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こうしゃ
ふりがな文庫
“
巧者
(
こうしゃ
)” の例文
頭のまんなかに重いものをのせて、手ばなしであるいてくるなどということは、ちっとやそっとの
巧者
(
こうしゃ
)
ではまねられるものでない。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
稀に来る都人士には、彼の甲斐々々しい百姓姿を見て、
一廉
(
いっかど
)
其道の
巧者
(
こうしゃ
)
になったと思う者もあろう。村の者は
最早
(
もう
)
彼の
正体
(
しょうたい
)
を看破して居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「そりゃ絵筆も
巧者
(
こうしゃ
)
でしょうが、女にかけてもするどい野郎で、いつの間にか、師匠の娘とあの通り
乳繰合
(
ちちくりあ
)
っているんです」
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私のお染は幸にして評判がよかった。「清ちゃんの
節廻
(
ふしまわ
)
しにはとても
巧者
(
こうしゃ
)
なところがあるわ。」とお糸さんは褒めてくれた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
今考えて見るとナカ/\
巧者
(
こうしゃ
)
だったが、その頃の我輩は徹頭徹尾迷惑した。しかし物は考えようさ。
禍
(
わざわい
)
を転じて
福
(
さいわい
)
にするように心掛けなければいけない。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
電気直後のは一番
巧者
(
こうしゃ
)
だが、面白さは電気以前のだ。愛好家協会で吹込ませたのも、芸の老境が判って面白い。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
花村甚五衛門宗房もまた早陣の
巧者
(
こうしゃ
)
であって、城中の家臣もその風に化せられその道にかけては素早やかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こうすれば男というものは抵抗できなくなると承知している
巧者
(
こうしゃ
)
な身振りで、相手の胸にどっと身を投げかけ、ただもう優しくありたいとねがっているように
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一生涯
(
いっしょうがい
)
の狂人はかえって出来安いが、筆を
執
(
と
)
って紙に向う
間
(
あいだ
)
だけ気違にするのは、いかに
巧者
(
こうしゃ
)
な神様でもよほど骨が折れると見えて、なかなか
拵
(
こしら
)
えて見せない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
男
(
おとこ
)
は、あまり
植木
(
うえき
)
について
巧者
(
こうしゃ
)
でなかったとみえて、すっかり
葉
(
は
)
を
弱
(
よわ
)
らしてしまいました。
葉と幹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人間も利口で、
且
(
かつ
)
は器用な
質
(
たち
)
であるので、針仕事などは年にもまして
巧者
(
こうしゃ
)
であった。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私は元来
囲碁
(
いご
)
を知らぬ、少しも分らないけれども、塾中の書生仲間に囲碁が始まると、ジャ/″\
張
(
ば
)
り
出
(
で
)
て
巧者
(
こうしゃ
)
なことを
云
(
いっ
)
て、ヤア黒のその手は間違いだ、
夫
(
そ
)
れ又やられたではないか
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そうそう
風流
(
ふうりゅう
)
な、
優
(
や
)
さしい
遊
(
あそ
)
びも
少
(
すこ
)
しはありました。それは
主
(
しゅ
)
として
能狂言
(
のうきょうげん
)
、
猿楽
(
さるがく
)
などで、
家来達
(
けらいたち
)
の
中
(
なか
)
にそれぞれその
道
(
みち
)
の
巧者
(
こうしゃ
)
なのが
居
(
お
)
りまして、
私達
(
わたくしたち
)
も
時々
(
ときどき
)
見物
(
けんぶつ
)
したものでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
竹刀
(
しない
)
の稽古と真剣とは全く別物であること。剣術の
巧者
(
こうしゃ
)
は必ずしも真剣の勇者ではないこと。誰もいいそうなことだが、この老人は相応に実験を積んで来たと見えて、耳新しく聞えました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
口
巧者
(
こうしゃ
)
な源十郎、一気にこれだけしゃべって、チラリとおさよの顔を盗み見ると、おさよは今までにも、すっかり食わされているから、この源十郎の深謀を知る由もなく、もうすっかりその母親
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
新内
(
しんない
)
が来る、
義太夫
(
ぎだゆう
)
がくる。琴と三味線を合せてくるのがある。みんな
下手
(
へた
)
ではない、
聴
(
き
)
き
巧者
(
こうしゃ
)
が揃っているからだ。向う新道の縁台でやらせている遠く流れてくる音を、みな神妙に聴入っている。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
乗合
(
のりあい
)
に
話好
(
はなしずき
)
の
爺様
(
じいさん
)
が
居
(
い
)
て、それが言ッたよ。上手な船頭は手先で
漕
(
こ
)
ぐ。
巧者
(
こうしゃ
)
なのは眼で
漕
(
こ
)
ぐ。それが名人となると、
肚
(
はら
)
で
漕
(
こ
)
ぐッ。これは
大
(
おお
)
いにそうだろう。沖で
暴風
(
はやて
)
でも
吃
(
く
)
ッた時には、一寸先は闇だ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
打ちかたの
巧者
(
こうしゃ
)
によっては自分のネンボウは深く刺され、同時に敵のをはね出して倒す。そうするとその棒をこちらへ取ってしまうのである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と尾沢生は
苦笑
(
にがわら
)
いした。堀口生は年長だけにしゃべりだすとナカナカ
巧者
(
こうしゃ
)
で、結局二人を和解させた。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いや、貴さまもだいぶ、
巧者
(
こうしゃ
)
になったな。さすがの大蔵も、漆桶までは気がつかなかった」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口が
巧者
(
こうしゃ
)
に働いたり、手が小器用に働いたりするのは、いくら働いたって真面目じゃない。頭の中を
遺憾
(
いかん
)
なく世の中へ
敲
(
たた
)
きつけて始めて真面目になった気持になる。安心する。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
むろんこういう
巧者
(
こうしゃ
)
なことは
素人
(
しろうと
)
にはできない。職人はまた
腕前
(
うでまえ
)
をしめすべく、棟や
軒
(
のき
)
の
端
(
はし
)
の切りそろえに、
蘆
(
あし
)
とか
篠竹
(
しのだけ
)
とかの切り口を、順序よくならべて見せている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どっちも酒にかけては一かどの
巧者
(
こうしゃ
)
と
強者
(
つわもの
)
、酒戦の勝負はいつ果つべしとも見えなかった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はお延を慰めにかかった。彼女の気に入りそうな文句を多量に使用した。沈着な態度を
外部側
(
そとがわ
)
にもっている彼は、また臨機に自分を相手なりに順応させて行く
巧者
(
こうしゃ
)
も心得ていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「その間に八田君と湯浅君は課長になりました。これは会社の仕事ばかりしていたんですから昇進するのが当り前です。此方は葬式と婚礼の取扱いが
巧者
(
こうしゃ
)
になるばかりで、些っとも能がありません」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「だからたぶん、
飛道具
(
とびどうぐ
)
を持たせたら、きっと
巧者
(
こうしゃ
)
だろうと思うんだが……」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いくら
旋毛曲
(
つむじまが
)
りの井口君でもそれに反対はないさ。しかしあの男は犯罪を専門に研究しているんだから、
頭脳
(
あたま
)
の中に石川五右衛門以来の知識が
醗酵
(
はっこう
)
している。彼奴ぐらい
巧者
(
こうしゃ
)
な泥棒はまず絶無の筈だ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし、真田昌幸は、小さな存在でも、
百錬
(
ひゃくれん
)
の
巧者
(
こうしゃ
)
である。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
巧
常用漢字
中学
部首:⼯
5画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“巧者”で始まる語句
巧者人