていなかった。さびしい
孤児
(
みなしご
)
の姿そのものだった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつもの半分くらいしか食わなくなって
悄
(
しょ
)
げこんだ。
外米と農民
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
私はすっかりてれて、
悄
(
しょ
)
げてしまった。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
振り
顧
(
かえ
)
っても、もう小茶ちゃんの姿が見えないので、城太郎も
悄
(
しょ
)
ンぼりと
従
(
つ
)
いてゆくほかはない。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と雪子夫人も
悄
(
しょ
)
げ返っていた。こうなると幾ら我儘でもいじらしい。母はもう
疾
(
と
)
うにない。これで両親を送ってしまって、子供がないから荷が軽い。その上に財産が残っている。
秀才養子鑑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
遠くの屋に、
笙
(
しょう
)
や金鈴や
鼓
(
つづみ
)
や笛の音が聞える。禅尼は、
悄
(
しょ
)
んぼりと泉殿の住居へ帰って行った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事情を訊いて見ると又至極
道理
(
もっとも
)
で、私もそれじゃ頼まれ序に一つお父さんお母さんに弁解して上げようと、
余
(
あんま
)
り
悄
(
しょ
)
げているので独り帰すこともならず、ノコ/\ついて来たような
次第
(
わけ
)
です
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
宿大臣閣下は、
供奉
(
ぐぶ
)
の随員、宮廷武官、小者など、あわせて六、七十名と共に、ごッそり、少華山の
人質
(
ひとじち
)
となってしまい、意気も
銷沈
(
しょうちん
)
、
粥
(
かゆ
)
も水も、
喉
(
のど
)
に通らぬほどな
悄
(
しょ
)
ゲかただった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あなた、寛一は店が厭になって、こんなに
悄
(
しょ
)
げているんでございますよ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
真相を知って、信雄は
悄
(
しょ
)
げ返った。家康は、馬をならべて、その肩をたたき
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伯母さんと睦さんの話し振りに
悉皆
(
すっかり
)
悄
(
しょ
)
げてしまった。伯父さんの大風呂敷は穴の明いていることまで承知しているが、これほど当てにならないものだとは思わなかった。家の人さえ相手にしていない。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
悄
(
しょ
)
げなさんな、お
天陽
(
てんと
)
さまが出るうちは、心配はねえッてことさ」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「頻りに泣きました。
悉皆
(
すっかり
)
悄
(
しょ
)
げています。あれですよ」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いかにも
悄
(
しょ
)
ンぼりした姿で彼はひょこひょこ帰り途へ歩きだしていた。その背は彼女のひとみの中にかすんでいた。彼女にはうすうすながらこんどの戦にのぞむ正成の心がわかっていないこともない。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「妙に横の方を向いて
悄
(
しょ
)
げているじゃないか?」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
悄
(
しょ
)
げ
込
(
こ
)
んでいる居酒屋のおやじのそばへ寄って来て。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と新太郎君は見かけほどに
悄
(
しょ
)
げていなかった。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と私は
悄
(
しょ
)
げ返って、一部始終を物語った。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
悄
漢検1級
部首:⼼
10画
“悄”を含む語句
悄然
悄々
悄乎
悄気
悄気返
悄気切
悄氣
打悄
悄沈
悄気方
見悄
意気悄沈
大悄
悄悵
悄然返
悄衰
悄悴
悄悄
御悄