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妄念
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もうねん
ふりがな文庫
“
妄念
(
もうねん
)” の例文
なさけない……
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
自分
(
じぶん
)
にもけじめのない、さまざまの
妄念
(
もうねん
)
妄想
(
もうそう
)
が、
暴風雨
(
あらし
)
のように
私
(
わたくし
)
の
衰
(
おとろ
)
えた
躰
(
からだ
)
の
内
(
うち
)
をかけめぐって
居
(
い
)
るのです。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あれさ
妄念
(
もうねん
)
が
可恐
(
おそろ
)
しい、化けて出るからお止しよといえば、だから坊はね、おいらのせいじゃあないぞッて、そう言わあ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伊勢守に対する
欽仰
(
きんぎょう
)
の念が、彼の小我や
妄念
(
もうねん
)
のすべてを解決したのである。——
潔
(
いさぎよ
)
く、彼は伊勢守に入門を
乞
(
こ
)
うた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長崎屋が、広海屋に対して、どんなに
修羅
(
しゅら
)
をもやしているかは、雪之丞がよく知っている——それに負けぬ
妄念
(
もうねん
)
を、広海屋の方でも抱いているのは当然と思われた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
実在の
苦境
(
くぎょう
)
の外に文三が別に
妄念
(
もうねん
)
から一
苦界
(
くがい
)
を産み出して、求めてその
中
(
うち
)
に
沈淪
(
ちんりん
)
して、あせッて
踠
(
もが
)
いて
極大
(
ごくだい
)
苦悩を
甞
(
な
)
めている今日この頃、我慢
勝他
(
しょうた
)
が
性質
(
もちまえ
)
の叔母のお政が
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
るに静御前義経公に別れ給いし
妄念
(
もうねん
)
にや夜な夜な火玉となりて右
乃
(
の
)
井戸より
出
(
いで
)
し事
凡
(
およそ
)
三百年その
頃
(
ころ
)
おい飯貝村に
蓮如上人
(
れんにょしょうにん
)
諸人を
化益
(
けやく
)
ましましければ村人上人を
相頼
(
あいたのみ
)
静乃亡霊を
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
所を
異
(
こと
)
にする夜泣きの刀の
妄念
(
もうねん
)
、焔と化してめらめらとかれの裾から燃えあがると見えた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ある晩なんかは、管弦楽を指揮しながら、公衆の前で裸体になりたい
妄念
(
もうねん
)
とたたかいつづけたこともあった。その考えをしりぞけようとつとめる片側から、その考えにまた襲われた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
妄念
(
もうねん
)
とでも云ったらいいでしょうか、私はそれにとり
憑
(
つ
)
かれてしまったのです
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
生
(
い
)
きている
間
(
あいだ
)
は、
自動車
(
じどうしゃ
)
に、
乗
(
の
)
ったことのない
貧
(
まず
)
しい
男
(
おとこ
)
の
霊魂
(
れいこん
)
は、いま
金色
(
きんいろ
)
の
自動車
(
じどうしゃ
)
に
乗
(
の
)
せられて、
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をつづけました。また、ありがたいお
経
(
きょう
)
によって、すべての
妄念
(
もうねん
)
から
洗
(
あら
)
い
浄
(
きよ
)
められた。
町の真理
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
葉子はやがて自分の
妄念
(
もうねん
)
をかき払うようにこういって、女中を呼んだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
忌
(
い
)
むべきは英雄である、現代の日本は英雄崇拝の
妄念
(
もうねん
)
を去って平等と自由に向かって進まねばならぬ、すべての
偶像
(
ぐうぞう
)
を焼いて世界の趨勢にしたがわねばならぬ、私の論はこれをもっておわりとします
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
復一はそれを自分の神経衰弱から来る
妄念
(
もうねん
)
のせいにしていた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
奮起一番、こんな
妄念
(
もうねん
)
は
叩
(
たた
)
きださなくちゃいけないわ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
妄念
(
もうねん
)
は起さずに早うここを
退
(
の
)
かっしゃい、助けられたが不思議なくらい、嬢様別してのお情じゃわ、
生命冥加
(
いのちみょうが
)
な、お若いの、きっと修行をさっしゃりませ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
酒売りの捨て
科白
(
ぜりふ
)
は、もとより
楊志
(
ようし
)
への
面
(
つら
)
アテだったが、兵たちの
妄念
(
もうねん
)
を、一そう
煽
(
あお
)
り立てたふうでもあった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左膳を斬るまえにまずお艶への
妄念
(
もうねん
)
をこの坤竜丸の冷刃で斬って捨て、すっぱりと
天蓋無執
(
てんがいむしゅう
)
、何ものにもわずらわされない一剣士と化さなくては、とうてい自由な働きは期し得ない!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そんな、悪どい
妄念
(
もうねん
)
まで抱いていたのに、雪之丞は、
殆
(
ほとん
)
ど、一世一代の重大な危機にのぞんでいるという自覚さえないように、ただ彼女のいうままに、動いているだけだ。お初は、歯がみした。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その氷を破って全身を八寒のうちに没して、あらゆる
妄念
(
もうねん
)
を洗って後、
御堂
(
みどう
)
の
床
(
ゆか
)
に着くのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幕府の為政者にその久しい
妄念
(
もうねん
)
があれば、その間は、民草の家の一戸一戸のうちに、村々の神社の森の
一叢
(
ひとむら
)
一叢に、その不朽をちかう精神は無言に守られていたのである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妄念
(
もうねん
)
の鬼になって、この縁下に、寸前の闇を、
猜疑
(
さいぎ
)
の眼にさぐりながら、息をころしていた時の自分と、こうして、明らかに、安らかに、われらと語り合っている自分と
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「酒はねえが、果物まで付いてやがる。ふふふふ、こうなると、この世に
妄念
(
もうねん
)
が多くなるな」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初め、木の皮も喰いたいような
飢餓
(
きが
)
に襲われた。それがやむと、時折、胃ぶくろが暴れて苦悶した。それに馴れると、
妄念
(
もうねん
)
が起った。肉体の疲労が、自分の踏む足にもわかった。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ツケあがるわけじゃありませんが、旦那も人間なら、お察しなすっておくんなさい。もう意地にも我慢にも……。これを見て飲まねえじゃあ、
妄念
(
もうねん
)
が残って、腰も上がりませんや」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵とか、味方とか、そういう
隔
(
へだ
)
ても掻き消え、長政が信長にいだいていた感情やら反抗やら、あらゆる小さい
妄念
(
もうねん
)
は、ふと、彼のすがたや心から
古蒼
(
こそう
)
した
胡粉
(
ごふん
)
のように
剥
(
は
)
がれていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はやはり
檻
(
おり
)
の中の武人であった。帰するところ、主従のきずなが
断
(
た
)
ちきれなかった。しかし、そういう
妄念
(
もうねん
)
を抱いてからは、家康のていを見ても、何となく、冷たい主人に見えて来た。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“妄念”の意味
《名詞》
あれこれ迷う心。
心の中にある誤った思い。
(出典:Wiktionary)
妄
常用漢字
中学
部首:⼥
6画
念
常用漢字
小4
部首:⼼
8画
“妄”で始まる語句
妄
妄想
妄執
妄動
妄信
妄説
妄言
妄誕
妄語
妄漫