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後指
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うしろゆび
ふりがな文庫
“
後指
(
うしろゆび
)” の例文
眼引き袖引き
後指
(
うしろゆび
)
さす人々の
冷笑
(
あざわらい
)
を
他所
(
よそ
)
に、家々の門口に立って、小唄を唄うよりほかに生きて行く道がなくなっている有様であった。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は人がよく
後指
(
うしろゆび
)
さして
厭
(
いや
)
がる醜い傴僂や
疥癬掻
(
ひつッかき
)
や、その手の真黒な事から足や身体中はさぞかしと推量されるように
諸有
(
あらゆ
)
る汚い人間
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
持ったよ。よ、貢さん、人に
後指
(
うしろゆび
)
さされちゃあ、お前さんの肩身が狭いだろうと思ったし、その上また点を打たれる身になるとね。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今更
何處
(
どこ
)
に下げて吾等に
對
(
むか
)
ひ得るなど、
後指
(
うしろゆび
)
さして嘲り笑ふものあれども、瀧口少しも意に介せざるが如く、應對等は常の如く振舞ひけり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
待
(
また
)
ず
夫々
(
それ/″\
)
へ奉公すべし
兩刀
(
りやうたう
)
を
帶
(
たい
)
する者は皆々
天子
(
てんし
)
の家來なるぞ必ず忠臣二君に仕へずとの
言葉
(
ことば
)
を用ゆるな
浪人
(
らうにん
)
を致して居て越前の
行末
(
ゆくすゑ
)
かと
後指
(
うしろゆび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
そうして、ベンチへどたりと崩れて、漸く胸を撫で下した。何処かで
後指
(
うしろゆび
)
を差して自分の様子をゲラゲラ
嗤
(
わら
)
って見て居る奴があるかも知れん。………
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
気を張て油断をしなかったから、一生人に
後指
(
うしろゆび
)
を差されるような過失はなかった代り、余り人に愛しもされずに年を取って了って、父の代となった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
天下は太平である。
何人
(
なんびと
)
も
後指
(
うしろゆび
)
を
指
(
さ
)
す事は出来ぬ。出来れば向うが
悪
(
わ
)
るい。天下はあくまでも太平である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これで俺ら、人に
後指
(
うしろゆび
)
さされるようなこと、まあだした覚えはねえんだと。このでれ助親父。
米
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
世間から
後指
(
うしろゆび
)
を指されるのが、今から予想するだに烏啼にはたまらない
厭
(
いや
)
なことだった。
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
のみならず
朋輩
(
ほうばい
)
たちに、
後指
(
うしろゆび
)
をさされはしないかと云う、
懸念
(
けねん
)
も満更ないではなかった。が、それにも増して堪え難かったのは、
念友
(
ねんゆう
)
の求馬を唯一人
甚太夫
(
じんだゆう
)
に託すと云う事であった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私が
彼
(
あれ
)
に言って聞かせて、
父親
(
おとっ
)
さんも女のことでは度々
失敗
(
しくじり
)
が有ったから、それをお前は見習わないように、世間から
後指
(
うしろゆび
)
を差されないようにッて——ネ、
種々
(
いろいろ
)
彼に言うんだけれど……ええええ
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
……なかなかうまい
理窟
(
りくつ
)
を云うじゃないか?……そりゃ、君が逃げ出したって、
後指
(
うしろゆび
)
をさすものは世の中に俺と石ノ上の二人しかいないからな。だけど、俺は断言するぞ。貴様のはそりゃ
弱音
(
よわね
)
だ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
幼馴染
(
おさなゝじみ
)
の
妻
(
つま
)
に
美尾
(
みを
)
といふ
身
(
み
)
がらに
合
(
あは
)
せて
高品
(
かうひん
)
に
美
(
うつ
)
くしき
其
(
その
)
とし十七ばかり
成
(
なり
)
しを
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にも二つなき
物
(
もの
)
と
捧
(
さゝ
)
げ
持
(
も
)
ちて、
役處
(
やくしよ
)
がへりの
竹
(
たけ
)
の
皮
(
かは
)
、
人
(
ひと
)
にはしたゝれるほど
濕
(
しめ
)
つぽき
姿
(
すがた
)
と
後指
(
うしろゆび
)
さゝれながら
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この二箇処へ出入りして道ならぬ
栄耀
(
えいよう
)
をなす女らを人々皆
後指
(
うしろゆび
)
さして、琉球や朝鮮の毒を受けたら最後骨がらみになると言ひはやしき。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
老人の
娑婆塞
(
しゃばふさげ
)
と
後指
(
うしろゆび
)
指されんも憂たてし、髪切払いて仏に仕うる身の
徒歩歩
(
かちあるき
)
こそ
相応
(
ふさわし
)
けれ、つまりは腕車も不用なれど、家名に対してそうもならねば
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
云出しければお光は大いに
驚怖
(
おどろき
)
て是は/\忠兵衞樣
夫
(
をつと
)
道十郎
不慮
(
ふりよ
)
のことにて
死去
(
しきよ
)
致してより八ヶ年の
其間
(
そのあひだ
)
悴
(
せがれ
)
の脊
丈
(
だけ
)
の
伸
(
のび
)
るのを
唯
(
たゞ
)
樂
(
たのし
)
みに此世を送り人に
後指
(
うしろゆび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
察するところ、三十人もの
嬖妾
(
へいしょう
)
が互にアラ
捜
(
さが
)
しをし合っている奥御殿のことであるから、親子は人に
後指
(
うしろゆび
)
をさゝれないように、殊更睦じい様子を見せもしたのであろう。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
背中が重くなる、痛くなる、そうして腰が曲る。
寝覚
(
ねざめ
)
がわるい。社会が
後指
(
うしろゆび
)
を
指
(
さ
)
す。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もしそれ持参金つきの箱入娘貰つたやうに万事遠慮我慢して
連添
(
つれそ
)
ふ位ならば何も世間親類に
後指
(
うしろゆび
)
さされてまでそれ
者
(
しゃ
)
を
家
(
うち
)
に入るるの要あらんや。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
光子さんとしたら、「ステッキ」やとか、「男女」やとかいわれてるもんと噂立つより、同性愛やいわれる方が辛抱出来る、人に
後指
(
うしろゆび
)
さされたり物笑いの種にならんと済む思いなさいましてん。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
指
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世