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す
ふりがな文庫
“
坐
(
す
)” の例文
男の我を忘れて、相手を見守るに引き
反
(
か
)
えて、女は始めより、わが前に
坐
(
す
)
われる人の存在を、
膝
(
ひざ
)
に
開
(
ひら
)
ける一冊のうちに見失っていたと見える。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人の仁太郎氏は丁度留守で大振りの
欅
(
けやき
)
の長火鉢の前にはお寿賀さんばかりが
坐
(
す
)
わっていたが私を見ると頷いて見せた。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『
飯
(
めし
)
を
食
(
くは
)
せろ!』と銀之助は
忌々
(
いま/\
)
しさうに言つて、
白布
(
はくふ
)
の
覆
(
か
)
けてある長方形の食卓の前にドツカと
坐
(
す
)
はつた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
吉里はにやにや笑ッていて、それで笑いきれないようで、目を
坐
(
す
)
えて、体をふらふらさせて、口から
涎
(
よだれ
)
を
垂
(
た
)
らしそうにして、手の甲でたびたび口を拭いている。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
鉄のお城の中の大きな大きな鉄の
室
(
へや
)
の中の、高い高い鉄の台の上に鉄の椅子を据えて、真黒な着物を着て鉄の冠をかむって
坐
(
す
)
わっておりましたが、その
室
(
へや
)
中のものは鉄の壁も鉄の床も
オシャベリ姫
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
かぐつちみどり
(著)
▼ もっと見る
手拭を右の手に握り、甕から少しはなれた所に下駄を脱いで、下駄から直に
大胯
(
おおまた
)
に片足を甕に踏み込む。
呀
(
あ
)
、
熱
(
あつ
)
、と云いたい位。つゞいて一方の足も入れると、一気に
撞
(
どう
)
と
尻餅
(
しりもち
)
搗
(
つ
)
く様に
坐
(
す
)
わる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
夫
(
それ
)
から
最初
(
さいしよ
)
のうちは、
詰
(
つ
)
めて
坐
(
す
)
はるのは
難儀
(
なんぎ
)
だから
線香
(
せんかう
)
を
立
(
た
)
てゝ、それで
時間
(
じかん
)
を
計
(
はか
)
つて、
少
(
すこ
)
し
宛
(
づゝ
)
休
(
やす
)
んだら
好
(
よ
)
からうと
云
(
い
)
ふ
樣
(
やう
)
な
注意
(
ちゆうい
)
もして
呉
(
く
)
れた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが、壊れ易い玩具のような、その美しい青年が、長火鉢を前に私の横に端然と
坐
(
す
)
わっているでは無いか。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
吉里は蒼い顔をして、そのくせ目を
坐
(
す
)
えて、にッこりと小万へ笑いかけた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
立ってもおらぬ、坐ってもおらぬ、細君の腰は宙に浮いて、
膝頭
(
ひざがしら
)
は火桶の
縁
(
ふち
)
につきつけられている。
坐
(
す
)
わるには所を得ない、立っては考えられない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから最初のうちは、つめて
坐
(
す
)
わるのは難儀だから線香を立てて、それで時間を計って、少しずつ休んだら好かろうと云うような注意もしてくれた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
消化
(
こな
)
れない
堅
(
かた
)
い
團子
(
だんご
)
が
胃
(
ゐ
)
に
滯
(
とゞこ
)
うつてゐる
樣
(
やう
)
な
不安
(
ふあん
)
な
胸
(
むね
)
を
抱
(
いだ
)
いて、わが
室
(
へや
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。さうして
又
(
また
)
線香
(
せんかう
)
を
焚
(
た
)
いて
坐
(
す
)
はり
出
(
だ
)
した。
其癖
(
そのくせ
)
夕方
(
ゆふがた
)
迄
(
まで
)
は
坐
(
すわ
)
り
續
(
つゞ
)
けられなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
下へ降りるや
否
(
いな
)
や、いきなり
風呂場
(
ふろば
)
へ行って、水をざあざあ頭へかけた。茶の間の時計を見ると、もう
午過
(
ひるすぎ
)
なので、それを好い
機会
(
しお
)
に、そこへ
坐
(
す
)
わって飯を片づける事にした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「君まだいるのか」と主人はいつの
間
(
ま
)
にやら帰って来て迷亭の
傍
(
そば
)
へ
坐
(
す
)
わる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実を云うと、この男の次へでも
坐
(
す
)
わろうかと、ひそかに
目標
(
めじるし
)
にして来たくらいだ。校長はもうやがて見えるでしょうと、自分の前にある
紫
(
むらさき
)
の
袱紗包
(
ふくさづつみ
)
をほどいて、
蒟蒻版
(
こんにゃくばん
)
のような者を読んでいる。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わが
坐
(
す
)
わる床几の底抜けて、わが乗る壇の床
崩
(
くず
)
れて、わが踏む大地の
殻
(
こく
)
裂けて、己れを支うる者は悉く消えたるに等し。ギニヴィアは組める手を胸の前に合せたるまま、右左より骨も
摧
(
くだ
)
けよと
圧
(
お
)
す。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
文章を髭から捻り出して御覧に入れますと云う
見幕
(
けんまく
)
で猛烈に捻ってはねじ上げ、ねじ下ろしているところへ、茶の間から
妻君
(
さいくん
)
が出て来てぴたりと主人の鼻の先へ
坐
(
す
)
わる。「あなたちょっと」と呼ぶ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
坐
漢検準1級
部首:⼟
7画
“坐”を含む語句
跪坐
坐睡
居坐
御坐
正坐
胡坐
対坐
連坐
静坐
大湯坐
打坐
湯坐
對坐
大胡坐
端坐
趺坐
坐蒲団
安坐
兀坐
横坐
...