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徒
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てあい
ふりがな文庫
“
徒
(
てあい
)” の例文
そうでないと、あれでも
御国
(
みくに
)
のためには、
生命
(
いのち
)
も
惜
(
おし
)
まない
徒
(
てあい
)
だから、どんなことをしようも知れない。よく思案して請取るんだ、
可
(
いい
)
か。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、同宿のほかの
徒
(
てあい
)
のように、
土方
(
どかた
)
だとか車力だとかいうような
力業
(
ちからわざ
)
でなく、骨も折れずにいい金を取って、年の若いのに一番
稼人
(
かせぎにん
)
だと言われている。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
と、こけ勘はいきせい切って追いあがりましたが、遠巻にした見物も、二人の
徒
(
てあい
)
も、いくら待っても鍍金が来なかったというじゃありませんか。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あとで
蚯蚓
(
みみず
)
にならなかったまでも、隣近所、
奴
(
やっこ
)
が
引越蕎麦
(
ひっこしそば
)
を喰った
徒
(
てあい
)
は、
皆
(
みんな
)
腹形
(
はらなり
)
を悪くしたろうではありませんか。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世話人
徒
(
てあい
)
が、妙に気にして、それとなく、一人々々数えてみると、なるほど一人姫が多い。誰も彼も多いと云う。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
框
(
かまち
)
の柱、
天秤棒
(
てんびんぼう
)
を立掛けて、
鍋釜
(
なべかま
)
の
鋳掛
(
いかけ
)
の荷が置いてある——亭主が担ぐか、場合に依ってはこうした
徒
(
てあい
)
の
小宿
(
こやど
)
でもするか、鋳掛屋の居るに不思議はない。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「はッ。」と、いうと、腰を上げざまに
襖
(
ふすま
)
を一枚、直ぐに縁側へ
辷
(
すべ
)
って出ると、
呼吸
(
いき
)
を
凝
(
こら
)
して二人ばかり居た、
恐
(
こわ
)
いもの見たさの
徒
(
てあい
)
、ばたり、ソッと
退
(
の
)
く
気勢
(
けはい
)
。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
背後
(
うしろ
)
に、島田やら、
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しやら、
累
(
かさな
)
って立った
徒
(
てあい
)
は、右の旦那よりか、その騒ぎだから、
皆
(
みんな
)
が見返る、見物の方へ気を兼ねたらしく、顔を見合わせていたっけが。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのころの血気な
徒
(
てあい
)
は、素人も、堅気、令嬢ごときは。……へん、
地者
(
じもの
)
、と
称
(
とな
)
えた。何だ、地ものか。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
ひけ
過
(
すぎ
)
にお
前
(
めえ
)
、威勢よく三人で飛込んで来た、本郷辺の職人
徒
(
てあい
)
さ。今朝になって直すというから
休業
(
やすみ
)
は十七日だに変だと思うと、案の定なんだろうじゃあないか。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さうすりや
些少
(
ちっと
)
あ念ばらしにもなつて、いくらか
彼奴
(
あいつ
)
らが
合点
(
がってん
)
しやう。さうでないと、あれでも
御国
(
みくに
)
のためには、
生命
(
いのち
)
も惜まない
徒
(
てあい
)
だから、どんなことをしやうも知れない。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
徒
(
てあい
)
も清葉が
戻路
(
もどりみち
)
の
方
(
かた
)
を
違
(
たが
)
えて、なぞえに一石橋の方へ廻ったのは知らずにいたろう。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かかり
合
(
あい
)
は
免
(
のが
)
れぬ、と
小力
(
こぢから
)
のある男が、力を貸して、船頭まじりに、この
徒
(
てあい
)
とて
確
(
たしか
)
ではござりませなんだ。ひょろひょろしながら、あとのまず二
樽
(
たる
)
は、
荷
(
にな
)
って小売
店
(
みせ
)
へ届けました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それはお前様、あの
徒
(
てあい
)
と申しますものは、……まあ、海へ出て岸をば
眗
(
みまわ
)
して
御覧
(
ごろう
)
じまし。
巌
(
いわ
)
の窪みはどこもかしこも、
賭博
(
ばくち
)
の
壺
(
つぼ
)
に、
鰒
(
あわび
)
の
蓋
(
ふた
)
。
蟹
(
かに
)
の穴でない処は、皆
意銭
(
あないち
)
のあとでござります。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同じ人間もな……鑄掛屋を一人土間で
飲
(
あお
)
らして、納戸の
炬燵
(
こたつ
)
に潜込んだ、一ぜん飯の
婆々
(
ばば
)
媽々
(
かか
)
などと言う
徒
(
てあい
)
は、お道さんの(今晩は。)にただ、(ふわ、)と言ったきりだ。顔も出さねえ。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
血気事を好む
徒
(
てあい
)
は、応と言うがままにその車を道ばたに
棄
(
す
)
てて、総勢五人の車夫は
揉
(
も
)
みに揉んで駈けたりければ、二、三町ならずして敵に
逐
(
お
)
い着き、しばらくは相並びて互いに一歩を争いぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
煙管
(
きせる
)
の吸口ででも結構に樽へ穴を開ける
徒
(
てあい
)
が、大びらに呑口切って、お前様、お船頭、弁当箱の
空
(
あき
)
はなしか、といびつ
形
(
なり
)
の
切溜
(
きりだめ
)
を、大海でざぶりとゆすいで、その皮づつみに、せせり残しの
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
取巻きの
芸妓
(
げいこ
)
一統、
互
(
たがい
)
にほっとしたらしい。が、私に言わせりゃその
徒
(
てあい
)
だって働きがないじゃないか。何のための取巻なんです。ここは腕があると、取仕切って、御寮人に楽をさせる処さね。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
親が居ないと侮って、ちょいと小遣でもある
徒
(
てあい
)
は、
除物
(
のけもの
)
にして
苛
(
いじ
)
めるのを、
太腹
(
ふとッぱら
)
の勝気でものともせず、愚図々々いうと、まわらぬ舌で、自分が
仰向
(
あおむ
)
いて見るほどの
兄哥
(
あにい
)
に向って、べらぼうめ!
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“徒”の意味
《名詞》
(かち)徒歩。
(かち)江戸時代、騎乗を許されなかった下級の武士。
(ただ)普通。凡庸。ありきたり。
(ただ)何事も無いこと。
(むだ)役に立たない、効果の無い又は不要に贅沢なもの。
(ト)仲間。同類の人。
(ズ)五刑の一つ。懲役刑。一年から三年まで半年毎に五段階設けられた。
(出典:Wiktionary)
徒
常用漢字
小4
部首:⼻
10画
“徒”を含む語句
徒歩
徒然
徒事
基督教徒
聖徒
徒爾
徒輩
徒労
清教徒
悪徒
徒為
徒士
徒渉
博徒
徒弟
徒跣
徒党
兇徒
耶蘇教徒
徒手
...