封筒ふうとう)” の例文
せがれは、たび奉公ほうこうにやられて、女房にょうぼうは、主人しゅじん留守るすうちでいろいろな仕事しごとをしたり、手内職てないしょく封筒ふうとうったりしていたのでした。
お化けとまちがえた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてももいろの封筒ふうとうへ入れて、岩手ぐん西根山にしねやま、山男殿どのと上書きをして、三せんの切手をはって、スポンと郵便函ゆうびんばこみました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
合宿前の日当りの芝生しばふに、みんなは、円く坐って、黒井さんが読みあげる、封筒ふうとう宛名あてなに「ホラ、彼女かのじょからだ」とか一々、騒ぎたてていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
かれはそれを封筒ふうとうに入れて封をした。が、上書うわがきを書こうとして、何かにはっと気がついたように、ペンをにぎったまま、その封筒を見つめた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
かと思うと、一山いくらのところをあれこれと見まわってから、ごそごそとおびあいだから財布さいふがわりの封筒ふうとうをとりだす、みすぼらしいおばあさんもあります。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
と同時に湯帷子ゆかたの胸から、桃色の封筒ふうとうにはいっている、小さい手紙を抜いて見せた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一寸ちよつとその状袋じやうぶくろを」とをつとほうした。宗助そうすけ自分じぶん火鉢ひばちあひだはさまつてゐるあを封筒ふうとうつて細君さいくんわたした。御米およねはそれをふつといて、なかふくらまして手紙てがみをさめた。さうして臺所だいどころつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「まあ、どこにございましたか。」と、きよは、をまるくしたのです。そして、つちよごれた自分じぶん手紙てがみをいただいて、封筒ふうとうけると、なかからしわくちゃになった為替券かわせけんてまいりました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小六ころくにしてゐた佐伯さへきからは、豫期よきとほり二三にちして返事へんじがあつたが、それはきはめて簡單かんたんなもので、端書はがきでもようりるところを、鄭重ていちよう封筒ふうとうれて三せん切手きつてつた、叔母をば自筆じひつぎなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女房にょうぼうは、あかるい、障子窓しょうじまどしたへ、はこいて、それをだいにして、うえ封筒ふうとうっていました。たると、屋根やねゆきけて、ポトリポトリとおとをたて、障子しょうじくろかげをうつしてちるのでした。
お化けとまちがえた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて手紙てがみかへして封筒ふうとうれると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)