じま)” の例文
おそろしい都、悲しい都、早熟な人間の居る南洋の何やらじまの子も五つ六つでうなのであらうかと、私は青ざめて立つて居ました。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
下等船客かとうせんきやくいち支那人シナじんはまだ伊太利イタリー領海りやうかいはなれぬ、ころよりくるしきやまひおかされてつひにカンデイアじまとセリゴじまとのあひだ死亡しぼうしたため
たとえば南洋なんよう蕃地ばんちさんする、華麗かれいなちょうのようなはなをつけたもの、はなじま波浪はろうせるがけのうえに、ぶらさがっているというみじかいもの
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「この辺に子供のような脊の低い、つまり小人じまだね、そういう不具者はいないだろうか。お婆さんは知らないかね」
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
べにがら色のに、まんまんたる風をはらんだ呉服船はいま、能登のと輪島わじまと七つじまあいだをピュウピュウ走っている——
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せっかく島根に漂い着いたが、おそろしげなじまで、草木のアヤもみえない。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
紀州灘きしゅうなだや遠州灘で鳴らした波が、伊勢の海の平和を乱してやろうと、そこから押して来る、それを神崎のくぐじま俎島まないたじま、その他、水底にかくれた無数の隠れ岩がやらじとさえぎるのですから
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
下方したゆるのは矢張やはり印度洋インドやうなみで、ことによつたらマダカツスルじま西方せいほうか、アデンわんおきか、かく歐羅巴エウロツパへん沿岸えんがんには、左程さほどとほところではあるまいとおもはれた。
湾はその内そとに、さざじまの島影をいくつも重ね、夜凪よなぎのゆるい波が浦曲形うらわなりに白かった。そしてさっきからなぎさに待機していた人影もみな黙りこくって、遠くへ面をむけあっていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やまとじまの住民
新宝島 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
すゝすゝんでつひ印度洋インドやう海口かいこうともいふきアデンわんたつし、はるかにソコトラじま煙波えんぱ縹茫へうぼうたるおきのぞむまで、大約たいやく週間しうかん航路かうろ毎日まいにち毎日まいにち天氣てんき晴朗せいらうで、海波かいは平穩おだやか