よめ)” の例文
男系より見れば敬は茶山の弟汝楩の子万年に嫁したよめである。女系より見れば敬は茶山の妹ちよの井上正信に嫁して生んだ女である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
この土地は人情がよくないから、親のない子ややもめでは暮していけない。阿繊ももう、あなたの家のよめになっておる。ここを
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
房氏銀三十両を結納金に貰うて衛氏に改嫁し、更にその金を結納としてせがれ可立のために呂月娥てふ十八歳のよめを迎えた。
お豊が来たりしより、武男が母は新たに一の懊悩おうのうをば添えぬ。失える玉は大にして、去れるよめは賢なり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
むこは卑しき農夫なりき。よめは貧しき家の子ながら、美しき少女をとめなりき。侯爵の殿は婚禮のむしろにて新婦が踊の相手となり、宵の間にしばし花園に出でよと誘ひ給へり。
しうと微笑ほゝゑみて、とききて跪坐ついゐたるをんなかへりみてふ、おまへをしへておげと。よめ櫛卷くしまきにして端坐たんざして、すなは攻守こうしゆ奪救だつきう防殺ばうさつはふしめす。積薪せきしんならて、あめしたくわんたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
農夫一人よめ一人劇しき時に日雇一人にて田一町をたがやす。種一斛いっこくきて穀四十斛ばかりを穫べし。りて米二十斛も有るべし。御年貢諸掛り五斛ばかりを納めて、残り十五斛ばかりも有るべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
頼む所の者はただよめのみ
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのアラビヤ人は今日も同姓婚を重んじ、従妹は従兄の妻とめているから、よめを求むるに先だち必ずまずその従兄の有無を尋ね許諾を受けにゃならぬ。
少女をとめは若き男の許嫁いひなづけよめなりしならん。顏ばせつやゝかに、目なざし涼しかりき。男をば木にくゝりたり。女は猶處子なりき。われはサヱルリ侯に扮することを得たり。
よめ先手せんてゆ。いはく、ひがしの五からはじめてみなみの九のいしと、しうと言下げんかおうじて、ひがしの五とみなみの十二と、やゝありてよめこゑ西にしの八ツからみなみの十へ、しうといさゝか猶豫ためらはず、西にしの九とみなみの十へ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
既に子、よめもとめて
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をりから一室處ひとまどころよりしうとこゑとして、よめうていはく、かぜしづかつゆしろく、みづあをく、つききよし、一山いつさんまつこゑ蕭々せう/\たり。うだね、一石いつせきかうかねと。よめこゑにて、あゝいわねえ、おつかさんとふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)